浮気が発覚したあと、夫がこう言うことがあります。
「離婚するつもりはない」
「大事なのはお前だ」
「家庭を壊す気はない」
「相手とはちゃんとする」
「もう少し時間がほしい」
こう言われると、妻の心は大きく揺さぶられます。
離婚するつもりはないのか。
私との生活は残したいのか。
それなら、まだ夫婦としてやり直せるのかもしれない。
そう思いたい気持ちが出てくることもあります。
でも、現実を見ると、どうにもすっきりしない。
夫は家に帰ってくる。
離婚したいとは言わない。
家族としての顔もする。
妻との生活も続けようとする。
けれど、浮気相手との関係も、はっきり終わっているようには見えない。
妻からすれば、こう言いたくなると思います。
では、あなたはいったい何を選んでいるのですか。
妻とは別れない。
でも、浮気相手も切らない。
家庭は残したい。
でも、外の関係も惜しい。
責められるのは嫌。
でも、自分から何かを失う覚悟もない。
この状態が続くと、妻はどんどん疲れていきます。
浮気そのものも、もちろん傷つく出来事です。
でも、そのあと夫がどっちつかずの場所に立ち続けることで、傷はさらに広がっていきます。
問題は、浮気相手が好きかどうかだけではありません。
夫が、どっちつかずで無責任だということです。
「妻とは別れない」は、妻を選んだ証拠とは限らない
浮気が発覚したあと、夫が家に帰ってくる。
離婚したいとは言わない。
家で食事をする。
家で眠る。
これまで通り、家族としての生活を続けようとする。
これを見ると、一見「妻のところに戻ってきた」ように見えることがあります。
でも、ここで一度、分けて見ておきたいのです。
家に帰ってくることと、妻と向き合うことは別です。
生活を続けることと、関係を作り直すことも別です。
離婚しないことと、責任を取ることも別です。
夫が家にいる。
それはたしかに、家庭を残している状態です。
でも、それだけで「妻を選んだ」とは言い切れません。
妻を選ぶというのは、ただ家に帰ることではありません。
妻が傷ついたことに向き合う。
自分が何を壊したのかを見る。
浮気を自分の責任として扱う。
これから夫婦としてどうするのかを考える。
そこまであって、初めて「妻との関係に向き合う」と言えるのだと思います。
家には帰る。
でも、傷ついた妻と向き合おうとはしない。
家庭は残す。
でも、責任を問われると話をそらしたり、その場から離れようとする。
離婚はしない。
でも、何も失わずに済ませようとしている。
これでは、妻からすると「選ばれた」というより、「生活だけ残された」ように感じることがあります。
夫は妻を選んだのではなく、今の生活を失いたくないだけなのかもしれない。
ここは、関係改善を考える前に見ておきたいところです。
夫が残したいのは、妻だけではない
浮気が発覚すると、妻はどうしても考えます。
私が大事なのか。
浮気相手が大事なのか。
どちらを選ぶつもりなのか。
それは当然です。
裏切られた側からすれば、夫の気持ちを確かめたくなります。
自分が選ばれるのか、浮気相手が選ばれるのか、知りたくなるのも自然です。
でも、どっちつかずの夫を見るとき、「誰が好きか」だけで考えると、かえって本当の状況がわかりにくくなることがあります。
なぜなら、夫が残したいのは、特定の女性だけではない場合があるからです。
妻との生活。
家。
家族としての形。
周囲からの見え方。
帰る場所。
これまで積み上げてきた日常。
それを失いたくない。
一方で、浮気相手との関係には、別のものがあります。
非日常の刺激。
男として見られる感覚。
求められている感じ。
家庭では見せなくなった顔を出せる場所。
日常から少し逃げられる時間。
それも手放したくない。
つまり、夫の中で起きているのは、
「妻か、浮気相手か」
ではなく、
「できれば両方残したい」
という状態になっているのかもしれません。
かなり都合のいい話です。
妻からすれば、生活も心も傷ついています。
信頼も崩れています。
これからどうすればいいのか、毎日考えさせられています。
それなのに夫だけが、
家庭も残したい。
浮気相手との関係も惜しい。
自分の立場も守りたい。
責められるのはつらい。
でも、自分からは決められない。
という場所にいる。
これは、関係改善以前に、かなり不公平な立ち位置です。
「どちらも大事」は、優しさではなく保留かもしれない
夫がこんなことを言う場合があります。
「お前も大事」
「相手にも申し訳ない」
「簡単に切れない」
「どちらも傷つけたくない」
「自分でもどうしていいかわからない」
一見、悩んでいるように聞こえます。
でも、妻からすると、ここでまた傷つきます。
なぜなら、「どちらも傷つけたくない」と言いながら、すでに妻は大きく傷ついているからです。
夫は、誰も傷つけたくないような顔をしている。
でも、現実には妻を傷つけている。
そして、その妻の前で「相手も傷つけたくない」と言う。
ここで妻は思うわけです。
私の傷は、どうするつもりなのですかと。
「どちらも大事」は、言葉だけだと優しくみえるかもしれません。
でも、裏を返せば、どちらにもはっきり責任を取っていない状態でもあります。
妻には、家庭を続けるような顔をする。
浮気相手には、完全には終わらないような余地を残す。
自分は、悩んでいる人の位置に立つ。
すると夫は、浮気をした人の位置から、いつの間にか「苦しんでいる人」の位置へ移動します。
でも、妻が見たいのは、夫の苦悩の深さではありません。
何を終わらせるのか。
何を引き受けるのか。
誰に対して、どんな責任を取るのか。
そこです。
悩んでいることと、責任を取っていることは違います。
決めないことで、妻を待たせている
妻とは別れない。
浮気相手も切らない。
夫は「決められない」と言うかもしれません。
でも、決めないことは、何もしていないことではありません。
決めないことで、妻を余計に苦しめています。
夫が本当に戻るのか。
浮気相手とは終わるのか。
また同じことを繰り返すのか。
今後の夫婦関係をどう考えればいいのか。
妻は、全部わからないまま生活することになります。
朝起きても、わからない。
夜になっても、わからない。
話し合っても、はっきりしない。
夫の言葉を聞いても、結局どうしたいのかわからない。
この状態は、かなりつらいものです。
夫は「迷っている」と言うかもしれません。
でも、その迷っている時間にも、妻は苦しんでいます。
自分の痛みを抱えながら、夫の判断待ちをさせられる。
これは、ただ待っているだけではありません。
夫の保留に、妻の時間と感情が使われているのです。
しかも、夫が決めないままでいると、妻の中には別の苦しさも出てきます。
私が急かしすぎているのか。
私が責めすぎているのか。
待ってあげるべきなのか。
夫にも事情があるのか。
そうやって、いつの間にか妻が自分を抑える側に回ってしまうことがあります。
でも、本来は妻にも選ぶ権利があります。
夫がどうするのかを待つだけではなく、妻自身が、
この状態をどこまで受け入れるのか。
何が変わらないなら続けられないのか。
関係改善に進むためには、何が必要なのか。
そこを見ていく必要があります。
夫が失いたくないのは、浮気相手だけではない
妻から見ると、夫は浮気相手を失いたくないように見えることがあります。
もちろん、それもあるかもしれません。
でも、もう少し奥を見ると、夫が失いたくないものは、浮気相手だけではないことがあります。
いい夫でいたかった自分。
家庭を壊した人になりたくない自分。
浮気相手から悪者扱いされたくない自分。
妻から完全に見捨てられたくない自分。
周りから責められたくない自分。
つまり、夫は相手だけでなく、自分のイメージも失いたくないのです。
「自分はそこまで悪い人間ではない」
「事情があった」
「相手にも責任がある」
「家庭にも問題があった」
「自分だって苦しかった」
そうやって、少しでも自分の立場を守りたくなることがあります。
もちろん、夫婦関係の中に問題があった場合もあるでしょう。
家庭が冷えきっていたこともあるかもしれません。
寂しさや不満があったのかもしれません。
でも、それと浮気の責任は別です。
夫婦関係に問題があったことと、浮気していいことは同じではありません。
ここを混同すると、妻はいつの間にか、
「私にも悪いところがあったから」
「夫も苦しかったのだから」
「私が責めすぎると関係改善できないから」
と、自分の傷を後回しにしてしまいます。
でも、浮気をした責任は、まず夫の側にあります。
そのうえで、関係を続けるなら、二人の間に何があったのかを見ていく。
順番を間違えないことが大切です。
関係改善の前に、夫がどこに立っているかを見る
離婚しない。
別れない。
できれば関係を作り直したい。
そう思うことは、自然です。
長く一緒に過ごしてきた時間がある。
家族としての事情がある。
まだ気持ちが残っている。
簡単には終わらせられない。
そういうこともあると思います。
ただ、関係改善を目指すなら、最初に見るべきなのは「自分が許せるかどうか」だけではありません。
夫が、どこに立っているのかです。
妻との関係に向き合う場所に立っているのか。
それとも、家庭も浮気相手も自分の立場も、全部残せる場所に立っているのか。
ここを見ないまま、妻だけが頑張ってしまうと苦しくなります。
許さなきゃ。
信じなきゃ。
責めすぎないようにしなきゃ。
関係改善しなきゃ。
そうやって妻だけが努力する形になると、関係改善ではなく、妻の一人作業になってしまいます。
二人の関係を作り直すなら、夫も自分の都合のいい場所から降りてくる必要があります。
夫が何を残したがっているのか。
何を失いたくないのか。
何から逃げているのか。
何を自分の責任として引き受けるつもりがあるのか。
そこを見ることが、関係改善の前に必要になります。
妻が見るべきなのは「愛情があるか」だけではない
妻は、どうしても夫の気持ちを知りたくなります。
私を愛しているのか。
浮気相手を好きなのか。
本当はどうしたいのか。
どちらが大事なのか。
当然です。
でも、夫の気持ちだけを追いかけると、苦しくなることがあります。
夫の言葉は一定ではありません。
その場その場で、言い方が変わることもあります。
責められたくなくて、妻が聞きたい言葉を言うこともあります。
自分でも整理できていないまま、曖昧なことを言うこともあります。
だから、見るべきなのは、愛情があるかどうかだけではありません。
夫が何を守ろうとしているのか。
何を失う覚悟がないのか。
何を妻に負わせているのか。
何を自分の責任として扱っているのか。
そこです。
「大事なのはお前だ」と言う。
でも、妻の痛みに向き合わない。
自分の責任を曖昧にする。
家庭も外の関係も、自分の立場も守ろうとする。
それなら、言葉だけを見ても苦しくなります。
愛情があるかどうかだけでは、関係改善はできません。
責任を取る姿勢があるか。
自分が失うものを引き受ける覚悟があるか。
妻を待たせ続ける位置から降りる気があるか。
そこを見る必要があります。
まとめ
妻とは別れないのに、浮気相手も切らない夫。
その状態を見ると、妻は何度も混乱します。
私を選んだのか。
浮気相手が大事なのか。
家庭を残したいだけなのか。
それとも、何も失いたくないだけなのか。
ここで大切なのは、夫の言葉だけを追いかけないことです。
「離婚するつもりはない」
「大事なのはお前だ」
「どちらも傷つけたくない」
「自分でもどうしていいかわからない」
そう言われても、見るべきなのは、その言葉のあとに夫がどこに立っているかです。
妻の傷に向き合う場所に立っているのか。
それとも、妻も家庭も浮気相手も自分の立場も、全部残せる場所に立っているのか。
夫の心理を理解することは、夫をかばうことではありません。
でも、夫が何を失いたくなくて、どこで責任を曖昧にしているのかが見えてくると、妻も少しずつ整理しやすくなります。
私は何に傷ついているのか。
何についてはっきりしないままにされているのか。
何が変わらないなら、関係改善には進めないのか。
そこを見ていくことができます。
関係を続けるなら、妻だけが頑張るのではなく、夫も都合のいい場所から降りてくる必要があります。
まずは、夫が本当に何を選び、何を手放す覚悟があるのか。
そこに、今の関係の状態が表れています。
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