対等な関係を築けない人の心理──なぜ恋愛も仕事も「上下」になるのか

対等な関係ができない 仕事・対人関係

対等な関係でいたいと思っているのに、気づくといつも自分が相手に合わせている。

恋愛では相手の予定や機嫌を優先し、仕事では頼まれる前に動き、友人関係でも自分が気をつかう側になる。

反対に、相手を放っておけなくて、つい助言したり世話を焼いたり、「こうした方がいい」と言いたくなることもあります。

どちらも一見すると違う関わり方ですが、関係の中に「上」と「下」ができているという点では似ています。

そして、このような関係は、本人が望んで作っているとは限りません。

これまでの人間関係の中で身につけてきた関わり方が、恋愛や仕事でも繰り返されていることがあります。

対等でいたいのに、気づくと上下ができている

たとえば、こんなことはないでしょうか。

・いつの間にか自分が世話をする側になっている
・相手の機嫌や予定を優先してしまう
・断ることや頼ることが苦手
・自分の希望より、相手がどう思うかを先に考える
・相手が困らないように先回りして動く
・我慢が続いたあと、突然関係を切りたくなる
・反対に、相手のやり方が気になって口を出したくなる

こうした関わり方が続くと、表面上はうまくいっているように見えても、自分の中には疲れや不満がたまっていきます。

「どうして私ばかり」
「この人は何もしてくれない」

そんな気持ちが出てきたときには、二人の間で役割が固定されていないかを見てみる必要があります。

「対等な関係」とは、いつも同じでいることではない

対等というと、何でも半分ずつにすることや、いつも意見が一致していることを想像するかもしれません。

けれど、対等な関係で大切なのは、二人の立場や役割が同じであることより、どちらにも選ぶ権利があることです。

断ることができる。
頼むことができる。
希望を伝えることができる。
不満を言うことができる。
距離を取りたいときには、その意思を伝えることができる。

そして相手にも、同じ権利があります。
自分の希望を言ったら相手が必ず応じなければならない、ということでもありません。
自分は希望を伝え、相手も自分の気持ちを伝え、その間で二人がどうするかを考えられる。
そうしたやり取りができることが、対等な関係につながっていきます。

対等な関係を築けない人に多い3つのパターン

1.相手を上に置く

「嫌われたくない」
「変に思われたくない」
「がっかりされたくない」
こうした思いが強いと、いつの間にか相手が自分を評価する人になっていきます。

何を食べたいかより、相手が何を食べたいか。
自分が疲れているかより、相手が困らないか。
自分がどう思うかより、相手からどう見られるか。
そうやって相手を基準にしているうちに、自分の希望を言うこと自体が難しくなっていきます。

相手が特別に支配的な人でなくても、自分の側から相手を「決める人」「評価する人」の位置に置いてしまうこともあります。

2.自分が上に立つ

反対に、自分が相手を導く側になることもあります。

「こうした方がいい」
「どうしてそんなやり方をするの?」
「私がやった方が早い」

相手のためを思って言っているつもりでも、それが続くと、いつの間にか自分が先生や親のような立場になっていきます。

相手は任せる側、自分は考える側。
相手は助けてもらう側、自分は助ける側。
こうなると、恋人や夫婦であっても、二人の関係は少しずつ親子のようになっていきます。

3.役割が固定される

最初は自然な役割分担だったものが、そのまま固定されることもあります。

自分は気づく人。
自分は決める人。
自分は予定を立てる人。
自分は家族を支える人。

相手は任せる人。
受け取る人。
ついてくる人。

役割があること自体が問題なのではありません。

ただ、「私はいつもこの役割」「あなたはいつもこの役割」と固定されてしまうと、その人自身より役割で関わるようになります。

そして、役割を担っている側が疲れ始めても、なかなかその役割から降りられなくなることがあります。

なぜ「上下」のある関係を繰り返してしまうのか

「もっと自分の意見を言えばいい」
「頼ればいい」
「世話を焼かなければいい」

頭ではそう分かっていても、簡単には変えられないことがあります。
それは、その関わり方がこれまでの自分にとって必要だった可能性があるからです。

役に立つことで、関係を保とうとしてきた

誰かの役に立つこと、期待に応えること、迷惑をかけないこと。
そうすることで、人との関係がうまくいってきた人もいます。

子どもの頃から「しっかりしているね」と言われてきた。
家族の中で、自分が我慢した方が物事が収まった。
相手の機嫌を見て動く方が、揉めずに済んだ。

そのような経験が重なると、誰かと関係を持つときに、「私は何を感じているのか」より先に、「この人は何を必要としているのか」を考えるようになることがあります。

それは当時の自分にとって、人との関係を続けていくための大切なやり方だったのかもしれません。

頼ることや希望を言うことに抵抗がある

対等な関係では、相手に任せたり、頼ったり、自分の希望を伝えたりする必要があります。
ところが、それをしようとすると強い抵抗が出る人もいます。

頼んで断られたらどうしよう。
希望を言って嫌な顔をされたらどうしよう。
迷惑だと思われたらどうしよう。
期待したのに応えてもらえなかったら、傷つくかもしれない。

それなら、自分でやった方がいい。
相手に合わせた方がいい。
最初から期待しない方がいい。

そうやって自分を守ってきた人にとって、「頼る」「任せる」「希望を言う」は、単なるコミュニケーションの方法ではありません。

過去に感じた寂しさや悲しさ、期待して傷ついた経験と結びついていることがあります。

上に立つことで、自分を守ることもある

人に頼ることが苦手な人は、助けてもらうより助ける側にいる方が安心することがあります。

必要とされる側。
教える側。
決める側。

その立場にいる間は、自分が困っていることや、本当は助けてほしい気持ちを見せなくて済みます。

だから、「世話を焼きすぎないようにしよう」と決めても、また同じことをしてしまう。

その場合、行動だけを変えようとするより、なぜ自分は助ける側にいる必要があるのかを見ることが大切になります。

対等な関係に戻るために見ておきたいこと

対等な関係を作るためには、もちろん日常の行動を変えてみることも役立ちます。

ただ、その前に見ておきたいことがあります。

「私はどうしたい?」を考える

相手がどう思うかを考える前に、「私はどうしたいのだろう」と考えてみます。

食べたいものでも、休日の過ごし方でも、人との距離でも構いません。
すぐに答えが出ない人もいます。
それだけ長い間、相手のことを先に考えてきたということかもしれません。

先回りしていることに気づく

頼まれていないのに動いていることがないか。
相手が困る前に、自分が全部やっていないか。
相手の気持ちまで、自分が決めてしまっていないか。

「私がやった方が早い」と感じるときほど、相手が参加する余地を自分がなくしていないかを見ることも必要です。

相手に任せた結果、思った通りにならないこともあります。
それでも、それぞれが自分の役割を引き受けられることは、対等な関係を作るうえで大切です。

自分の希望を伝えてみる

「どこでもいい」
「何でもいい」
「あなたに合わせる」
と言うことが多いなら、自分の希望を言葉にしてみます。

「私は今日は〇〇がいい。あなたはどう?」
「私はこう感じたけれど、あなたはどう思う?」
自分の意見を言うことと、相手に従わせることは違います。

自分も伝える。相手にも伝えてもらう。
そのやり取りが、対等さを作っていきます。

頼ることや受け取ることが難しい理由を見る

誰かに頼ればいいと分かっていても、頼ろうとすると落ち着かない。
褒められてもうれしいより先に、「そんなことない」と否定したくなる。
何かしてもらうと、すぐに返さなければと思う。

そんなときには、無理に受け取ろうとする前に、「受け取ると、私は何を感じるのだろう」と見てみることも大切です。

申し訳なさなのか。
借りができる感じなのか。
相手に依存してしまいそうな恐れなのか。

そこにある感情が分かると、「受け取れない自分」を変えるだけでは見えなかった背景が見えてくることがあります。

恋愛では、なぜ対等さを失いやすいのか

恋愛では、仕事や友人関係よりも相手の存在が大きくなります。

好きだからこそ、嫌われたくない。
失いたくない。
できれば自分を選び続けてほしい。

その思いが強いほど、相手の反応が気になり、自分の希望を引っ込めやすくなることがあります。

最初は「相手が好きだから合わせたい」と思っていたことも、それが続くと、

自分が合わせる
↓
相手はそれを当たり前だと思う
↓
自分はさらに頑張る
↓
不満がたまる
↓
「どうして私ばかり」と感じる

というやり取りになっていくことがあります。

反対に、相手のことが心配で何でも手を出しているうちに、

自分が世話をする
↓
相手は任せる
↓
自分は「この人は何もしない」と感じる
↓
さらに自分がやる

という循環ができることもあります。

どちらの場合も、どちらか一人だけが関係を作っているわけではありません。
二人のやり取りの中で、役割が繰り返され、固定されていきます。

だからこそ、「相手を変えれば対等になる」と考えるだけでは、同じ形が別の相手との間でも起きることがあります。

まとめ:対等な関係を築くために、自分の関わり方を見ていく

対等な関係を築けないとき、そこにはこれまでの人間関係の中で身につけてきた関わり方が影響していることがあります。

相手に合わせる。
先回りする。
自分が全部引き受ける。
必要とされる側でいようとする。

そのときには、それが人との関係を続けるために必要だったのかもしれません。

けれど、その関わり方が今も続くことで、恋愛でも仕事でも「自分が頑張る側」「相手に合わせる側」「相手を支える側」になり、同じ関係を繰り返すことがあります。

大切なのは、無理に態度を変えることだけではありません。

なぜ自分は相手に合わせるのか。
頼ることや任せることに、どんな抵抗があるのか。
相手に希望を伝えようとしたとき、どんな感情が出てくるのか。

そこにある感情や、これまでの人間関係を見ていくと、同じ関係を繰り返してきた理由が見えてくることがあります。

見え方が変わることで、これまでとは違う関わり方も選びやすくなります。

「いつも自分が頑張る側になる」「人に頼れない」「気づくと相手のことまで引き受けている」という方は、こちらの記事も参考にしてください。

▶ 頑張る大人の女性へ

一人で考えていると、何度考えても同じところに戻ってしまうことがあります。

カウンセリングでは、今の相手との関係だけを見るのではなく、これまでどのような関わり方をしてきたのか、その中で何を感じ、何を諦めたり我慢したりしてきたのかにも目を向けていきます。

その背景にある感情に触れながら、「これからはどんな関係を作っていきたいのか」を一緒に考えていくことができます。

▶ 初めてカウンセリングを受ける方へ

タイトルとURLをコピーしました