エントリーはした。
条件も確認した。
お見合いにも行った。
相手は感じの悪い人ではなかったし、話もそれなりにできた。
それなのに、帰宅してから考えるのは、
「また会いたいかと聞かれると、よくわからない」
「断るほどではない。でも、続ける決め手もない」
「条件は悪くないのに、気持ちが動かない」
ということばかり。
就職活動なら、仕事内容や勤務条件を見て、ある程度は判断できます。
けれども婚活では、プロフィールに問題がないからといって、「では、この人に決めます」とはなりません。
条件が合うことと、その人と関係を育てていきたいと思えることは、同じではないからです。
だからといって、初対面で気持ちが盛り上がらなかった相手を、すぐに「違う」と判断してよいのかも迷います。
婚活で難しいのは、相手を選ぶことだけではありません。
今の自分が、相手に何を感じているのかを見分けることなのかもしれません。
婚活では、初対面から結婚の答えを出そうとしてしまう
婚活で誰かに会うと、ついその人を「将来の結婚相手」として見ようとします。
仕事は安定しているか。
生活の感覚は合いそうか。
会話は続くか。
家族関係に気になることはないか。
結婚後の暮らしを想像できるか。
確認したいことが多いため、目の前の相手と話しながら、頭の中では採点が始まっています。
「この人と一緒に暮らせる?」
「何十年も話が合う?」
「本当にこの人でいい?」
けれども、初めて会った相手について、そこまでわかるはずもありません。
相手も緊張しています。
自分も、よく見られようとして力が入っています。
婚活らしい質問を交わしているうちに、面接のようになってしまうこともあります。
その状態で心が動かなかったとしても、本当に相性が合わないのか、まだ相手のことが見えていないだけなのかは、判断しにくいものです。
「この人と結婚したいか」と考えるには、まだ材料が足りません。
初回で考えられるのは、もう少し手前のことです。
この人と、もう一度話してみたいか。
まずは、そのくらいでよいのです。
「心が動かない」にも、いくつかの種類がある
婚活で「何も感じない」と思ったとき、その感覚を一つにまとめない方がよいでしょう。
心が動かないと感じる状態には、いくつかの違いがあります。
明確に、もう会いたくない
相手の言動に失礼さを感じた。
こちらの話をほとんど聞かなかった。
店員への態度が気になった。
結婚観や人との関わり方に、受け入れにくい違いがあった。
断っていることを何度も押してきた。
次に会うことを想像するだけで、気持ちが重くなる。
このような場合には、「条件は悪くないから」と無理に続ける必要はありません。
相手が一般的にいい人かどうかよりも、自分が実際にどのように扱われたかを見ることが大切です。
婚活では、
「一度会っただけで判断するのは早いのでは」
「これくらい気にしていたら誰とも結婚できないのでは」
と、自分の違和感を打ち消したくなることがあります。
けれども、相手への尊重が感じられなかったことまで、考えすぎとして片づける必要はありません。
悪くないけれど、相手への興味が湧かない
嫌なことはなかった。
会話も成立した。
条件も希望から大きく外れていない。
それでも、相手のことをもっと知りたいと思えない。
話していた内容も、帰宅した頃にはほとんど覚えていない。
次に会って何を話したいかも浮かばない。
この場合は、単純に気持ちが向いていない可能性があります。
婚活では、相手に欠点がなければ続けるべきだと考えがちです。
しかし、「嫌ではない」と「関心がある」は別の感覚です。
結婚相手として不合格にする理由を探す必要はありません。
相手が悪いから断るのではなく、自分の気持ちがその人へ向いていないから進まないということもあります。
ただし、「強く惹かれない」というだけで即座に断る前に、
「その人について、もう少し知りたいことが一つでもあるか」
を考えてみてもよいでしょう。
何も浮かばないなら、その感覚も判断材料になります。
緊張していて、まだ何もわからない
会話はぎこちなかった。
沈黙もあった。
自分も相手も、プロフィールに書いてあることを確認するような話ばかりしていた。
特に嫌な印象はないけれど、楽しかったとも言い切れない。
この場合は、「合わなかった」というより、まだその人らしさが見えていないことがあります。
初対面から自然に話せる人もいれば、慣れるまで時間がかかる人もいます。
婚活の場では、いつもの自分より口数が減る人もいるでしょう。
相手を楽しませなければと思いすぎて、かえって堅くなることもあります。
強い違和感はない。
もう一度会うことが苦痛というほどでもない。
少し気になるところはあるけれど、まだ判断できない。
そんなときは、次に会うことを「この人を選ぶこと」だと考えなくてかまいません。
もう少し知ってから判断するために、もう一度話してみる。
そのくらいの位置づけでよいのです。
興味はあるのに、傷つく前に減点している
会話を思い出すことがある。
もう少し話してみたい気持ちもある。
けれども、
「話し方が少し気になる」
「服装の好みが合わない」
「もっと面白い人がいるかもしれない」
と、断る理由ばかり探してしまう。
このようなときには、相手への違和感だけでなく、関係が始まりそうになることへの恐れが出てきている場合があります。
期待して、うまくいかなかったら傷つく。
相手を好きになってから、合わないとわかったらつらい。
選んだあとで、間違いだったと思いたくない。
そのため、まだ気持ちが大きくなる前に、欠点を見つけて離れようとします。
過去の恋愛で、期待した分だけ傷ついた経験がある人もいるでしょう。
我慢して関係を続けた結果、疲れ切った人もいるかもしれません。
そんな経験があると、相手を慎重に見ること自体は自然です。
ただ、慎重に見ることと、わずかな気になる点を理由に可能性を閉じることは同じではありません。
相手の何が嫌なのか。
実際に自分を困らせる問題なのか。
それとも、近づくことが怖くなったときに、急に気になり始めたのか。
そこを分けて考える必要があります。
「ときめかないから違う」とは限らない
婚活で「心が動かない」と感じると、ときめきがないことを問題にする人もいます。
けれども、初対面で強く惹かれることだけが、相性のよさを表しているわけではありません。
過去に、追いかけなければ振り向いてくれない人や、気持ちが不安定になる相手との恋愛が多かった人は、落ち着いた相手を前にすると、
「何も起きない」
「物足りない」
と感じることがあります。
不安や緊張を、恋愛の高揚感として覚えているからです。
一方で、穏やかな人なら誰でもよいわけでもありません。
やさしくても、自分の意見をほとんど言わない。
会話をこちら任せにする。
何を考えているのかわからない。
そのような相手に物足りなさを感じるのは、刺激を求めているからとは限りません。
相手との間に、関係を一緒につくる動きが感じられないのかもしれません。
大切なのは、
「ときめいたか」
だけで判断することでも、
「安心できる人だから続けるべき」
と考えることでもありません。
自分の気持ちがどこで止まったのかを、具体的に見ていくことです。
条件が合うことと、相性が合うことは違う
婚活では、希望条件を考えることも必要です。
生活する地域。
仕事の状況。
子どもを望むかどうか。
お金の使い方。
家事や仕事に対する考え方。
結婚生活に大きく関わる条件もあります。
ただ、条件を満たしていれば関係が育つとは限りません。
条件は、暮らしを続けられる可能性を見るためのものです。
相性は、その人と実際に関わる中で感じるものです。
話をしたとき、自分の言葉をどのように受け取る人なのか。
意見が違ったとき、すぐに否定するのか、興味を持って聞くのか。
相手の前で、必要以上によく見せようとしていないか。
沈黙があったとき、苦痛なのか、少しずつ慣れていけそうなのか。
プロフィールだけではわからないことが、関わりの中で見えてきます。
だから、条件が合っているのに心が動かない自分を、わがままだと責める必要はありません。
同時に、初回で心が動かなかっただけで、相性が悪いと決める必要もありません。
「また会う」は、結婚を決めることではない
婚活で迷いが深くなる理由の一つは、次に会うことの意味を大きくしすぎることです。
もう一度会ったら、期待を持たせてしまう。
続けたら、結婚へ進まなければならない。
時間を無駄にしたくない。
そう考えると、一回ごとの判断が重くなります。
けれども、次に会うことは、その人を結婚相手に選ぶことではありません。
初回では見えなかった部分を、もう少し知るための時間です。
二回目に会ってみたら、初回より話しやすくなることもあります。
反対に、会う回数を重ねるほど違和感が明確になることもあります。
どちらになっても、その時間が無駄だったわけではありません。
自分がどのような人といると疲れるのか。
どのような会話を心地よいと感じるのか。
何を大切にしたいのか。
それを知る材料になります。
「この人と結婚できるか」より、「もう少し知りたいか」
婚活で決められないときには、自分への問いかけを少し変えてみます。
「この人と結婚できるか」
と考えるのではなく、
「この人について、もう少し知りたいことはあるか」
「次に会ったとき、聞いてみたいことはあるか」
「この人の前で、自分の話もしてみたいと思えるか」
「もう一度会うことは苦痛か、それともまだ判断がつかないだけか」
と考えてみます。
このとき、
「会いたいとは思わないけれど、断る理由もない」
という場合には、断る理由がないことより、会いたい気持ちがあるかを見る必要があります。
一方で、
「強く会いたいわけではない。でも、もう少し話せば何かわかりそう」
と思うなら、急いで答えを出さなくてもよいでしょう。
結婚相手を決める前に、この関係をもう少し知りたいか。
婚活の初期には、そのくらいの判断で十分なことがあります。
正解を選ぶより、関係の中で確かめていく
婚活をしていると、「間違った人を選びたくない」という気持ちが強くなります。
年齢や時間が気になるほど、早く正解を見つけなければと思うでしょう。
けれども、人との関係には、会う前から用意された正解があるわけではありません。
条件がよくても、関係が育たないことがあります。
初回はそれほど印象に残らなかったのに、会話を重ねる中で安心できるようになることもあります。
自分が相手を選ぶだけでなく、二人の間にどのような関係ができるのかを確かめていく必要があります。
心が動かないときには、その感覚を無視しない。
ただし、すぐに「この人は違う」と結論づける前に、
嫌なのか。
興味がないのか。
まだわからないのか。
興味はあるけれど、怖くなっているのか。
そこを分けてみます。
婚活がしんどくなると、どの相手に会っても同じように迷い、自分が何を感じているのかわからなくなることがあります。
カウンセリングでは、相手への違和感と、過去の恋愛から続く警戒や結婚への焦りを分けながら、自分がどのような関係を望んでいるのかを整理していきます。
「正しい相手を一度で見抜く」ことよりも、目の前の人との間で起きていることを確かめ、自分で次の一歩を選べるようになること。
その積み重ねが、自分に合う相手や関係を見つける手がかりになります。




