「甘えていいよ」って言われても……
え、それって私にとってはエベレスト級のミッションなんですが?
——そんな自立系女子のみなさま。
今回は、「甘えること」へのモヤモヤと向き合いながら、
ちょっと肩の力が抜けるような“頼り方のヒント”をお届けします。
「甘えるって、そんなに必要?」と思っていた
誰かに甘えること。頼ること。
言葉にすれば簡単そうに聞こえますが、実際には「いやいや、それって私にはちょっとハードル高すぎませんか…?」と感じる人も多いはず。
特に、これまで一人でがんばってきた女性にとっては、
- 甘えるくらいなら、自分でなんとかした方がマシ
- 迷惑かけたくないし、頼ったら相手に嫌われるかも
…そんな気持ちが先に立つのも、無理はありません。
でも、そもそも——
「甘えるって、そんなに必要なことなんでしょうか?」
👉 恋愛で“がんばる私”が止まらない理由——甘えることにブレーキをかけている心のクセ
(「甘える=負け」の感覚にモヤモヤする方へ)
甘えることに、なぜそんなに抵抗があるのか?
たとえば——
友人に「最近ちょっとしんどくてさ」と言いかけたのに、
「…でもまあ、私より大変な人もいるし」と慌てて話を打ち切ったこと。
職場で「手伝おうか?」と声をかけられても、
「大丈夫です!」と反射的に笑顔で返してしまった場面。
そんな経験、ありませんか?
甘えられない人の多くは、どこかで「甘える=迷惑をかけること」だと感じています。
- 自分でできるのに頼むなんて、相手に悪い気がする
- 弱音を吐いたら、引かれるんじゃないか
- 一度甘えたら、ずっと頼らなきゃいけなくなりそう
そんな不安が、無意識にブレーキをかけてしまうのです。
また、子どもの頃に十分に甘えられなかった経験があると、
「どうやって甘えていいのかわからない」「そもそも甘えるって何?」という感覚になることもあります。
“頼る”という行為が、安心ではなく緊張や警戒と結びついている場合、
甘えることに強い抵抗が生まれても、まったく不思議ではありません。
でも…なんで「甘えたほうがいい」って言われるの?
「甘えることは大切」「もっと受け取って」と言われるけれど、
それって本当に必要なの?と思ってしまう気持ちが、出てくることってあります。
でも実は、甘えることにはこんな意味があります。
甘える=つながりを深めるカギ
人は、相手に何かを“してもらった”ときに、
「この人と、もっと関わっていきたいな」と感じやすくなります。
つまり、甘えることで相手の“関わる余地”が生まれる。
そしてそれが、信頼関係の“あたたかさ”や“安心感”を育てていくのです。
👉 “理想の相手”を追い求めてしまう心理——その背景にある心のクセとは?
(誰にも頼れず完璧を求めてしまう恋愛パターンについてはこちら)
さらにもうひとつ。
甘えられないまま過ごしていると、「ひとりでがんばるのが当たり前」になっていきます。
でも、ときにその頑張りが、周りの人にこう思わせてしまうことがあります。
「この人って、私のこと必要としてないのかも」
本当は誰かとつながりたいのに、
“頼らない私”が、“近寄りがたい私”をつくってしまっていることも。
甘えることは、“弱さ”じゃなくて“つながり”の入り口
心理学では、健全な人間関係のあり方として「相互依存(interdependence)」という考え方があります。
これは、依存でもなく、完全な自立でもない、
お互いが「頼れるときは頼り、支えられるときは支える」関係性のこと。
この“相互依存”があることで、人は孤立せずに安心しながら、自由に動けるようになります。
ただし……自立を極めてきた人にとって、
「頼っていいよ」「甘えて大丈夫」なんてメッセージは、むしろプレッシャーにすら感じるかもしれません。
「いや、それができたら苦労してないんですけど」
「“甘えていい”って言われるのが、一番ハードル高いんですけど」
そう思う方もいると思います。
だからこそ、無理して甘えようとする必要はありません。
たとえば——
- コーヒーを入れてもらったら「あ、ありがとう」と座って受け取ってみる
- 誰かのアドバイスに「うん、ちょっとやってみる」と返してみる
そんな、“ちょっとだけゆだねる”場面を、自分なりに見つけてみる。
それだけでも、十分すぎるくらい意味があるのです。
相互依存って、「なんでも分け合いましょう」じゃありません。
一人でも立てるけれど、必要なときには肩を貸し合える関係。
それは、完璧な自立を手放すことではなく、
“自分のままで人と関われる柔らかさ”を育てていくことなのだと思います。
甘えるって、どうやってやればいいの?
たとえば、コンビニで袋詰めにもたついていたとき、
後ろにいた人がさっと手伝ってくれた。
その瞬間、「ありがとうございます」よりも先に、
「あ、大丈夫ですっ!」と条件反射で口にしてしまったこと、ありませんか?
それも、“甘えることへのブロック”のひとつかもしれません。
とはいえ、いきなり「今日から甘えてみよう!」と言われても、戸惑うのが普通です。
そこで、まずはこんなふうな“小さなシーン”から試してみるといいのかもしれません。
- 重たい荷物を持ってくれたら「ありがとう、助かる〜!」と素直に言ってみる
- 「よかったら話聞くよ」と言われたら、「じゃあ…聞いてもらってもいい?」と返してみる
- 「無理しないでね」に対して、「じゃあちょっと休もうかな」と言ってみる
最初はソワソワするかもしれません。
「今の私、キャラじゃないよね?」と自分にツッコミたくなるかもしれません。
でも、少しずつ慣れてくると——
「…なんかムズムズするけど、まあ全否定するほどじゃないかも?」
くらいの気持ちになれる瞬間が、ふっとやってきます。
最後に、ちょっとだけ自分に声をかけてみるなら
何より大切なのは、
これまで“ひとりで何とかしてきた私”を、全力でリスペクトすること。
頼らず甘えず、自分の足で立ってここまで来た。
それってもう、拍手ものです。本当に。
だからこそ、こう提案してみたいのです。
「今日くらい、“甘えることができる私”を試してみてもよくってよ」(お嬢様風で😁)
甘えることは、何も「弱さをさらすこと」ではありません。
むしろ、“甘えることができる私って、大人の余裕あるじゃない?”くらいの感覚でいいんです。
全部は無理でも、コーヒー一杯分くらいの重さなら、誰かに持たせてみるのも悪くない。
「お願い」「助かる」「ありがとう」って言っても、誰も“ガッカリ”なんてしません。むしろ好感度アップかもしれません。
ちょっとだけ誰かにゆだねてみることも、
あなたらしい“ゆるやかな強さ”のひとつかもしれません。