「好きにしたら」「どっちでもいい」に腹が立つのはなぜ?|夫婦の間で起きていること

恋愛・夫婦関係

「今度の休み、どうする?」

「好きにしたら」

「これ、どう思う?」

「どっちでもいいよ」

たったそれだけの返事なのに、ものすごく腹が立つことがあります。

「なんで私ばっかり決めないといけないの?」「少しくらい一緒に考えてよ」「自分には関係ないと思ってるの?」

聞いたのは、単に答えが欲しかったから。そう思っていたはずなのに、夫の返事を聞いた瞬間、思っていた以上にイライラしてしまう。

そして、「もういい。私が決めるから」と言いながら、ますます腹が立ってくる。

こういうとき、問題になっているのは、「どちらを選ぶか」だけではないことが多いです。

夫婦の間で、それまで何度も繰り返されてきたことが、その一言で一気に出てくるからです。

「どっちでもいい」に腹が立つとき、本当に欲しかったのは「答え」だけではないことがあります。

一緒に考えてほしい。
自分たちのこととして関わってほしい。
私だけに背負わせないでほしい。

そんな気持ちが、その一言の中に隠れていることがあります。

「どっちでもいい」が「どうでもいい」に聞こえる

夫からすれば、本当にどちらでもいいのかもしれません。「君の好きな方でいいよ」「自分はどちらでも楽しめるよ」。そんな意味で言っている可能性もあります。

でも妻には、「俺は考えない」「そっちで決めて」「俺には関係ない」と聞こえることがあります。

言葉そのものよりも、その言葉を聞いたときに何を感じたかが大きいのです。

たとえば、普段から家のことを自分ばかりが考えていると感じている人なら、「どっちでもいい」という一言で、これまで積み重なっていたものまで一緒に出てきます。

夕食をどうするか。休日をどう過ごすか。子どもの予定をどうするか。家電を買い替えるか。親のことをどうするか。旅行の日程をどうするか。

一つひとつはそれほど大きな問題ではなくても、「また私が考えるの?」という感覚が積み重なっていると、「どっちでもいい」がとても重く聞こえます。

腹が立っているのは、今日の予定についてだけではないのです。

欲しいのは「正解」ではなく、一緒に考えている感じ

夫婦で何かを決めるとき、必ずしも同じ意見である必要はありません。

「私はAがいい」「俺はBかな」

意見が違っていても、一緒に考えている感じはあります。

ところが、「好きにしたら」「任せる」「どっちでもいい」が続くと、「この人は、私たちのことを一緒に考えるつもりがあるのだろうか」と感じることがあります。

だから、「ちゃんと答えてよ」と言いたくなる。

でも、本当に欲しいのは、AかBかという答えではないこともあります。

「あなたも考えている」と感じたい。「これは私だけの問題ではない」と感じたい。「私たちのこととして関わってほしい」。

そこが満たされないから、腹が立つのです。

妻が答えを求めるほど、夫が曖昧になることもある

ここで、夫婦の間では別のことが起きていることがあります。

妻は「ちゃんと考えて」「あなたはどうしたいの?」「どっちなの?」と聞く。

ところが夫は、「どっちでもいい」「好きにしたら」「任せるよ」と、なかなか答えない。

すると妻はさらに、「なんで答えられないの?」「自分の意見くらいないの?」と強く聞く。夫はますます黙る。

最初は「どこへ行く?」という話だったはずなのに、いつの間にか夫婦喧嘩になってしまいます。

夫婦の間で、こんな流れができていることがあります。

妻が「一緒に考えてほしい」と答えを求める
↓
夫が曖昧に答える
↓
妻が「また私任せ」と腹を立てる
↓
妻がさらに答えを求める
↓
夫がますます答えなくなる
↓
妻は「この人は何も考えてくれない」と感じる

このやり取りが何度も続くと、二人とも相手に対する見方が固定されてきます。

妻は「夫は何も考えない人」と思う。夫は「何を言っても怒られる」と思う。

そして次に何かを決める場面でも、その前提を持ったまま話し始めます。まだ何も起きていないのに、すでに二人の間には緊張感があるのです。

夫は本当に「何も考えていない」のか

もちろん、本当に面倒だから妻に任せている人もいます。家庭のことを自分のこととして考えていない場合もありますし、責任を引き受けたくなくて曖昧な返事をする人もいます。

ですから、「夫が答えないのは妻が強く聞くから」と決めつけることはできません。

ただ、別のケースもあります。

以前、自分の意見を言ったら、「それは違う」「なんでそんなこと考えるの?」「そんなの無理に決まってるでしょう」と返された。

自分が決めたことで失敗したら、「あなたがそう言ったから」と言われた。

何を答えても、結局妻の希望する答えになるまで話が続く。

そんなことが何度もあれば、「下手なことを言わない方がいい」「妻に決めてもらった方が早い」と思うようになる人もいます。

すると妻から見ると、ますます「何も考えない夫」になります。

ここでも、どちらか一人だけを見ているとわからないことがあります。

二人の間で、いつからこの形ができたのか。

そこを見る必要があります。

「わかってほしい」と「責められたくない」がぶつかっている

妻の側には、「私の大変さをわかってほしい」「一緒に背負ってほしい」「私たちのことを考えてほしい」という気持ちがある。

夫の側には、「また怒られたくない」「正解を求められてもわからない」「責任を押しつけられたくない」という気持ちがあることがあります。

すると、妻は「もっと関わって」と近づき、夫は「これ以上言うと面倒になる」と引く。

夫が引けば、妻はさらに「わかってもらえない」と感じます。妻が強くなれば、夫はさらに引きます。

二人とも、自分なりに困った状況を何とかしようとしているのに、そのやり方によって二人の距離が広がっていく。

こういうことが、夫婦の間では起こります。

「好きにしたら」に怒っているとき、何が一番つらいのか

ここで一度、「夫にどう答えてほしいか」から離れてみてもいいと思います。

「どっちでもいい」と言われたとき、一番嫌なのは何でしょう。

決める責任を押しつけられることなのか。

自分のことを考えてもらえていない感じなのか。

夫婦なのに一人で生きているように感じることなのか。

いつも自分ばかりが家族のことを考えている気がすることなのか。

「私のことなんて、どうでもいいのかな」と感じることなのか。

ここがわかってくると、話す内容も変わってきます。

「どっちか決めてよ」と言い続けても伝わらなかったことが、「私は、私一人で決めている感じになるのがしんどい」「正解を言ってほしいわけじゃなくて、一緒に考えてほしい」「あなたがどう思っているのかを知りたい」なら、少し違う形で届くことがあります。

相手に何をしてほしいのかを考える前に、相手との間で自分が何を感じているのかを見る。

そこがわかると、「答えて」「ちゃんとして」という言葉の奥にあった、本当に伝えたかったことが見えてくることがあります。

会話がいつの間にか「攻防」になっていることもある

夫婦の話し合いがうまくいかないとき、会話の内容よりも、「また逃げるんでしょ」「また怒るんでしょ」という前提で相手を見ていることがあります。

妻は、夫が曖昧に答える前から「どうせまた私に丸投げする」と思っている。

夫は妻に聞かれた瞬間から「どう答えても怒られる」と思っている。

すると、声の調子や表情まで変わります。

妻の「どうしたい?」には、すでに苛立ちが含まれる。夫の「どっちでもいい」には、すでに距離を取ろうとする感じが含まれる。

二人とも言葉だけを聞いているつもりでも、実際には、その間にあるものも受け取っています。

だから、同じ「好きにしたら」という言葉でも、「本当に私の好きなものを選んでいいんだ」と感じる夫婦もいれば、「また全部私に任せるんだ」と感じる夫婦もいます。

違うのは言葉だけではありません。

その言葉が交わされるまでに、二人の間で何が積み重なってきたかです。

「誰が悪いか」だけを考えると、同じところを回りやすい

もちろん、夫にもっと関わってほしいと言う必要があることもあります。

家事や育児、家族の問題を一人で背負っているなら、役割について具体的に話す必要もあります。何でも「自分の捉え方の問題」にする必要はありません。

ただ、「夫が変われば解決する」と考えていると、同じやり取りが続くことがあります。

反対に、「私の言い方が悪いから」と全部自分の責任にしても苦しくなります。

見たいのは、二人の間でどんなやり取りが繰り返されているのか、です。

自分がどう関わると、相手はどう反応するのか。その反応を受けた自分は何を感じ、次にどうするのか。

そこが見えてくると、これまで繰り返していたやり取りの中に、別の選択肢が出てきます。

夫婦の間に、これまでと違うやり取りを作るには

「どっちでもいい」と言われ腹が立ったとき、すぐに冷静になるのは難しいものです。

腹が立つには、それなりの理由があります。

ただ、少し時間が経ってからでも、「私は、何にこんなに腹を立てたのだろう」と考えてみる。

すると、「また私だけが背負わされた気がした」「一緒に考えてくれないのが寂しかった」「私たちのことなのに、他人事みたいに感じた」というものが出てくることがあります。

そこまでわかると、次の会話は変えられます。

「どうして何も考えないの?」から、「私は、一緒に考えてもらえている感じがほしい」へ。

「あなたはいつも逃げる」から、「決めること自体より、一人で考えている感じになるのがつらい」へ。

相手を変えるための言葉というより、自分がその関係の中で何を感じ、何を望んでいるかを伝える言葉です。

もちろん、それを伝えれば必ず夫が変わるわけではありません。

それでも、自分がこれまでと同じやり取りを繰り返さないことはできます。そして、それに相手がどう応えるのかを見ることもできます。

まとめ|腹が立つ一言の奥に、二人の関係が見えることがある

「好きにしたら」「どっちでもいい」。

その一言だけを見れば、それほど大きなことではないように思えるかもしれません。

でも、なぜか強く腹が立つなら、そこにはこれまで二人の間で積み重なってきたものがあるのかもしれません。

一緒に考えてほしかった。自分だけに背負わせないでほしかった。もっと自分たちのこととして関わってほしかった。

あるいは夫の側にも、何を言っても責められるように感じて、言葉を引っ込めるようになった経緯があるかもしれません。

夫婦の問題は、「どちらが正しいか」だけでは見えないことがあります。

二人の間で何が起き、そのたびに何を感じ、どんなやり取りを繰り返してきたのか。そこを見ていくと、今まで「夫が悪い」「私が悪い」としか考えられなかったものが、違って見えてくることがあります。

カウンセリングでも、表面に出ている一つの言葉だけを取り上げることはしません。

なぜその一言がこんなにも苦しいのか。以前にも似たような気持ちになったことはないか。夫との間で何度も繰り返していることはないか。そして本当は、この人とどんな関係でいたいのか。

そんなところまで一緒に見ていきます。

夫婦の間で繰り返していることを、一人では整理しきれないときに

「何を話せばいいのかわからない」という状態でも構いません。今起きていることから、一緒に整理していきます。

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