「男って、ほんとにもう」
そんなふうに、身近な男性へイライラすることはないでしょうか。
彼や夫を見ていて、
「私より段取りが悪い」
「決めるのが遅い」
「先のことを考えていない」
「どうして私ばかり気づくの?」
と腹が立つ。
何か問題が起きても、相手は様子を見ている。
「どうするの?」と聞いても、はっきりした答えが返ってこない。
待っているうちに不安になり、結局、
「もういい。私がやる」
と自分で動く。
そして、全部終わったあとに、
「どうして私ばかり」
という怒りが残る。
本当は、男性を見下したいわけではありません。
いつも相手より上に立っていたいわけでもないでしょう。
むしろ、
「この人に任せてもいい」
「一緒に考えてもらえる」
「私が全部を背負わなくていい」
と思いたかったのかもしれません。
男性へのイライラには、相手の行動への不満だけでなく、これまで一人で頑張ってきた疲れや、本当は誰かに頼りたかった気持ちが含まれていることがあります。
男性を「頼りない」と感じるとき
身近な男性に頼りなさを感じる場面はいろいろあります。
旅行や外出の予定を決めるとき、自分は移動時間や予約まで考えているのに、相手は、
「当日決めればいいんじゃない?」
と言う。
家の中で修理や手続きが必要になっても、相手はなかなか動かない。
仕事や家族の問題が起きたときも、
「どうしたらいいかな」
とこちらへ判断を返してくる。
最初は一緒に考えるつもりだったのに、気づけば、
- 調べる
- 決める
- 連絡する
- 実際に動く
- 問題が起きたときに対応する
ところまで、自分が担当している。
相手には頼んだつもりでも、進んでいない様子を見ると不安になります。
任せて失敗されるくらいなら、自分でやったほうが早い。
そうして自分が動くほど、相手が受け身になることもあります。
ただし、すべてが女性側の任せ方の問題というわけではありません。
実際に相手が責任を引き受けず、こちらが動くまで放置している場合もあります。
まずは、
「私は相手を頼りないと感じているだけなのか」
「実際に相手が自分の役割を果たしていないのか」
を分けて考える必要があります。
イライラの奥にある「私ばかり」
男性に腹が立つとき、心の中では、
「私はここまでやっているのに」
という思いが動いていることがあります。
自分は怖くても動いてきた。
わからないことは調べてきた。
失敗しないように準備してきた。
誰かが困らないように先回りしてきた。
しんどくても、簡単には投げ出さなかった。
そうやってやってきた人ほど、目の前の男性が、
「わからない」
「できない」
「あとでやる」
と簡単に言っているように見えると、腹が立ちます。
「私は、できないと言う余裕なんてなかった」
「私は、怖くてもやるしかなかった」
「どうしてあなたは、誰かが何とかしてくれると思えるの?」
そんな気持ちになるのです。
これは男性への怒りであると同時に、自分がこれまで引き受けてきたものへの怒りでもあります。
もっと誰かに手伝ってほしかった。
頑張っていることに気づいてほしかった。
自分だけが強い役を続ける関係から降りたかった。
その思いが長く扱われないままになっていると、相手の頼りなさを見た瞬間に、これまでの疲れまで一緒に出てきます。
自分が頑張ってきた部分ほど、相手に厳しくなる
人は、自分が努力して身につけたことを、他人にも求めやすくなります。
段取りの悪い男性に腹が立つなら、自分は失敗しないよう、かなり先まで考えてきたのかもしれません。
決断を先延ばしにする男性に腹が立つなら、自分は迷っている時間を許されず、早く答えを出してきたのかもしれません。
怖がる男性に腹が立つなら、自分は怖くても止まれなかったのかもしれません。
気が利かない男性に腹が立つなら、自分は周囲の状態を見ながら、先に動くことを続けてきたのかもしれません。
相手へ、
「それくらい、できるでしょう」
と言いたくなるところには、
「私は、できるようになるまで頑張った」
という自分の歴史があります。
だからこそ、できないままでいるように見える相手が許せなくなります。
ただ、その怒りを相手へ向け続けるだけでは、自分がどれほど無理をしてきたのかが見えにくくなります。
「なぜ、これほど腹が立つのだろう」
と考えたときには、
「私は何を、簡単にはできないと言えずにやってきたのだろう」
と振り返ってみると、自分の疲れが見えてくることがあります。
本当は「この人に任せてもいい」と思いたかった
男性より上に立ちたいわけではないのに、気づくと自分がすべてを決めている。
この状態が続くと、相手に勝っているようで、満たされません。
仕事も自分のほうができる。
家のことも自分のほうがよくわかっている。
問題が起きたときも、自分のほうが早く動ける。
それでも、うれしくはない。
本当は、
「任せても、必要なことはやってくれる」
「困ったときに、一緒に考えてくれる」
「私が疲れているときは、自分から動いてくれる」
と思いたかったからです。
頼りたいというのは、自分の人生を相手へ丸ごと預けたいという意味ではありません。
何も決めたくないわけでもありません。
自分の分だけでなく、相手の分まで考え続ける関係を終わらせたいのです。
自分が少し手を離しても、相手が自分の役割を引き受けてくれる。
そう感じられる関係を望んでいたのだと思います。
だから、相手が動かないと、
「また私が全部やるの?」
という失望が出ます。
その失望が、怒りに変わるのです。
今の相手以上に怒りが大きくなることもある
目の前の出来事に対して、自分でも驚くほど強い怒りが出ることがあります。
相手が予定を決めるのに少し迷っただけなのに、
「やっぱり男性は頼りにならない」
と思う。
一度気が利かなかっただけで、
「どうせ最後は私が全部やることになる」
と感じる。
このようなときには、今の相手だけでなく、以前にも同じような経験がなかったか振り返ってみてもよいでしょう。
父親や元のパートナーへ頼ろうとしても、結局自分や母親が対応していた。
困っているときに、男性から助けてもらえなかった。
相手を信じて任せた結果、問題が大きくなった。
何度お願いしても、こちらが動くまで放置された。
そうした経験が重なっていると、今の相手の行動にも、
「また同じことになる」
という警戒が加わります。
過去と今を完全に切り離す必要はありません。
ただ、
「今の相手は、実際には何をしているのか」
「以前の相手と同じところと、違うところは何か」
を見分けることは必要です。
「男って」とひとくくりにすると、本当の相手が見えにくくなる
腹が立つと、
「男って本当に頼りない」
「男はどうして、何も考えないの?」
と言いたくなることがあります。
それほど何度も、男性との関係でがっかりしてきたのかもしれません。
ただ、「男性」という大きな言葉でまとめるほど、本当に腹を立てている相手や出来事が見えにくくなります。
夫が家のことを一緒に考えなかった。
父親が困ったときに守ってくれなかった。
元のパートナーが約束を守らなかった。
上司が責任をこちらへ押しつけた。
具体的に見ていくと、怒っている相手も、してほしかったことも違います。
「男性全般に頼れない」
という話のままだと、自分が今の関係で何を変えたいのかも曖昧になります。
本当は誰に、何をしてほしかったのでしょうか。
どの場面で一人にされたと感じたのでしょうか。
現在の相手へ、何を一緒に担ってほしいのでしょうか。
怒りの相手と内容が具体的になると、必要な対応も考えやすくなります。
「頼りないと感じているだけ」とは限らない
男性へのイライラを心理的に考えると、
「自立した女性が相手を頼れないからでは?」
「女性が全部やってしまうから、男性が受け身になるのでは?」
と説明されることがあります。
確かに、そのような関係の循環が起きていることもあります。
けれども、実際に相手が責任を担っていない場合まで、自分の受け取り方の問題にする必要はありません。
たとえば、
- 何度頼んでも、約束したことをしない
- 家事や手続きを、こちらが動くまで放置する
- 問題が起きると、話し合いから逃げる
- 「わからない」と言って、判断をすべて任せる
- 自分に不都合なことは、相手が片づけるものだと思っている
- 失敗すると、こちらの頼み方が悪かったことにする
この状態なら、実際に役割が偏っています。
「私は受け取るのが苦手だから」
「私が男性を信じられないから」
と自分だけを見直しても、相手の行動は変わりません。
まずは感情論を離れ、
- 誰が何を担当しているのか
- 何を約束したのか
- 相手は実際に行動しているか
- 自分が何を補っているのか
- 補わなければ、何が起きるのか
を確認します。
自分のイライラに過去の経験が関係していたとしても、現在の役割の偏りまで存在しないことにはなりません。
自分と相手が担っていることを具体的に分ける
「私ばかりやっている」
と感じているときは、実際に何をしているのか書き出してみます。
たとえば家のことなら、
- 食事の準備
- 日用品の補充
- 支払いの管理
- 予定の調整
- 家族への連絡
- 修理や手続き
- 将来の計画
- 問題が起きたときの対応
などです。
目に見える家事だけでなく、
「そろそろ必要だと気づく」
「いつまでに行うか考える」
「誰へ連絡するか決める」
といった、考える役割も含めます。
すると、
「手伝ってもらっていると思っていたけれど、指示を出すところまでは全部自分がしている」
と気づくことがあります。
相手が実際に何を担っているのかも見ます。
何もしていないと思っていたけれど、別の役割は引き受けている場合もあります。
反対に、手伝っているように見えても、言われたことを一度行うだけで、管理はすべてこちらということもあります。
「頼れる」「頼りない」という人物評価だけで話すより、
何を、どこまで担当してほしいのか
を具体的にしたほうが、話し合いやすくなります。
責める言葉を、具体的な依頼へ変える
不満がたまると、
「どうしてそんなに頼りないの?」
「もっとしっかりしてよ」
「普通は言われなくてもわかるでしょう」
と言いたくなります。
ただ、この言い方では、相手は自分全体を否定されたように感じやすくなります。
すると、
「自分だってやっている」
「そんな言い方をされるなら、もう何もしない」
と反発し、具体的な問題が置き去りになります。
伝えるときは、人物評価から行動へ変えます。
「次の旅行は、宿泊先の予約をあなたに担当してほしい」
「この手続きは、今週中に調べて申し込むところまでお願いしたい」
「私は家族への連絡を担当するので、あなたは支払い関係を確認してほしい」
「問題が起きたときに、私が結論を出すまで待つのではなく、あなたの案も聞かせてほしい」
「私一人で判断することが続いて疲れているので、今日はあなたに決めてほしい」
「もっと頼れる人になって」では、何をすればよいかわかりません。
依頼する内容と、いつまでに、どこまで行ってほしいかを伝えます。
相手が担おうとしたとき、すぐ自分で取り戻していないか
任せたいと思っているのに、相手が動き始めると口を出したくなることがあります。
やり方が遅い。
自分なら別の順番でやる。
細かいところが気になる。
失敗しそうで見ていられない。
そこで、
「もういい。私がやる」
と取り戻します。
これが繰り返されると、相手は、
「任せられても、結局やり直される」
と感じて、さらに動かなくなることがあります。
相手へ任せるなら、
自分と同じやり方でなくてもよい部分。
失敗しても本人が修正できる部分。
結果だけ確認すればよい部分。
を分けておきます。
ただし、相手が期限を守らない、放置する、約束した役割を返してくる場合まで、黙って待つ必要はありません。
任せることと、相手の無責任を引き受けることは違います。
「任せるのが苦手な自分」と「実際に相手が担わないこと」を一緒にしないようにします。
頑張る側と任せる側が固定されている場合
一方が考え、決め、動く。
もう一方は、指示を待つ。
この形が続くと、頑張る側はますます忙しくなり、任せる側はますます自分で考えなくなります。
頑張る側は、
「私がやらなければ進まない」
と思います。
任せる側は、
「その人が決めたほうが早い」
と思います。
その結果、女性がさらに多くを担い、
「なぜ私ばかり」
という怒りが強くなります。
この循環を変えるには、相手へお願いするだけでなく、任せた役割を途中で取り戻さないことも必要です。
相手が自分で考える時間を待つ。
本人に必要な連絡をさせる。
相手の担当で起きたことは、まず本人に対応してもらう。
こちらが先回りして問題を消さない。
ただし、生活やお金、安全に大きな影響が出ることは、二人で確認しながら進めます。
何度頼んでも相手が担わないとき
具体的にお願いした。
担当する内容も決めた。
期限も伝えた。
それでも相手が何もしない。
話し合おうとしても逃げる。
こちらが困るまで放置し、最後にはまた引き受けさせる。
その状態が続くなら、頼み方だけの問題ではありません。
相手が、二人の生活や関係に必要な責任を引き受ける意思があるのかを見る必要があります。
「自分が言い方を変えれば、いつか動いてくれる」
と頑張り続けるほど、自分の負担が増えることもあります。
相手がどこまでなら行動するのか。
約束を守らない状態を、今後も受け入れられるのか。
この関係で、自分はどの役割を担い続けることになるのか。
現実を見ることも必要です。
相手を責めずに伝えることと、何度約束を破られても我慢することは同じではありません。
男性への怒りから、自分が望む関係を確認する
男性にイライラしたとき、
「私は心が狭いのだろうか」
「もっと相手を信じたほうがよいのだろうか」
と自分を責める前に、何を望んでいたのかを確認します。
任せたことを、最後まで担当してほしかった。
問題が起きたときに、一緒に考えてほしかった。
こちらが言う前に、気づいて動いてほしかった。
自分だけに判断を集中させないでほしかった。
疲れているときには、相手から支えてほしかった。
怒りの奥にある望みがわかると、相手へ何を頼むのかも具体的になります。
そして、その望みへ相手が応じようとしているのかも見えてきます。
自分が頼ることを怖がっている場合もあります。
実際に相手が頼れない場合もあります。
両方が重なっていることもあるでしょう。
どちらか一方だけを原因にせず、二人の間で実際に何が起きているのかを見ることが大切です。
男性へのイライラが強く、話し合おうとしても毎回責める言葉になってしまうときには、今の相手への不満だけでなく、これまで一人で頑張ってきた疲れが積み重なっていることがあります。
自分が何を担い、相手に何を求めているのか。
相手が実際に担っていないのは何か。
任せたいのに、自分が取り戻していることはあるか。
何度伝えても変わらない部分を、今後どう扱うのか。
こうしたことを整理すると、「男性は頼りない」という大きな怒りから、今の関係で話し合うべきことが見えやすくなります。
男性への怒りをなくすことが目的ではありません。
「また私が全部やるの?」という怒りが出たときに、自分だけで引き受け直さず、相手が担うべきことを具体的に戻していく。
そして、お互いが自分の役割を引き受けられる関係かどうかを見ていく。
それが、「私ばかり頑張る関係」から離れるための一歩になります。
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