「ちゃんと言ったよね?」が通じない日常の謎〜気づかいが空回るのは、なぜだろう〜

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気づかいが空回りしてしまう理由、遠慮と我慢の境界、本音が言えない不安

「ちゃんと伝えたはずなのに、なぜか伝わらない…」
そのすれ違い、もしかすると“心のクセ”が関係しているのかもしれません。

「言ったつもり」が、伝わっていない⁉️

「ちゃんと言ったよね?」
「いや、聞いてないけど?」

……このすれ違い、誰にでも一度は経験があるかもしれません。
しかも、こういうときに限って自信満々に「言ったはず」と思っていたりするから、ややこしい。

ちなみに私の母は高齢なのですが、最近よくあるのが「これ買ってきてって言ったのに!」というお買い物エピソード。
スーパーから帰ってくると、「あれ買ってきてないやん!」と理不尽に怒られるのですが……
私はまったく言われた記憶がない。
でも母は、しっかり言ったつもりでいるんです。どうやら頭の中では、ちゃんと私に頼んでいるらしい。脳内では、たぶん3回くらい私に伝えてるんでしょう。

ただ、今回のお話はそれとはちょっと違う現象です。

ここで言う「言ったつもり」は、まだまだ現役バリバリの私たちが、
人間関係の中で気づかないうちにやってしまう“すれ違いのクセ”のこと。

たとえば——
・心の中では10分前から怒っていたけど、口に出したのは「ちょっと…」だけだった
・「疲れてるね」と言ってほしくて無言になったけど、相手は「機嫌悪いのかな」としか思っていなかった
・「なんで察してくれないの?」とモヤモヤするけど、そもそも“察してほしい内容”を言ってない

こんなふうに、「自分の頭の中では完璧に伝えてる」つもりでも、相手の頭の中には一ミリも届いてなかった…なんてこと、わりと日常茶飯事だったりします。

コミュニケーションのすれ違いって、
“スキル不足”とか“性格の違い”だけじゃなくて、
そもそも「自分の心の中を、相手も一緒に見ている前提」で話している——そんな無意識のクセが、大きなすれ違いを生んでいるのかもしれません。

とはいえ、「なんでも全部言えばいい」ってものでもないのが人間関係のむずかしさ。
空気を読んだり、察したり、あえて言わなかったり——それもまた、思いやりのかたちだったりするから。

でも、ちょっとした場面で「本当に伝わってるかな?」と立ち止まってみることは、すれ違いの予防になるかもしれません。

言葉は出したけど、伝わったかどうかはまた別問題。
“言葉”と“伝わる”のあいだには、実はけっこう深い谷があるのかも…しれませんね。

気づかいは、言葉にしないと伝わらない?

「そんなの、言わなくてもわかると思った」
「気をつかって、あえて言わなかった」
「私なりに、ちゃんと配慮したつもりだった」

——それでも、伝わらないことってありますよね。

気づかいって、本来とてもやさしい気持ちから出てくるものなのに、
それが「わかりにくさ」に変わってしまうと、逆に誤解や距離を生んでしまうこともあります。

たとえば、こんなこと。

・あえて言わなかったのに「なんで黙ってたの?」と責められる
・先回りして気をつかっていたのに、「押しつけがましい」と受け取られてしまう
・相手のためを思って控えめにしたのに、「気がないのかと思った」と勘違いされる

……こういうすれ違い、なかなか切ないですよね。

私たちはつい、「言わなくても伝わるはず」「このくらい、わかってくれるはず」って、
“わかってほしい前提”で動いてしまいがちです。
とくに長く付き合ってきた相手や、近しい関係ほど、その傾向は強くなります。

でも実際には、「伝えないと、伝わらない」ことのほうが多いのかもしれません。

もちろん、「言わなきゃ伝わらないんだから、全部言え!」という話ではないんです。
大事なのは、“言葉にしない優しさ”と“伝えることの大切さ”のバランスを、自分の中でちょっと見直してみること。

▶︎関連:「しゃしゃり人の心理を暴露!笑いと怒りが交錯する自己表現の裏側
(気をつかいすぎる自分にちょっと思い当たる方におすすめの記事です)

遠慮と我慢の境界線——どこまでが“やさしさ”?

やさしくしたつもりが、「なんか距離感じるよね」と言われたことはありませんか?

たとえば、
友達のちょっとした一言にモヤッとしたけど、「楽しい空気を壊したくないな」と思ってスルーしたり、
仕事で納得いかない依頼があったけど、「言ったら面倒そうだし…」と飲み込んだり。

本当はちょっと引っかかってた。
本当は少し傷ついていた。
でも、「ここで言ったら角が立つかも」「相手に悪いかな」と思って飲み込んだ。

……結果、相手には“平気な顔”しか届いていない。
しかもその笑顔が、「あなたって本当に大人で優しいよね」とか言われちゃったりして。
(いや、そうじゃないんだ…という声が心の奥でうずく。)

遠慮と我慢って、どこか似ています。
でも実は、遠慮は「相手への配慮」、我慢は「自分への犠牲」という大きな違いがあります。

やさしさのつもりだったのに、なぜか息苦しい。
そんなときは、「これは遠慮?それとも我慢?」と、心の中で問いかけてみてもいいかもしれません。

本音で話すと、関係が壊れる気がしてしまうとき

「本音で話したほうがいい」
「ちゃんと気持ちを伝えたほうが、相手もわかってくれる」

そんなアドバイス、耳にしたことはあるかもしれません。
でも実際にやろうとすると、ちょっと怖くなったりしませんか?

本音を出すことで、
・相手が引いてしまうかもしれない
・空気が悪くなるかもしれない
・「めんどくさい人」と思われるかもしれない

そんな不安がふとよぎって、結局、「まぁ、いっか」と胸の中にしまいこんでしまう。
……そうして、“わかってほしかった気持ち”だけが、取り残されてしまうんですよね。

これ、よくよく見ていくと、「過去の経験」が関係していることが多いんです。

たとえば、
・昔、がんばって気持ちを伝えたのに、笑われたことがある
・「そんなこと言うなんて冷たい」と言われて、ひどく傷ついた
・言いたいことを言ったら、相手との関係が終わってしまった

そんな記憶があると、「もうあんな思いはしたくない」と心が無意識にブレーキをかけてしまう。
つまり、“関係を守るために、本音を隠している”ということなんですよね。

▶︎関連記事:LINEの返信が来ない…不安になる心理と対処法を解説!
「ちゃんと伝えたいけど、怖い」と感じたときに、参考になるかもしれません。

ほんの少しの“ズレ”が、関係を冷たくすることもある

「え?そんなつもりじゃなかったのに…」
そう思ったこと、ありませんか?

ちょっとした言い方の違い、タイミングのズレ、表情の曖昧さ——
ほんの少しのすれ違いが、相手には「冷たくされた」「無視された」と映ってしまうことがあります。

たとえば、
・ただ余裕がなかっただけなのに、「怒ってるの?」と聞かれる
・自分では冗談のつもりだったのに、相手が本気で傷ついてしまう
・「大丈夫」と言ったけど、本当はちょっと気にしてたことが、あとで相手に責められる

こうした“ズレ”は、どちらかが悪いという話ではなく、
お互いの「受け取り方」と「伝え方」の違いから生まれてくるものです。

しかも厄介なのは、ズレが生じたときって、
お互いに「傷ついた側」になってしまいやすいということ。

「どうしてそんな言い方をするの?」と思ったり、
「こっちだって一生懸命だったのに」とイライラしたり。
気がつけば、お互いが「被害者」の気分になって、心の距離が広がってしまう。

だけど、そこで「もしかして、ちょっとだけ受け取り方がズレてたのかも」と気づけると、
それだけで、なんとなく相手が近く感じられることがあります。

ちょっと心をゆるめるだけで、関係は変わる

「もっと上手に伝えなきゃ」
「ちゃんと気持ちをくみ取らなきゃ」
そう思えば思うほど、なんだか会話がぎこちなくなってしまう——
そんな経験、ありませんか?

人と関わるとき、私たちはつい“ちゃんとしよう”と頑張りすぎてしまうことがあります。
でも、関係がスムーズになるきっかけって、実は“完璧なやりとり”よりも、
ほんの少しの“余白”にあったりするんです。

たとえば、
・「今ちょっと余裕ないんだよね」と素直に言ってみる
・「これ、うまく伝わってるか不安なんだけど…」と前置きして話してみる
・「なんか言いすぎたかも、ごめんね」と、あとから少し歩み寄ってみる

そんな小さなひと言が、相手の緊張をほぐしてくれたり、
「この人とは安心して話せそう」と感じさせてくれることがあります。

がんばって言葉を選んだり、間違えないように気を張るより、
“伝えたい気持ちがあること”そのものを見せることのほうが、
ずっと人の心に届いたりするんですよね。

▶︎関連記事:夫の説得に流されない!自分の意見を大切にするためのコミュニケーション術
自分の気持ちをつい後回しにしてしまう方に、ヒントになるかもしれません。

🌱最後に:心を整えるヒントを見つけたい方へ

日々の会話の中で、
「ちゃんと伝えたいのにうまくいかない」と感じることって、誰にでもあるものです。

でもその背景には、言葉そのものよりも、
“心のクセ”や“思い込み”といった、もっと繊細な何かが隠れていることも。

そんなコミュニケーションの“奥にあるもの”を、
少し立ち止まって見つめてみるだけで、関係はずいぶん変わってくるかもしれません。

もしも今、「誰かともっと心地よくつながりたい」
「すれ違いに疲れてしまうことがある」
そんな思いがあるなら——

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少人数で、自分らしいコミュニケーションのヒントをやさしく学べる時間になりそうです。

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