夫が優しくしてくれるのに素直に喜べないのはなぜ?|欲しかった愛情ほど受け取るのが怖くなる心理

恋愛・夫婦関係

「最近、夫が優しくなったんです」

そう聞くと、夫婦関係が良くなってきたように思えるかもしれません。
ところが、ずっと夫に優しくしてほしいと思っていたのに、いざ優しくされると素直に喜べないことがあります。

夫が「たまには二人で出かけようか」と言ってくれたのに、「急にどうしたの?」と思う。
自分の好きなものを買ってきてくれたら、「何か頼みたいことでもあるの?」と疑いたくなる。
いつもより気遣ってくれると、「何か悪いことでもしてきた?」と考えてしまう。

本当は、そうしてほしかったはずなのです。
もっと自分のことを気にしてほしかった。
優しくしてほしかった。
大切にしてほしかった。

それなのに、やっと欲しかったものが目の前に来たとき、嬉しさより疑いの方が先に出てくる。
そんな自分を見て、「私って面倒な人なのかな」と思うこともあるでしょう。

でも、欲しかったものを受け取れないのには理由があります。
そこには、夫への不信感だけでは説明できない心理が隠れていることがあるのです。

欲しかったものほど、受け取るときに恐れが大きくなる

たとえば、ずっと欲しかったものを誰かが目の前に差し出して、「これ、あなたにあげる」と言ったとします。

普通なら、すぐに手を伸ばして受け取りそうに思います。
でも、長い間欲しかったのに手に入らなかったものほど、実際には簡単に手を伸ばせないことがあります。

「本当にくれるの?」「あとで返してと言わない?」「受け取ろうとしたら、『嘘だよ』って引っ込めるんじゃない?」

そんな恐れが出てくるからです。

欲しいと思っているときよりも、「もしかしたら本当に手に入るかもしれない」となったときの方が、失う恐れは大きくなります。

夫婦の愛情でも、同じことが起こります。

ずっと夫からの優しさが欲しかった。でも、何度望んでも思うようにならなかった。
そのうち、「もう期待しない」と思うようになった。

そこへ突然、夫から優しさが差し出されると、嬉しいと感じる一方で、「これが続かなかったらどうしよう」という恐れも出てきます。

期待しなければ、がっかりしなくて済みます。
でも、受け取ってしまえば、また欲しくなるかもしれない。
また欲しくなったあとで失ったら、今より傷つくかもしれない。

だから、手を伸ばす前に疑いたくなるのです。

「どうせ続かない」と思っておけば、傷つかずに済む

夫が珍しく話を聞いてくれた。本当は嬉しいのに、「今日だけでしょ」と言いたくなる。

夫から誘われた。行きたい気持ちはあるのに、「今さら二人で出かけてもね」と断りたくなる。

夫が気遣ってくれた。そのまま受け取ればいいのに、「何かあるんじゃない?」と疑ってしまう。

こうした反応は、一見すると夫を拒んでいるように見えます。
けれど、その奥には、喜んだあとで傷つきたくないという恐れがあることがあります。

最初から「どうせ続かない」と思っていれば、夫が本当に元へ戻ったときにも、「やっぱりね」で済ませられます。

けれど、「嬉しい」「夫が変わってくれたのかもしれない」と期待したあとで元に戻れば、もう一度がっかりしなければなりません。

だから期待しない。受け取らない。先に冷めた態度を取る。

そうすることで、自分を守っていることがあるのです。

疑っているのは、本当に夫だけでしょうか

もう一つ、大きく関係するのが、自分に対する見方です。

同じように夫から優しくされたとしても、「嬉しい。ありがとう」と受け取れる人もいます。一方で、「なんで急に?」と疑う人もいます。

この違いには、それまでの夫婦関係も影響しますが、自分自身をどう見ているかが関係していることもあります。

たとえば心のどこかで、「私なんて大切にされるような人じゃない」「私が理由もなく優しくしてもらえるはずがない」と思っていたら、夫が優しくしてくれても、その行動をそのまま受け取ることが難しくなります。

自分が思っている自分と、夫から向けられた愛情が合わないからです。

すると、「何か裏があるはず」と理由を探します。

夫が私を大切にしているから優しい、というより、「何かやましいことがあるのでは」「何か頼みたいことがあるのでは」と考える方が、自分の中では納得しやすくなってしまうのです。

このとき、表面では夫を疑っています。
でも本当に疑っているのは、「私は、こんなふうに愛されてもいい人なのだろうか」ということなのかもしれません。

「私なんて愛されない」は、どこから来たのか

自分に自信が持てない理由は、人によって違います。

夫との関係の中でそうなった人もいるでしょう。夫に何度も拒まれた。話を聞いてもらえなかった。求めても応えてもらえなかった。

そんな経験が続けば、「私にはそれだけの価値がないのかな」と思うことがあります。

でも、始まりが夫との関係とは限りません。

以前の恋愛で、信じていた人に裏切られたのかもしれない。
子どもの頃、親に認めてもらいたくて頑張ったのに、なかなか認めてもらえなかったのかもしれない。
欲しいと言ったときに拒まれたり、喜んだあとでがっかりする経験を重ねてきたのかもしれません。

一つの大きな出来事があるとは限りません。
長い時間をかけて、「期待しない方がいい」「欲しがらない方が傷つかない」「大切にしてもらえると思わない方がいい」というやり方を身につけてきたこともあります。

そのやり方は、これまで自分を守るために必要だったのでしょう。だから、夫が優しくなったからといって、急に切り替えられるものではないのです。

妻が受け取れないと、夫にも恐れが出てくる

ここで起きていることを妻側だけから見ると、「私が素直になれないのが悪い」という話になってしまいます。

夫婦関係では、相手の反応も影響します。

たとえば夫が、「最近、妻と距離ができた気がする」と思い、久しぶりに食事へ誘ったとします。

ところが妻から、「どうしたの、急に」「何かあるんじゃない?」と言われる。

夫はそこで、「せっかく誘ったのに」と腹を立てるかもしれません。でも、その奥では、「やっぱり俺が何をしても喜んでもらえないのか」「近づいても拒まれるんだな」と傷ついていることもあります。

すると、夫も次に声をかけるのが怖くなります。もう誘わない。余計なことをしない。自分のことをする。

妻から見ると、その姿は「ほら、やっぱり続かなかった」ように見えます。そして、「やっぱり私は大切にされていない」と思う。

妻は、愛情を受け取って失うことが怖かった。夫は、近づいて拒まれることが怖くなった。

どちらも傷つかないために距離を取った結果、二人の距離がさらに広がってしまうことがあります。

「素直に受け取ればいい」では変わらない

ここで、「せっかく夫が優しくしてくれているんだから、素直にありがとうと言いましょう」と言われても、できないことが多いものです。

頭では、それがいいとわかっています。でも、優しくされると身構えてしまう。
何か理由を探したくなる。嬉しいと言ったら負けるような気がすることもある。

そんなときに必要なのは、無理に明るく「ありがとう」と言うことではありません。

まず、どうして私は、これを受け取るのがこんなに怖いのだろうと、自分の反応を理解することです。

夫の優しさを受け取ったら、何が起きそうに感じるのか。
またなくなるのが怖いのか。
期待する自分に戻ることが怖いのか。
自分が大切にされること自体が信じられないのか。

そこがわかると、必要なことも変わってきます。

受け取れない理由がわかれば、変えていくことができる

「私は人の愛情を受け取れない人なんだ」と決めつける必要はありません。

今受け取れないのには、それまでの経験があります。

「どうせまた裏切られる」という恐れが強いのであれば、以前傷ついた経験がまだ今の関係に影響しているのかもしれません。

「私なんか愛されるはずがない」という思いが強いのであれば、自分についてそう思うようになった背景を見る必要があります。

夫が何かしてくれるたびに腹が立つのであれば、まだ夫にわかってもらえていない悲しみや怒りが残っていることもあります。

理由が違えば、必要なことも違います。

だから、自分の反応を責めるより、「私は何が怖いんだろう」と見ていく方が、その先へ進みやすくなります。

そして、そこで見つかった気持ちは変えていくことができます。

過去に傷ついたことがあっても、今も同じ結果になるとは限りません。
以前は「愛される価値がない」と感じていたとしても、それをこの先も信じ続ける必要はありません。

受け取ることへの恐れが少なくなれば、「嬉しい」「ありがとう」と感じられる場面も増えていきます。

それは単に夫に優しくできるようになるということではありません。

誰かから大切にされることを、自分に許せるようになるということです。

夫婦の距離を変えるには、差し出す側だけでなく受け取る側も大切になる

夫婦関係について考えるとき、「夫がもっと優しくしてくれれば」「夫から歩み寄ってくれれば」と思うことがあります。

もちろん、夫が関わろうとすることは大切です。

でも、実際に夫が歩み寄ってきたとき、自分がそれを受け取れる状態なのかということも、夫婦の距離には関係します。

これは、妻だけが努力すればいいという話ではありません。夫には夫の側で向き合うことがありますし、妻には妻の側で見ていけることがあります。

相手が差し出す。それを受け取る。受け取ったものを、また相手へ返す。

そうやって二人の間で愛情や関心が行き来することで、夫婦のつながりは作られていきます。

もし今、夫が優しくしてくれるのに疑ってしまう。嬉しいはずなのに、冷たくしてしまう。「どうせ続かない」と思ってしまう。

そんなことがあるなら、「夫を信用できないから」とだけ考えなくてもいいのかもしれません。

何を受け取ることが怖いのか。どうして愛される自分を信じられないのか。いつから期待することをやめたのか。

その背景が見えてくると、夫との関係で変えていけることも見えてきます。

カウンセリングでは、夫の行動だけを見て「信用するべきか」を決めるのではなく、なぜその優しさを受け取れないのかを一緒に整理していきます。

そこに過去の傷があるなら、その傷を見ていく。自分には愛される価値がないという感覚があるなら、なぜそう感じるようになったのかを見ていく。夫婦の間にまだ怒りや悲しみが残っているなら、それも置き去りにしない。

そうして、今の自分にはもう必要のない守り方を少しずつ変えていくことができます。

欲しかった愛情を受け取れないことには、理由があります。

そして、その理由がわかれば、「私は受け取れない人だから仕方ない」で終わる必要はなくなります。

愛情を差し出されたときに、疑うことしかできなかったところから、「本当に私にくれるんだね」と受け取れるようになることもあるのです。

▶ 初めてカウンセリングを受ける方へ
▶ カウンセリングメニュー・予約方法を見る

こちらの記事もどうぞ

タイトルとURLをコピーしました