会うと疲れる人がいるのはなぜ?|人との間で無意識に頑張ってしまう心理

仕事・対人関係

「嫌いなわけではないんだよね」

「むしろ、いい人だと思ってる」

それなのに、その人と会ったあとは、なぜかどっと疲れる。

帰ってきてから、しばらく何もしたくなくなったり、一人になってようやくホッとしたりする。

何か嫌なことを言われたわけでもない。ケンカをしたわけでもない。

だからこそ、

「どうしてこんなに疲れるんだろう」

と自分でも不思議に思うことがあります。

もしかすると、その人と一緒にいる間、あなたは自分で思っている以上に、たくさんのことをしているのかもしれません。

会話をしているだけではなく、相手の表情を読み、言葉を選び、空気を調整し、相手が不快にならないように気を配る。

そうやって、人との間で無意識に頑張り続けていると、会っている最中は平気でも、あとになって疲れが出てくることがあります。

この記事のポイント

会うと疲れる人がいるとき、必ずしも「その人が嫌いだから」とは限りません。

その人との間で、

  • 相手の機嫌を気にしている
  • 沈黙を埋めようとしている
  • 相手に合わせて話題を選んでいる
  • 自分の本音を出さないようにしている
  • 相手を楽しませようとしている
  • 不機嫌にさせないように気を配っている
  • 「ちゃんとした人」でいようとしている

こうしたことを無意識に続けていると、心はかなりエネルギーを使います。

大切なのは、

「あの人と会うと疲れる」だけで終わらせず、その人といるとき、自分の中では何が起きているのかを見ることです。

人と会うとき、私たちは会話だけをしているわけではない

誰かと一緒にいるとき、私たちはただ言葉を交わしているだけではありません。

相手の表情を見る。

声の調子を聞く。

機嫌が悪くないか気にする。

「今の言い方、大丈夫だったかな」と考える。

話が途切れたら何か話題を探す。

相手がつまらなそうなら、もう少し盛り上げようとする。

相手が悩んでいたら、何か役に立つことを言おうとする。

こうしたことは、人との関係ではある程度誰でもやっています。

ただ、それが多すぎると、会話そのものよりも、

「この場をうまくやること」

にずっと神経を使うことになります。

本人はそれを「気を遣っている」とさえ思っていないこともあります。

長いあいだそうしてきた人にとっては、それが人と接するときの普通になっているからです。

相手の機嫌が気になりすぎるとき

たとえば、その人が少しの間黙った。

表情がいつもより硬い。

返事が短い。

それだけで、

「何かまずいこと言ったかな」

「怒っているのかな」

「退屈している?」

と気になってしまう。

そして、

「何か話さなきゃ」

「もう少し明るくしよう」

「機嫌を直してもらわなきゃ」

と動き始める。

でも、相手が黙っている理由は、本当はわかりません。

疲れているのかもしれない。

仕事のことを考えているのかもしれない。

ただ静かにしていたいだけかもしれません。

それでも、相手の様子が変わった瞬間に、

「私が何とかしなければ」

と反応してしまう。

この反応が強いと、人と会うことはとても疲れます。

相手の機嫌まで、自分が何とかしようとしてしまうからです。

「いい人でいたい」より、「嫌われたくない」が強いこともある

人に気を遣うというと、

「優しい人だから」

「思いやりがあるから」

と考えるかもしれません。

もちろん、それもあります。

ただ、気遣いの奥に、

「嫌われたくない」

「面倒な人だと思われたくない」

「わがままだと思われたくない」

「空気の読めない人になりたくない」

という怖さがあることもあります。

そうすると、本当は疲れていても、

「もう帰りたい」

と言えない。

興味のない話でも、楽しそうに聞く。

自分とは違う意見でも、

「そうですよね」

と合わせる。

頼まれたら、断る前に引き受ける。

そうやって、自分の気持ちよりも相手の反応を優先する時間が続けば、疲れるのは当然です。

でも本人は、

「そんなに無理しているつもりはない」

と思っていることがあります。

なぜなら、その場では「嫌われないこと」「うまくやること」の方が優先されているからです。

なぜ、その人といるときだけ疲れるのか

誰と会っても同じように疲れるわけではない、という人も多いでしょう。

ある人とは何時間一緒にいても平気なのに、別の人とは1時間でも疲れる。

疲れるかどうかは、相手がどんな人かだけで決まるわけではありません。

その人との間で、

自分がどんな自分になっているか

も関係します。

ある人の前では、自然に話せる。

ある人の前では、失敗しないように緊張する。

ある人の前では、頼っても大丈夫だと思える。

ある人の前では、弱いところを見せないようにする。

ある人の前では、ずっと聞き役になる。

同じ自分でも、人によって出てくる部分は違います。

そして、その違いの中には、感情があります。

安心している。

怖い。

緊張している。

認めてほしい。

嫌われたくない。

負けたくない。

怒らせたくない。

人との間にどんな感情があるかによって、同じ会話でも疲れ方は大きく変わります。

今の相手だけではなく、過去の人間関係が影響していることもある

相手に特別問題があるわけではないのに、なぜか緊張する。

そんなときは、今の関係だけでは説明できないこともあります。

たとえば、子どもの頃、親の機嫌をよく見ていた。

怒らせないように言葉を選んでいた。

家の中が険悪になると、自分が明るく振る舞っていた。

何か欲しいと言うと嫌な顔をされた。

失敗すると強く責められた。

そんな経験があると、

「人が不機嫌になると、自分が何とかしなければ」

「相手をがっかりさせてはいけない」

「迷惑をかけない方が安全」

という反応が身につくことがあります。

大人になった今は、その必要がない相手に対しても、似た反応が出ることがあります。

私たちのカウンセリングでは、こうした過去の経験や、そのときに十分に感じられなかった感情が、潜在意識や無意識から今の人間関係に影響することがあると考えます。

だから、

「この人、別に怖い人じゃないのに、なぜ私はこんなに緊張するんだろう」

ということが起きるのです。

疲れる理由を、もう少し分けて考えてみる

会うと疲れる人がいると、

「相性が悪いのかな」

「距離を取った方がいいのかな」

と思うことがあります。

もちろん、本当にこちらを傷つけたり、無理を押しつけたり、境界線を越えてくる人であれば、距離を取ることが必要な場合もあります。

でも、疲れたというだけで、

「この人とは合わない」

と決めなくてもいいのです。

なぜなら、その疲れが、

相手とのやり取りそのものから来ているのか、

それとも、

その人との間で自分が頑張りすぎた結果なのか、

で意味が違うからです。

この2つを分けて見てみると、人間関係の見え方が変わることがあります。

「私は何を頑張っていたんだろう」と見てみる

会ったあとに疲れたとき、

「あの人といると疲れる」

だけで終わらせずに、少し振り返ってみます。

たとえば、

「私は何を気にしていたんだろう」

「何を言わないようにしていたんだろう」

「相手にどう思われることを怖がっていたんだろう」

「本当は、あのとき何をしたかったんだろう」

と考えてみます。

すぐに答えが出なくても構いません。

「ずっと相手の顔色を見ていたかも」

「沈黙が怖くて、ずっと話していた」

「本当は帰りたかったのに言えなかった」

「相手の話を聞きながら、嫌だと思う自分を抑えていた」

そんなことに一つ気づくだけでも、その関係の中で何が起きているのかが少し見えてきます。

気づきは、変化そのものではなく、変化が始まる入口です。

相手を切るか、我慢するかの二択にしなくてもいい

会うと疲れる人がいると、

「もう会わない方がいいのかな」

と思うこともあります。

でも、人間関係はいつも、

「付き合う」か「切る」かの二択ではありません。

たとえば、

会う時間を短くする。

毎回こちらが話題を提供しない。

相手が黙っていても、そのまま待ってみる。

無理に笑わない。

自分とは違う意見のときは、すぐに同意しない。

疲れたときには帰る。

頼まれたことを、その場で即答しない。

こうしたことも、関係を変える一つの方法です。

大きく関係を変える前に、

自分がその人との間でしていることを、一つ減らしてみる。

それだけで、会ったあとの疲れ方が変わることもあります。

人との間で何が起きているのかを見る

私たちは、人と関わるとき、その人だけを見ているわけではありません。

その人といる自分も、そこにいます。

緊張する自分。

頑張る自分。

合わせる自分。

言いたいことを飲み込む自分。

反対に、安心する自分。

話したくなる自分。

頼りたくなる自分。

人との関係を考えるとき、

「あの人はどんな人なんだろう」

だけではなく、

「この人といるとき、私の中では何が起きているんだろう」

と見てみる。

すると、その人との関係だけではなく、自分がこれまでどんなふうに人と関わってきたのかも見えてくることがあります。

もし、いつも誰かと会うと必要以上に疲れてしまうのであれば、単に「人付き合いが苦手だから」ではなく、人との間で無意識にたくさんのことを引き受けてきたのかもしれません。

カウンセリングでは、その場で何を我慢しているのかだけではなく、なぜ相手の機嫌がそこまで気になるのか、なぜ自分の気持ちより相手を優先してしまうのか、その背景にある過去の経験や感情も見ていきます。

そこに気づき、必要のない頑張りが少しずつほどけていくと、

「この人といるときは、こうしなければ」

ではなく、

「私は、この人とどんなふうに関わりたいんだろう」

と選べることが増えていきます。

人との関係を変えるために、いつも相手を変える必要があるわけではありません。

まずは、その人との間で、自分が何をしているのか。

そこに興味を持ってみるところから始めてみてください。

こちらの記事もどうぞ

タイトルとURLをコピーしました