事例集

ご相談事例をご覧になる前に

こちらでは、これまでにお受けしたご相談をもとに、カウンセリングでどのようなことを整理していったのかをご紹介します。

掲載している事例は、個人が特定されないよう、年齢や職業、家族構成、出来事の一部を変更しています。ご本人の発言についても、趣旨を変えない範囲で再構成しています。

同じように見える悩みでも、これまでの経験や現在の状況によって、問題が続いている理由やカウンセリングの進み方は異なります。

事例は、同じ結果や変化をお約束するものではありません。「このようなことも相談できるのか」「カウンセリングでは何を話すのか」を知るための参考としてご覧ください。

事例1 夫の浮気後、やり直したいのに夫の顔色ばかり見ていた40代女性

ご相談時の状況

夫の浮気が発覚したあと、夫婦でやり直すことを選んだ40代の女性です。

夫からは「浮気相手とはもう終わった」「これからは家庭を大切にする」と言われていました。それでも、夫がスマートフォンを触っているだけで気になり、帰宅が少し遅いと「また連絡を取っているのではないか」と考えてしまいます。

本当は、浮気されたことへの怒りや、簡単には信じられない気持ちを夫に話したいと思っていました。

けれども、問い詰めれば夫が不機嫌になるかもしれない。何度も確認すれば、「いつまでその話をするのか」と言われるかもしれない。やり直すと決めたのだから、自分も早く気持ちを切り替えなければならないとも考えていました。

そのため、夫の前ではできるだけ普通に振る舞い、夫が機嫌よく過ごしていると安心する一方で、「傷つけられたのは私なのに、なぜ私が夫の顔色を見ているのだろう」と苦しくなっていました。

なぜ動けなくなっていたのか

この女性が夫に気持ちを伝えられなかったのは、何を言えばよいかわからなかったからではありません。

怒っていることも、傷ついていることも、もう一度夫を信じられるようになりたいことも、自分ではわかっていました。

それでも言えなかったのは、気持ちを伝えた結果、夫が向き合ってくれないことがはっきりするのが怖かったからです。

夫が謝ってくれなかったらどうしよう。面倒そうな顔をされたらどうしよう。「もう終わった話だ」と突き放されたら、やり直すという選択そのものを考え直さなければならなくなるかもしれません。

また、夫婦関係をやり直すためには、怒りや悲しみを早く手放さなければならないとも考えていました。

そのため、本当は夫を責めたいほど腹が立っていても、関係を悪くしないために怒りを抑えていました。

自分より浮気相手が選ばれたように感じた悲しさや、自分だけが何も知らずに過ごしていた悔しさ、また裏切られるかもしれない怖さも、できるだけ考えないようにしていました。

けれども、押し込めてきた感情がなくなったわけではありません。

夫がスマートフォンを触る姿や、少し帰宅が遅れたことをきっかけに、それまで抑えていた怒りや怖さが一度に出てくる状態になっていました。

夫婦関係を壊したくない気持ちと、傷つけられた自分を無視したくない気持ちがぶつかり、夫の顔色を見ながら自分の感情を抑え続けていました。

カウンセリングで整理したこと

まず、夫婦関係をやり直したい気持ちと、夫を許せない気持ちは、同時にあってもよいことを確認しました。

やり直したいと思っているからといって、浮気された傷がなくなるわけではありません。夫を信じたい気持ちがあっても、疑いや怒りが出てくることがあります。

次に、これまで抑えてきた感情を一つずつ確認しました。

夫に対する怒りだけでなく、知らないところで裏切られていた悲しさ、自分より浮気相手を大切にされたように感じた悔しさ、また同じことが起きるかもしれない怖さがありました。

また、「浮気をした夫よりも、浮気を見抜けなかった自分が悪いのではないか」「もっと魅力のある妻だったら浮気されなかったのではないか」と、自分を責めていたこともわかりました。

カウンセリングでは、

「なぜ私を傷つけたのか」

「どうして私に何も言わず、浮気相手を選んだのか」

「私はあなたに、私がどれほど傷ついたのかをわかってほしかった」

といった、夫にはそのまま言えずにきた気持ちも言葉にしていきました。

感情を扱うことは、夫を責め続けることや、すぐに夫へすべてをぶつけることではありません。

何に怒り、何を悲しみ、何を怖れているのかを本人が理解し、現在の出来事と、浮気発覚後から積み重なってきた感情を分けていくために行いました。

そのうえで、夫に何を伝えたいのかを整理しました。

浮気相手と連絡を取っているかどうかを確認したいだけではなく、「何事もなかったように扱われることがつらい」「私が傷ついたことを、なかったことにしないでほしい」という思いがあることが見えてきました。

夫の反応をすべて変えようとするのではなく、自分が何に傷つき、これからの夫婦関係に何を必要としているのかを伝える方法を一緒に考えました。

夫がすぐに理解してくれなかった場合に、自分はどうしたいのかについても確認しました。夫の機嫌だけを基準にするのではなく、自分が納得できる関係にするために、何を確かめる必要があるのかを整理していきました。

その後の変化

夫への疑いが、すぐになくなったわけではありません。

それでも、夫がスマートフォンを触って不安になったときに、「また浮気しているに違いない」と考えるだけでなく、浮気発覚後から残っている怖さや悲しさが反応していることにも気づけるようになりました。

怒りが出てきたときにも、すぐに夫を問い詰めるか、何も言わずに我慢するかの二つだけではなくなりました。

まず自分が何に傷ついたのかを確認し、そのうえで、「私はまだ傷ついている」「何事もなかったようにされるとつらい」と、夫に伝えるようになりました。

また、夫の前で感情を抑えることだけを、夫婦関係を守る方法だとは考えなくなりました。

夫がすぐに望んだ反応をしてくれないときもありましたが、夫の反応だけで、自分の感じていることが間違っていると考えることは減っていきました。

夫婦関係を続けるかどうかを急いで決めるのではなく、自分が何を許せず、何があればもう一度信頼していけるのかを確認しながら、今後の関係を考えていくことになりました。

事例2 「自分でやったほうが早い」と、仕事も家庭も抱え込んでいた40代女性

ご相談時の状況

職場では責任のある仕事を任され、家庭でも家事や親の用事を引き受けていた40代の女性です。

職場で誰かに仕事を頼んでも、説明するより自分でやったほうが早い。家族に頼んでも、思うようにやってもらえないと、結局は自分がやり直すことになる。

そう考えて、忙しくても自分で引き受けることが増えていました。

周囲からは「頼りになる」「しっかりしている」と言われていましたが、本人は、なぜ自分ばかりが忙しいのかと感じていました。

家族が自分の予定を優先していると腹が立つ。職場で周囲が定時に帰っていくと、「私が残ると思っているのだろうか」と不満になる。

けれども、いざ「手伝おうか」と言われると、「説明するのが面倒だからいい」「自分でやったほうが早い」と断ってしまいます。

疲れていることにも気づいていましたが、仕事や家のことを止めれば、すべてが回らなくなるように感じていました。

なぜ動けなくなっていたのか

この女性も、自分が仕事や家のことを抱え込みすぎていることには気づいていました。

人に頼ったほうがよいことも、すべてを完璧にやる必要はないことも、頭ではわかっていました。

それでも任せられなかったのは、相手が自分と同じように動いてくれないことへの不安があったからです。

頼んだ仕事が期限までに終わらなかったら、自分の責任になるかもしれない。家族に任せてうまくいかなければ、あとで困るのは自分かもしれない。

相手に任せることが、「自分では結果を管理できない状態を受け入れること」のように感じられていました。

また、手伝ってほしいと伝えて断られたり、面倒そうな態度を取られたりすることも避けたいと思っていました。

頼んでも思うように動いてもらえないなら、最初から自分でやったほうが、がっかりせずに済みます。

その一方で、自分が引き受け続ければ、周囲は「この人に任せておけば大丈夫」と考えるようになります。

助けてほしいのに頼れない気持ちと、周囲が助けてくれないことへの腹立たしさが重なり、ますます負担を抱え込む状態になっていました。

カウンセリングで整理したこと

まず、人に任せることと、すべてを相手に任せきることは同じではないと整理しました。

これまでは、「自分でやる」か「相手に全部任せる」かの二択になっていました。そのため、任せた結果が思いどおりにならない可能性を考えると、結局は自分で引き受けるしかないと感じていました。

そこで、仕事では、どこまでを相手に任せ、どの時点で確認するのかを決めました。家庭でも、相手のやり方が自分と違っていても、すぐにやり直さず、困ることと困らないことを分けて考えました。

また、助けを求めたときに断られることへの怖さについても話しました。

頼んで断られると、「自分は大切にされていない」「結局、誰も助けてくれない」と感じやすいことがわかりました。そのため、頼む前から諦め、自分で引き受けることで、傷つかないようにしていた部分がありました。

相手が引き受けられないことと、自分の価値は別のものです。相手の事情や得意不得意も含めて、誰に何を頼むのか、どのように伝えるのかを一緒に考えました。

すべてを手放すのではなく、まずは自分が抱えている仕事や役割を一つずつ確認し、「本当に自分がしなければならないこと」と「ほかの人にも任せられること」に分けていきました。

その後の変化

最初から大きな仕事や役割を任せられるようになったわけではありません。

まずは、職場で自分がしなくてもよい作業を一つ頼み、途中で確認する時間を決めるところから始めました。

相手のやり方が自分と違っていても、すぐに手を出さず、期限や必要な結果が守られているかを見るようになりました。

家庭でも、家族に頼んだことを自分のやり方でやり直すことを減らし、「ここまではお願いしたい」と伝えるようになりました。

頼んでも断られることはありましたが、そのたびに「やはり誰も助けてくれない」と考えるのではなく、相手の都合なのか、頼み方を変えたほうがよいのかを分けて考えられるようになりました。

すべてを自分で抱え込む状態が完全になくなったわけではありません。それでも、疲れ切ってから不満を爆発させる前に、自分が何を引き受けすぎているのかに気づき、周囲に伝えることが増えていきました。

事例3 相手に合わせ続け、何が嫌なのかもわからなくなっていた30代後半女性

ご相談時の状況

交際中の相手に合わせることが多く、自分の希望をほとんど伝えられなくなっていた30代後半の女性です。

会う日や場所は相手の都合に合わせ、食事をする店を聞かれても「どこでもいい」と答えていました。

相手から急に予定を変更されても、「仕事なら仕方がない」と受け入れます。連絡が少なくても、「忙しい人だから」と自分に言い聞かせていました。

本当は、もっと会いたい、予定を早めに決めてほしい、自分の話も聞いてほしいという気持ちがありました。

けれども、それを伝えると重いと思われるかもしれない。面倒な女性だと思われたら、相手が離れていくかもしれないと考えていました。

相手の前では明るく振る舞っていましたが、家に帰ると、なぜ自分ばかりが相手に合わせているのだろうと腹が立ちます。

それでも、何が嫌だったのかを聞かれると、うまく説明できませんでした。長い間、自分の希望を考える前に相手の都合を優先していたため、自分が本当はどうしたいのかもわからなくなっていました。

なぜ動けなくなっていたのか

この女性が相手に合わせていたのは、単に遠慮深かったからではありません。

自分の希望を伝えることが、相手に負担をかけたり、関係を悪くしたりすることのように感じられていました。

「今日は会えない」と言われたときに残念だと伝えれば、相手を責めているように受け取られるかもしれない。

もっと連絡がほしいと言えば、束縛する人だと思われるかもしれない。

そう考えると、自分が我慢するほうが、関係を壊さずに済むように思えました。

また、自分の希望を伝えて断られることも避けたいと思っていました。

何も言わなければ、相手が応えてくれなかったという現実を見なくて済みます。最初から相手に合わせておけば、期待してがっかりすることもありません。

けれども、相手に合わせることで関係を守ろうとするほど、自分が大切に扱われていないという不満も大きくなっていきました。

相手に嫌われたくない気持ちと、自分をもっと大切にしてほしい気持ちがぶつかり、どちらにも動けない状態になっていました。

カウンセリングで整理したこと

まず、これまで相手に合わせてきた場面を一つずつ振り返りました。

「特に嫌ではなかったこと」と、「本当は嫌だったけれど言えなかったこと」を分けていきます。

どこで食事をするかは気にならなくても、会う予定を直前に変更されることはつらかった。連絡の回数よりも、自分から連絡しなければ関係が続かないように感じることが苦しかった。

このように整理すると、すべてに不満があるわけではなく、自分が大切に扱われていないと感じる場面に傷ついていたことが見えてきました。

次に、自分の希望を伝えたとき、何が起きることを怖れているのかを確認しました。

相手が不機嫌になることだけでなく、自分の希望を伝えても相手が応えようとしないことがはっきりするのが怖いという気持ちがありました。

希望を伝えることは、相手を思いどおりに動かすことではありません。

自分は何を望んでいるのかを伝え、そのとき相手がどのように向き合う人なのかを知ることでもあります。

いきなり大きな不満をすべて伝えるのではなく、まずは日常の小さな希望から言葉にする方法を一緒に考えました。

その後の変化

最初は、何かを聞かれると反射的に「どちらでもいい」と答えてしまうことが続きました。

それでも、すぐに返事をせず、「少し考えてもいい?」と言って、自分の希望を確認するようになりました。

食事の店を一つ提案する、会いたい日を自分から伝える、予定を変更されたときに「残念だった」と話すなど、小さなことから始めました。

相手が希望どおりに応えてくれるときもあれば、そうではないときもありました。

以前は、相手が応えてくれないと、自分が面倒なことを言ったせいだと考えていました。けれども、相手の都合と、自分の希望に価値があるかどうかは別だと考えられるようになりました。

また、相手の反応を見ながら、自分ばかりが合わせなければ続かない関係なのかについても考えるようになりました。

何でも我慢しなくなったことで一時的に気まずくなることはありましたが、自分が何を嫌だと感じ、どのような関係を望んでいるのかは、以前よりもわかるようになっていきました。

事例4 LINEの返信が来ないと、仕事も手につかなくなっていた30代女性

ご相談時の状況

交際を始めて数か月の相手からLINEの返信が来ないと、何も手につかなくなってしまう30代の女性です。

朝にメッセージを送っても、お昼を過ぎても返信がない。仕事中もスマートフォンが気になり、通知が来るたびに画面を確認していました。

「忙しいだけかもしれない」と思う一方で、「何か気に障ることを言ったのではないか」「もう気持ちが冷めたのではないか」と考え始めます。

前日の会話を何度も思い返し、自分が送った文章を読み直しては、言い方が悪かったのではないかと悩んでいました。

返信が来ると安心しますが、内容が短いと、今度は「面倒そうに返しているのではないか」と気になります。

相手に何度も連絡するのは嫌われそうで怖いため、追加のメッセージは送らずに我慢していました。

けれども、我慢している間も頭の中では相手のことばかり考え、仕事のミスが増えたり、食事が喉を通らなくなったりすることもありました。

なぜ動けなくなっていたのか

この女性は、返信が遅いことだけに不安を感じていたわけではありません。

返信がない時間を、「相手の気持ちがわからない時間」と受け取っていました。

相手の気持ちがわからないと、自分が大切にされているのか、関係が続いているのかまでわからなくなったように感じます。

本当は、「返信がないと不安になる」「忙しいときは後で返すと一言伝えてほしい」と話したい気持ちがありました。

けれども、それを言えば重いと思われるかもしれない。面倒な人だと思われて、相手が離れていくかもしれないと考えていました。

そのため、相手には何も言わず、自分の中だけで不安を何とかしようとしていました。

また、返信が遅いことを気にしない女性でいたいという思いもありました。

相手を信じられる人、束縛しない人、ひとりの時間を楽しめる人でなければ愛されないように感じていたのです。

不安を見せたくない気持ちと、相手に気持ちを確かめたい気持ちがぶつかり、返信を待つ時間がますます苦しくなっていました。

カウンセリングで整理したこと

まず、返信がないときに頭の中で起きていることを、順番に整理しました。

事実としてわかっているのは、「まだ返信が来ていない」ということだけです。

そこに、「嫌われた」「気持ちが冷めた」「別の女性といる」といった想像が次々と加わっていました。

ただし、想像をやめればよいと考えるだけでは、不安は収まりません。

なぜそこまで悪い方向へ考えてしまうのかを見ていくと、相手の反応がない間、自分には相手をつなぎ止めるものが何もないように感じていることがわかりました。

また、不安になる自分を責める気持ちについても話しました。

返信を待つことがつらいのに、「こんなことで不安になる私は重い」「もっと余裕を持たなければ」と、自分の気持ちまで否定していました。

そこで、相手に確認したいことと、自分の中で考える必要があることを分けました。

相手は普段どのくらいの頻度で連絡を取る人なのか。忙しいときはどのような連絡になるのか。二人にとって無理のないやり取りはどのくらいなのか。

相手の気持ちを何度も確かめるためではなく、二人の連絡の取り方について話す方法を一緒に考えました。

同時に、返信を待つ間に生活すべてが止まってしまう状態についても、何をしていると少し自分の時間へ戻れるのかを確認していきました。

その後の変化

返信を待っている間に不安になることが、すぐになくなったわけではありません。

それでも、不安が出てきたときに、「返信が来ていないこと」と「嫌われたと決まったこと」を分けて考えられるようになりました。

スマートフォンを何度も確認していることに気づいたときは、決めた時間までは画面を見ないようにし、仕事や目の前の予定へ戻ることも増えていきました。

また、相手に対して、責める言い方ではなく、「返信がない時間が長いと不安になることがある」「忙しい日は、後で連絡すると一言あると助かる」と伝えました。

相手には相手の連絡の取り方があり、いつも希望どおりになるわけではありませんでした。

それでも、自分の気持ちを隠したまま相手の反応を待ち続けるのではなく、二人にとって無理のない連絡方法を話せたことで、以前よりも状況を判断しやすくなりました。

返信の早さだけで愛情を確かめることは減り、相手が普段どのように関わってくれているかも含めて、二人の関係を見るようになっていきました。

事例5 ひとりで暮らしていけるのに、このままずっとひとりなのか不安になった40代女性

ご相談時の状況

仕事を続け、自分の生活を自分で支えてきた40代の独身女性です。

ひとりで出かけることにも慣れており、休日には好きな店へ行ったり、自宅でゆっくり過ごしたりしていました。

結婚していないことを、普段はそれほど気にしていませんでした。

ところが、同年代の友人が家族の話をしているときや、年末年始をひとりで過ごしたあとに、急に「このままずっとひとりなのだろうか」と不安になることがありました。

親が年齢を重ねていく様子を見ると、将来ひとりで病気になったときのことや、頼れる人がいなくなることまで考えてしまいます。

恋人がほしいのか、結婚したいのかと聞かれると、自分でもよくわかりませんでした。

誰かと暮らせば、自分の時間が減る。相手に合わせたり、家事や親族との付き合いが増えたりすることも考えます。

ひとりの生活を手放したくない気持ちがある一方で、将来も今の生活が続くとは限らないことに不安を感じていました。

なぜ動けなくなっていたのか

この女性が迷っていたのは、結婚するか、ひとりで生きるかを決められなかったからだけではありません。

誰かと関係を持つことについて考えると、「自由を失う」「相手に振り回される」「自分ばかりが負担を引き受ける」というイメージが先に浮かんでいました。

これまでの恋愛では、相手に合わせることが増え、自分の生活が乱れてしまった経験もありました。

そのため、誰かと親しくなることは、自分の時間や生活を守れなくなることのように感じられていました。

一方で、ひとりで生きると決めることにも抵抗がありました。

将来の可能性を自分で閉じてしまうように感じたり、本当は誰かと生きたかったと後悔するのではないかと思ったりしていました。

誰かと暮らすことへの不安と、ひとりで年齢を重ねることへの不安の間で揺れながら、どちらも選べない状態になっていました。

また、「今さら恋愛で傷つきたくない」「この年齢でうまくいかなかったら恥ずかしい」という気持ちもありました。

出会いを探さなければ何も起こりませんが、何も起こらなければ、断られたり失望したりすることもありません。

動かないことで、現在の生活と自分の自信を守っている部分もありました。

カウンセリングで整理したこと

まず、「結婚したいかどうか」という答えを急いで出すのではなく、この女性がこれからどのような暮らしを望んでいるのかを整理しました。

毎日誰かと一緒に過ごしたいわけではない。自分の仕事や時間は守りたい。けれども、困ったときに連絡できる人や、時々一緒に食事をする相手がいる生活には魅力を感じる。

話していくうちに、求めていたのは、一般的な結婚生活に自分を合わせることではなく、自分の生活を尊重し合える関係だとわかってきました。

また、ひとりで暮らす不安についても、恋人や結婚相手がいればすべて解決するわけではないことを確認しました。

将来の住まい、仕事、健康、親のこと、頼れる人とのつながりなど、恋愛とは別に考えたほうがよい問題もあります。

すべての不安を「結婚していないから」とまとめず、自分で準備できることと、人との関係の中で考えたいことを分けました。

恋愛については、相手に生活を明け渡すことと、相手を生活の中に迎えることは同じではないと整理しました。

自分の時間を守りながら関係をつくることもできます。そのためには、相手に合わせるだけでなく、自分がどのような距離や付き合い方を望んでいるのかを伝える必要があります。

「結婚するか、何もしないか」ではなく、まず人と出会う機会を持ち、自分がどのような関係を望んでいるのかを確かめる方法を一緒に考えました。

その後の変化

将来への不安が完全になくなったわけではありません。

それでも、不安が出るたびに「早く結婚しなければ」と考えるのではなく、今何が心配なのかを分けて考えるようになりました。

親のこと、住まいのこと、自分の健康やお金については、恋愛とは別に少しずつ準備を始めました。

また、友人との関係も、誘われるのを待つだけでなく、自分から食事に誘ったり、しばらく連絡を取っていなかった人へ連絡したりするようになりました。

恋愛についても、すぐに結婚相手を決めるためではなく、人と会って自分の気持ちを知るために、出会いの場へ参加するようになりました。

相手に好かれるために何でも合わせるのではなく、自分が疲れている日は断る、自分の希望も伝えるということを意識しました。

ひとりの生活を否定せず、誰かと関係を持つ可能性も否定しない。

将来を一度に決めるのではなく、今の自分が納得できる暮らしや人とのつながりを、少しずつ選び直していくことになりました。

カウンセリングをご検討の方へ

ここでご紹介した事例と同じ悩みでなくても、ひとりで考えていると同じところを何度も行き来してしまうことをご相談いただけます。

何が問題なのか、どうしたいのかが、まだはっきりしていなくても構いません。現在いちばん気になっていることからお話をうかがい、何が苦しさを続けさせているのかを一緒に整理していきます。

カウンセリングの進み方について知りたい方は「初めての方へ」、メニューや料金、予約方法を確認したい方は「カウンセリングメニュー・予約方法」をご覧ください。

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