夫のことが嫌いなわけではない。
大きな問題が起きているわけでもない。
それなのに、子どもが成長したり、自分の時間が増えたりすると、「私は、この先もこの人と夫婦でいるのかな」と考えることがあります。
これから夫婦二人で過ごす年月を思い浮かべても、あまり楽しみだと思えない。
それよりも、もっと自分の好きなことをしたい。
一人で出かけたい。
仕事をしてみたい。
自分のために時間やお金を使いたい。
「これからは、自分の人生を生きたい」
そんな気持ちが強くなることがあります。
すると今度は、
「こんな理由で離婚を考えていいのかな」
「夫は悪い人ではないのに」
「子どもに申し訳ない」
と罪悪感が出てくる。
離婚したいのか、したくないのか。
自分でもわからなくなることがあります。
こんなときは、夫への気持ちだけを見ても、答えが出ないことがあります。
これまでの夫婦関係の中で何が起きてきたのか。
そして、自分はこれからどんな人生を生きたいのか。
その両方を見ていく必要があります。
- 夫婦には、関係が変わっていく時期がある
- 「嫌いではない。でも一緒にいたいとも思わない」
- 「自分の人生を生きたい」と思うことは、これまでを否定することではない
- 離婚したいのか、それとも自分の人生を取り戻したいのか
- 夫が反対するからできない、と思うとき
- 夫を悪者にすると、自分の人生まで夫次第になってしまう
- 自由に生きたいなら、その生活も自分で考えていく
- 自分で生きることと、一人で生きることは違う
- 離婚を考えると、罪悪感が出てくることがある
- 子どもにどんな人生を生きてほしいか
- 自分を大切にすると、夫との関係が変わることもある
- デッドゾーンの先に進むには、もう一度夫に関心を向ける
- デッドゾーンを越えた先に、もう一度親密さが戻ることがある
- 自分の人生を生きても、それでも夫と一緒にいたいか
- それでも、この人とはこれからを生きたくないと思うこともある
- 離婚するか迷ったときに、見ておきたいこと
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夫婦には、関係が変わっていく時期がある
付き合い始めた頃や、新婚の頃は、相手のことをもっと知りたいと思います。
何が好きなのか。
休日は何をしたいのか。
どんなことを考えているのか。
一緒にいるだけで楽しい。
多少気になるところがあっても、それほど大きな問題には感じない。
こうした時期を、ロマンス期と呼ぶことがあります。
でも、一緒に生活していくと、だんだん違いが見えてきます。
お金の使い方。
家事のやり方。
子どものこと。
休日の過ごし方。
実家との付き合い方。
仕事をどこまで優先するのか。
「私はこうしたい」「僕はこうしたい」
それぞれの考え方がぶつかるようになります。
こうした時期を、パワーストラグルと呼ぶことがあります。
そして、何度も同じことでぶつかっているうちに、
「もう言っても仕方ない」
「好きにすれば」
「期待しない方が楽」
と思うようになることがあります。
喧嘩は減ったかもしれません。
でも、それは関係が良くなったからではなく、もう話すことを諦めたからという場合もあります。
こうした状態を、デッドゾーンと呼ぶことがあります。
「嫌いではない。でも一緒にいたいとも思わない」
デッドゾーンでは、相手への関心が少しずつ減っていきます。
以前なら腹が立っていたことにも、何も言わなくなる。
夫が何を考えているのか知りたいとも思わなくなる。
自分の気持ちをわかってほしいという気持ちもなくなってくる。
そうすると、「夫が嫌い」というほどではない。でも、「この人ともっと一緒にいたい」とも思わない。
そんな状態になることがあります。
そこへ、子どもの成長や年齢の変化が重なると、「この先もずっと、この生活なのかな」という気持ちが出てきます。
そして、「これからは自分の人生を生きたい」と思うようになる。
ここで離婚が頭に浮かぶ人もいます。
「自分の人生を生きたい」と思うことは、これまでを否定することではない
この気持ちが出てくると、「私は今まで家族のために犠牲になってきたのかな」と考えることがあります。
もちろん、そう感じる人もいます。
でも、家族を優先してきたことを後悔している人ばかりではありません。
子どもが小さい頃は、子どもを優先することが幸せだった。
家族の予定を考えることも、自分が望んでしていた。
夫を支えることにも、家庭を作ることにも意味を感じていた。
そういう人もいます。
その頃の自分は、それが大切だと思っていた。
今は、望むものが変わってきた。
それだけのこともあります。
「あの頃は家族を中心に生きることが幸せだった」
「これからは、自分のことも大切にしたい」
この二つは両立します。
離婚したいのか、それとも自分の人生を取り戻したいのか
「これからは自分の人生を生きたい」と思うと、離婚すれば自由になれるように感じることがあります。
でも、少し分けて考えてみたいことがあります。
仕事をしたい。
一人で旅行したい。
友人との時間を増やしたい。
自分のお金を持ちたい。
夫とは別々の趣味を楽しみたい。
家族に合わせるだけでなく、自分の予定も大切にしたい。
こうしたことは、必ずしも離婚しなければできないことではありません。
そこで、
結婚したままでも自分の人生を生きられるとしたら、それでも離婚したいだろうか。
と考えてみると、自分の気持ちが少しわかりやすくなることがあります。
本当に夫との関係を終わりにしたいのか。
それとも、今までの生活の仕方を変えたいのか。
そこは分けて考えた方がいいのです。
夫が反対するからできない、と思うとき
自分がやりたいことを考え始めると、「夫が嫌がるから無理」「夫が反対するからできない」と思うことがあります。
実際に夫が反対していることもあるでしょう。
これまで妻が家にいることを前提にしていた夫なら、仕事を増やしたいと言われて戸惑うかもしれません。
一人で旅行したいと言えば、嫌な顔をするかもしれません。
家事の分担を変えたいと言えば、今まで通りを望むこともあるでしょう。
長く続いてきた夫婦には、それまでの役割があります。
妻が変わろうとすれば、夫にも変化が必要になります。
だから、夫が戸惑うこと自体は不思議ではありません。
ただ、「夫が反対したから、私はできない」となると、自分の人生を決める力まで夫に明け渡すことになります。
夫には夫の希望があります。
自分にも自分の希望があります。
夫の意見を聞いたうえで、「私はどうしたいのか」を考える必要があります。
夫が反対したからやめる。
それも、自分が選ぶなら自分の選択です。
反対されても、それでもやりたいと決める。
それも自分の選択です。
夫を悪者にすると、自分の人生まで夫次第になってしまう
思うように生きられないと、「夫がいるからできない」と思ってしまうことがあります。
実際に、夫の態度や考え方が影響している場合はあります。
でも、「夫さえ変わってくれれば、私は自由になれる」となると、自分の人生が夫次第になってしまいます。
夫が賛成してくれたら始める。
夫が理解してくれたら自由になれる。
夫が変わったら幸せになれる。
それでは、自分の人生を決める力を、まだ夫に預けたままです。
夫を悪者にしないというのは、夫の言動を何でも受け入れるということではありません。
夫がしたことや考えの責任は夫にあります。
そのうえで、その夫とどう関わるのか。
何を選ぶのか。
そこは自分の人生です。
※暴力、威圧、監視、経済的な制限など、安全に関わる問題がある場合は事情が違います。その場合は、一人で夫と向き合おうとせず、外部の専門機関などを利用してください。
自由に生きたいなら、その生活も自分で考えていく
自分の人生を生きるというのは、好きなことをするだけではありません。
たとえば、これまで夫が家計を支える中心だったとします。
夫の収入によって、今の生活が成り立っている。
その状態で、「もっと自由に生きたい」と思うなら、お金のことも考える必要があります。
自分はどのくらい働けるのか。
どのくらい収入が必要なのか。
自分で使えるお金をどう持つのか。
これからの生活をどう支えるのか。
離婚を考えるのであれば、住まいや生活費についても現実的に考える必要があります。
自分の人生を生きるということは、自分の希望を誰かに叶えてもらうことではありません。
自分が選んだ生活に必要なものを、自分でも考えていくことです。
自分で生きることと、一人で生きることは違う
「自分の人生に責任を持つ」と聞くと、何でも一人でやらなければいけないように感じる人もいます。でも、そうではありません。
一人では乗り越えにくいことが起きることもあります。
病気になることもある。
仕事で困ることもある。
気持ちが落ち込むこともある。
そんなときには、人を頼ってもいいのです。
友人に助けてもらう。
きょうだいや家族に相談する。
専門家に頼る。
必要なサービスを使う。
新しい人間関係を作っていく。
これまで困ったときは夫を頼ってきた人なら、「夫がいなくなったら一人になる」と感じることもあります。
でも、自分を支える人が夫一人である必要はありません。
自分の人生を生きるためには、夫以外にも人とつながっていくことが大切になる場合があります。
離婚を考えると、罪悪感が出てくることがある
夫に大きな問題がない場合ほど、「こんな理由で離婚していいのかな」という罪悪感が出やすくなります。
夫は悪い人ではない。
生活も支えてくれている。
長い間一緒にやってきた。
それなのに、自分の人生を生きたいという理由で離婚を考える。
すると、「私がわがままなのではないか」と思うことがあります。
子どもに対しても、「家族を壊すことになるのでは」「子どもに申し訳ない」と思うことがあります。
この罪悪感が強いと、本当は関係を終えたいのに、今まで通りに過ごすことを選ぼうとする場合があります。
反対に、「結婚している限り自分を優先してはいけない」と思っていると、自由になるためには離婚するしかないように感じることもあります。
罪悪感が強いと、「続けるか、離婚するか」の二つしか見えなくなることがあります。
罪悪感があるから今まで通りを選ぶ。
罪悪感から逃れるために離婚する。
そのどちらかだけで決めないことが大切です。
罪悪感があるからといって、今の結婚生活を続けなければならないわけではありません。
反対に、罪悪感から逃れたいから離婚すればいいということでもありません。
罪悪感そのものを判断材料にするより、
「私はこれからどう生きたいのか」「その人生の中で夫との関係をどうしたいのか」を見ていく方が、
自分の選択に近づきやすくなります。
子どもにどんな人生を生きてほしいか
子どもへの罪悪感が強いときは、子どもにどんな人生を生きてほしいのかを考えてみることもできます。
好きなことをしてほしい。
自分がやりたいことを見つけてほしい。
誰かのためだけに我慢し続けてほしくない。
自分の人生を大切にしてほしい。
そう願う人は多いでしょう。
だとしたら、自分が自分の人生を大切にする姿も、一つの見本になります。
自分には、そんな生き方をする女性の見本がいなかったかもしれません。
母や祖母は、家族を優先して生きていたかもしれません。
その時代には、それ以外の生き方を選ぶことが難しかった人もいます。
でも今は、以前より選べる生き方が増えています。
母や祖母の生き方を否定しなくても、自分は自分の時代に合った生き方を選ぶことができます。
自分を大切にすると、夫との関係が変わることもある
自分の希望をずっと我慢していると、「私はこんなに我慢しているのに」という気持ちが出てきます。
夫が自由にしているだけで、「どうしてあなただけ」と腹が立つこともあります。
でも、「私は私の人生を大切にしていい」と思えるようになると、
夫にも、「あなたもあなたの人生を大切にしていい」と思いやすくなります。
夫には夫の人生がある。
自分には自分の人生がある。
その二人が夫婦でいる。
これは、付き合い始めた頃の「何でも一緒」という関係とは違います。
お互いが別の人間だとわかったうえで、関係を作っていく形です。
デッドゾーンの先に進むには、もう一度夫に関心を向ける
自分の人生を大切にすることと、夫に無関心になることは違います。
夫婦として関係を続けたいのであれば、どこかで、「この人は、今どんなことを考えているのだろう」と、もう一度夫に関心を向ける必要があります。
これは簡単なこととは限りません。
以前、話して傷ついた。
わかってもらえなかった。
期待したのに応えてもらえなかった。
そんな経験があると、もう一度相手に関心を向けることは、当時の気持ちにも触れることになります。
「本当は寂しかった」
「もっと一緒にやりたかった」
「私の気持ちを知ってほしかった」
そんな思いが出てくることがあります。
だから、「もう夫には何も期待していない」と思っていた方が楽だったのかもしれません。
でも、その気持ちに気づくことで、夫との関係を改めて見直せることがあります。
デッドゾーンを越えた先に、もう一度親密さが戻ることがある
夫婦関係には、デッドゾーンの先に、もう一度ロマンス期が来ると考える見方があります。
これは、新婚時代に戻るということではありません。
最初のロマンス期では、まだ相手のことをよく知らない部分があります。
相手の欠点ですら良いものとして見えるし、違いもそれほど気にならない。
二度目は違います。
相手の嫌なところも知っている。
弱いところも知っている。
自分が傷ついたこともある。
自分も相手を傷つけたことがあるかもしれません。
考え方が違うこともわかっている。
そのうえで、「それでも、この人とどんな関係を作りたいのだろう」と考える。
自分の弱さも見せる。
相手の良さも受け取る。
違う人間同士だとわかったうえで、もう一度関わっていく。
最初のロマンス期とは違う親密さが、そこにはあります。
自分の人生を生きても、それでも夫と一緒にいたいか
離婚するか迷っているとき、考えてみたいことがあります。
もし、自分がやりたい仕事をできたら。
好きな場所へ行けたら。
自分のお金や時間を持てたら。
友人との関係もあり、夫だけを頼らずに生きられたら。
それでも、「この人とは一緒にいたくない」と思うでしょうか。
それとも、自分の人生が満たされてくると、「夫との関係も、もう少し違う形なら続けていけるかもしれない」と思うでしょうか。
離婚したいのか。
今の夫婦の形を変えたいのか。
そこを考えてみてもいいのかもしれません。
それでも、この人とはこれからを生きたくないと思うこともある
もちろん、自分の人生を見つめ直せば、必ず夫婦関係を続けたくなるわけではありません。
自分のやりたいことを考えた。
夫を悪者にせず、自分が選んできたことも見た。
結婚したままできることも考えた。
夫との関係にも、もう一度目を向けた。
それでも、「私はこの人とは、これからを一緒に生きたいとは思わない」とわかることもあります。
そのときに離婚を選ぶことも、自分の人生を選ぶことです。
大切なのは、
夫が悪いから離婚する。
夫が良い人だから離婚してはいけない。
その二つだけで決めないことです。
離婚するか迷ったときに、見ておきたいこと
離婚するかどうか迷ったとき、「夫をまだ好きなのか」だけを考えても、答えが出ないことがあります。
それよりも、
私はこれからどんな人生を生きたいのか。
その人生は、今の結婚生活の中でも作れるのか。
自分の希望を自分で引き受けるようになったとき、それでも夫と一緒にいたいのか。
夫にもう一度関心を向けたいと思えるのか。
そんなところまで見てみると、自分の気持ちが少しずつ整理されてきます。
離婚しないと決めたなら、今までと同じ夫婦に戻る必要はありません。
これまでとは違う二人の関係を作ることもできます。
離婚を選ぶなら、それも「夫が悪いから」だけではなく、自分がこれから生きたい人生を選ぶこととして考えることができます。
夫婦関係について一人で考えていると、夫への不満、子どもへの罪悪感、お金や生活への不安、自分のこれからへの思いが重なり、何を基準に考えればいいのかわからなくなることがあります。
カウンセリングでは、これまで二人の間で何が起きてきたのか、自分は何を諦めてきたのか、これからどんな人生を送りたいのか、その人生の中で夫との関係をどうしたいのかを整理していきます。
「自分の人生を生きたい」そう思ったときは、すぐに結婚を続けるか離婚するかを決める前に、
自分の人生を生きたうえで、それでもこの人と一緒にいたいだろうか。
そこまで考えてみてもいいのではないでしょうか。



