夫の浮気を責めずにはいられないのはなぜ?|怒りの下にある悲しみ

浮気・不倫

夫の浮気がわかった直後は、怒りが止まらなくなるものです。

「どうしてこんなことをしたの?」「いつからだったの?」「私に嘘をついていたの?」「相手とはもう会っていないの?」と、聞きたいことが次々に出てきて、責める、問い詰める、何度も確認する。同じことを繰り返し聞いてしまうこともあります。

それだけ傷ついたのですから、怒りが出るのは不思議なことではありません。けれど、しんどいのはそのあとです。
夫を責めたあとで、「また言ってしまった」「こんな自分は嫌だ」と今度は自分を責め始め、「私にも悪いところがあったのではないか」「夫が浮気したのは、私のせいだったのかもしれない」と考えるようになることがあります。

浮気発覚後には、夫への怒りと、自分を責める気持ちが行ったり来たりすることがあります。
この記事では、怒りをやめる方法ではなく、なぜそこまで夫を責めたくなるのか、なぜそのあと自分まで責めてしまうのか、その奥にある気持ちを見ていきます。

夫を責めずにはいられないほど、傷ついている

浮気をしたのは夫です。だから発覚直後に、「夫が悪い」と思うのは自然なことです。信じていた相手から裏切られたのですから、怒りが夫へ向かうのは当然でしょう。

ただ、怒りだけがあるわけではありません。その奥には、「私がどれだけ傷ついたかわかってほしい」「どうして私ではだめだったの?」「ちゃんと私を愛してほしかった」「こんなにつらい私を助けてほしい」という気持ちがあります。

「わかってほしい」「愛してほしい」「助けてほしい」。それだけ夫との関係を大切にしていたからこそ、浮気によって大きく傷ついたのです。

もし本当にどうでもいい相手なら、ここまで苦しくならないかもしれません。怒りが強いということは、それだけ大切だったものが傷ついたということでもあります。

怒りの奥には、大きな悲しみがある

浮気されたときに傷つくのは、「夫が別の女性と関係を持った」ということだけではありません。
信じていたのに嘘をつかれていた、自分が知らないところで別の関係が続いていた、二人で過ごしていた時間まで本当だったのかわからなくなる、自分ではない女性を選ばれたように感じる、夫婦のためにしてきたことが何の意味もなかったように思える。いくつもの痛みが一度にやってきます。

「悲しい」と一言では片づけられないほどの悲しみです。だから、その悲しみをそのまま感じるより先に、「どうしてなの?」「許せない」「絶対にわからせたい」と怒りが出てくる。

怒りには、傷ついた自分を支える役割もあります。悲しみが大きすぎるときに、怒ることで何とか立っていられることがあるのです。

なぜ、傷つけた夫にわかってほしくなるのか

「こんなに傷つけたのだから、あなたがちゃんとわかってよ」と思うのは当然です。
傷つけた本人なのだから、どれほど傷ついたのか理解してほしい。謝ってほしい。苦しさを受け止めてほしい。「ほかの人に話したって意味がない。私は夫にわかってほしい」と思うこともあるでしょう。

ただ、浮気をした夫自身が、自分のしたことへの罪悪感をまだ受け止められない状態にいると、妻の痛みを十分に受け止めることができません。

妻から「どれだけ傷ついたと思っているの?」と言われるほど、自分がしたことを突きつけられます。その罪悪感を受け止める力がまだないと、夫は逃げたり、黙ったり、話を終わらせようとしたり、逆に怒ったりすることがあります。

すると妻は、「こんなに苦しいのに、まだわかってくれない」「反省していない」「私より自分を守ることの方が大事なの?」と、さらに傷つきます。そして、もっとわからせたくなります。

わからせようとするほど、夫が逃げることがある

ここには、とても苦しい循環が起こります。
妻は傷ついているから夫にわかってほしい。夫にわかってもらえないから、さらに強く訴える。夫は責められるほど罪悪感が刺激され、それを受け止められずに逃げたり、自分を守ろうとしたりする。その姿を見た妻は、「やっぱりこの人には私の痛みがわからない」とさらに傷つき、また責める。

妻が悪いわけでも、苦しさを伝えてはいけないわけでもありません。夫にわかってほしいと思うこと自体が問題なのでもありません。ただ、夫がまだ妻の痛みを受け止められる状態ではないときに、夫だけにその役割を求め続けると、妻自身の傷がますます深くなってしまいます。

「傷つけた本人なのに、どうして私が夫の状態まで考えなければならないの?」と思うかもしれません。納得しにくい話だと思います。

それでも、ここで大切なのは夫を守ることではなく、これ以上、自分の傷を増やさないことです。

夫以外の人にわかってもらっても、心は癒されていく

夫にわかってもらえなければ、この傷は癒えないのでしょうか。そんなことはありません。

友人や家族に話す。信頼できる人に「それはつらかったね」と言ってもらう。カウンセラーに、怒りも悲しみもそのまま話す。誰かに受け止めてもらうことで、心の中にたまっていた感情は少しずつ動いていきます。

感情は、押し込め続けていると残りやすいものです。でも、言葉にしたり、誰かに受け止めてもらったり、自分で感じたりすることで、少しずつ通り過ぎていきます。
一度話しただけで全部楽になるわけではありませんが、「私はこんなにつらかった」と誰かにわかってもらうことで、一人で抱えていた悲しみが少しずつ外へ出ていきます。

夫に伝える必要がなくなるということではありません。まず自分の傷を少し手当てしてから夫と話した方が、「わからせなければ」という気持ちだけで話さずに済みます。

攻撃は、夫だけではなく自分にも向かう

浮気がわかったとき、最初に攻撃は外へ向かいやすいものです。「浮気をした夫が悪い」「こんなことをした夫が許せない」。その一方で、ほとんど同時に、自分への攻撃も始まります。

「私にも悪いところがあったのではないか」「妻として何か足りなかったのかもしれない」「もっと優しくしていればよかったのかな」「夫を責めてばかりいる私はひどい人だ」と、自分を責めるようになります。

夫を責めて、その夫を責めている自分まで責める。外にも内にも攻撃が向いている状態です。これでは心が休まりません。

本当はとても傷ついているのに、「誰が悪いのか」を探し続けることで、その傷そのものを癒すところまでたどり着けなくなるのです。

「夫が悪い」「私が悪い」だけでは見えないことがある

浮気という行動については、その行動をした本人に責任があります。だから、浮気をされた側が「私が悪かったから浮気された」と背負う必要はありません。

ただ、カウンセリングでは、「なぜ夫は浮気という行動を選んだのか」を見ていくことがあります。それは、浮気を正当化するためではありません。夫の中にも、その行動に至るまでの寂しさや不満、逃げたい気持ち、弱さ、言葉にできなかったものがあったのかもしれません。
だからといって、浮気をしてよかったことにはなりません。

同じように、妻が夫を責め続けてしまうのにも理由があります。それだけ悲しかった。それだけ傷ついた。夫にわかってほしかった。「責めてはいけない」とだけ言われても、その気持ちはなくなりません。

大切なのは、誰かを悪者にすることだけでなく、「夫には、浮気という行動に至る背景があった」「妻には、責めずにはいられないほどの傷があった」と、それぞれに何が起きていたのかを見ることです。

これは、「誰も何も悪くない」という話ではありません。したことの責任と、その人に何が起きていたのかを理解することは別の話です。発覚直後にここまで考える必要はありません。まず「夫が許せない」と思っていてもいいのです。

「私のせいだったのかも」と思い始めたとき

夫を責め続けたあと、今度は自分を責め始めることがあります。「私も忙しくて夫の話を聞いていなかった」「夫にきつく当たっていたかもしれない」「夫婦の時間を大切にしていなかった」と、自分の至らなかったところが気になり始めます。

振り返れば、自分にも悪かったなと思うことが見つかるかもしれません。でも、「夫婦関係に改善できるところがあった」ことと「夫が浮気したのは私のせい」は同じではありません。

夫婦の関係は二人で作っています。だから、関係の中でお互いに見直せることが出てくることはあります。一方で、浮気をするという行動を選んだ責任は、その行動をした本人にあります。

ここを混同してしまうと、「私がもっと良い妻だったら浮気されなかった」と、自分を責め続けることになります。夫への攻撃が自分への攻撃に変わっただけでは、苦しさはなくなりません。

まず必要なのは、夫婦の答えより傷ついた自分の手当て

浮気がわかると、「離婚するのか」「やり直すのか」を早く決めなければならないように感じることがあります。でも、発覚直後は、まだ心の中に怒りや悲しみがあふれています。

そんなときに大きな決断をしようとしても、昨日は「絶対離婚する」と思っていたのに、今日は「やっぱり離婚したくない」と思うこともあります。気持ちが揺れるのはおかしなことではありません。

この時期にまず必要なのは、自分がどれだけ傷ついたのかをわかってあげることです。
眠れないほど苦しい、食べられない、何度も浮気のことを考えてしまう、夫の顔を見るだけで怒りが出る、自分と浮気相手を比べてしまう。そんな自分に、「早く立ち直らなければ」とさらに負担をかけないことです。

そして、一人で抱え込まず、話せる人に話す。怒ってもいいし、泣いてもいい。同じことを何度話してもいい。まず、その感情を受け止めてもらうことです。

悲しみを感じられるようになると、怒りの形も変わっていく

少しずつ心が落ち着いてくると、それまで怒りとして出ていたものの中に、「本当は寂しかった」「私は愛してほしかった」「私との関係を大切にしてほしかった」「一人にしないでほしかった」という気持ちが見えてくることがあります。

怒りが完全になくならなくても構いません。ただ、「私は怒っている」だけだったものが、「私はここが悲しかった」「これがつらかった」とわかるようになると、夫への伝え方も少し変わってきます。

「あなたのせいで全部めちゃくちゃになった」とぶつけるだけだったところから、「私は、あなたに嘘をつかれていたことがとても悲しい」「私は、私たちの関係を大切にしてほしかった」と、自分の気持ちとして伝えられるようになってきます。

夫が本当に妻の痛みと向き合えるようになるためにも、責められることから逃げるだけの状態ではなく、自分がしたことを受け止められる状態になる必要があります。悔しいですが、そこには時間がかかることもあります。

まとめ|怒りをなくすより、悲しみを一人にしない

夫の浮気がわかって、責めずにはいられない。責めたあとで自分を嫌いになり、「私にも悪いところがあったのでは」と今度は自分を責める。この流れには、それぞれ理由があります。

夫を責めるのは、それだけ傷ついたからです。その奥には、「わかってほしい」「愛してほしい」「助けてほしい」という気持ちと、大きな悲しみがあります。その悲しみを、傷つけた本人にわかってほしいと思うのも当然です。

ただ、夫自身がまだ自分のしたことへの罪悪感を受け止められないときは、妻の痛みを十分に受け止められず、逃げたり、防衛したりすることがあります。だから、夫にわかってもらうことだけを、自分が回復するための唯一の方法にしないことも大切です。

友人や家族、カウンセラーなど、自分の気持ちを受け止めてくれる人に話すことでも、感情は少しずつ動いていきます。怒りを無理に止める必要はありません。まず、「私はそれだけ悲しかったんだ」と自分の傷を理解し、誰かに受け止めてもらいながら、悲しみを一人で抱え続けないことです。

そうして少しずつ傷が落ち着いてから、夫とどうしたいのか、夫婦としてこれからどうするのかを考えていけばいいのです。

頭ではわかっていても、夫を見るとどうしても責めてしまう、自分を責めることも止められないというときには、一人で整理しようとしなくても構いません。今起きている怒りや悲しみを、そのまま話せる場所としてカウンセリングをご利用いただけます。

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