“どうせ幸せになれない”思い込みが選ばせる、恋愛の地雷

安心できる恋愛に違和感を覚える心理を描いたイメージ オススメ記事

「なんか怪しい人に惹かれちゃう」「ちゃんとした人には違和感がある」——そんな恋愛パターン、心当たりありませんか?
本記事では、なぜ“誠実な愛”に不安を感じてしまうのか、そして“危うい関係”に安心してしまうのか、その心理的背景をやさしく、ちょっと笑いも交えて解説します。
“どうせ幸せになれない”という思い込みが、あなたの恋のGPSを狂わせているかもしれません。

◆ 「なんかちょっと危なそう」な人のほうが、なぜか気になる

あなたの周りにもいませんか?
「明らかにやめといた方がいいよね?」って思うような相手に、なぜか毎回引っかかる友人。
もしくは、過去の自分。

たとえば——

  • LINEの返信はいつも深夜で、「寝てた、ごめん」の定型文
  • 元カノの悪口が3分に1回のペースで出てくる
  • 仕事や将来の話をすると、「うーん…今ちょっと環境が安定してなくて」と目をそらす

客観的に見ればフラグ立ちまくりなのに、なぜかその人の“影”に惹かれてしまう。
一方で、定時に連絡をくれて、ちゃんとデートの予定を立ててくれる“いい人”には——

「んー、優しすぎて逆にちょっと違うかも」

……逆に違うって何。
こっちの方が地雷じゃないのに。なぜそっちを避ける?

そんな“違和感あるある”は、単なる好みや性格の問題ではなく、
心に染みついた思い込みや「慣れ」のせいかもしれません。


◆ 脳内にある「恋愛とはこういうもの」スキーマ

心理学では、人が繰り返し体験したことを「これが普通」と無意識にインストールしてしまう傾向を、「スキーマ」と呼びます。
要するに、あなたの頭の中にある“恋愛のテンプレート”です。

たとえばこんなテンプレート——

  • 愛されるには我慢が必要
  • 好きな人には振り回されるのが当然
  • 自分の気持ちを抑えてでも相手を優先しないと関係は続かない

これが“恋愛とはこういうもの”として刷り込まれていると、
誠実で、丁寧で、平和な関係には、なぜか「物足りなさ」や「違和感」を覚えてしまいます。

言ってしまえば、“爆発物処理班”としてのスキルに過剰適応しすぎた結果、平和な日常に退屈してしまうようなもの。

安心よりも、ちょっとした不安の方に「これこれ、恋してる感!」と反応してしまうなら、
それは感情が“安全”より“スリル”を優先するよう訓練されてしまっているからかもしれません。


◆ “安心”が怖いのは、「それに慣れてないから」

たとえば、あなたが突然高級ホテルのスイートルームに案内されて、
「こちら本日から1週間ご宿泊いただけます」と言われたとします。

えっ、なんで?
何の裏があるの?
これってなにかの詐欺の前兆?って思いませんか?

人は、“自分の基準にない安心”に直面すると、不安になる生き物です。

同じように——

  • 「俺は浮気なんてしないよ」と言われたら
    →「なんでそんなこと急に言うの?逆に怪しい…」
  • 優しくされたら
    →「いや、こういうときこそ裏があるんじゃない?」
  • 大切にされ始めると
    →「私の“中身バレ”るのが怖いから距離を置こうかな…」

……こうした反応は、実はかなり多くの人に共通する“あるある”です。
つまり、「優しさに慣れてないだけ」という話。

安心は“正解”なのに、経験が少ないせいで“異物”に感じてしまう。
それが「安心=違和感」に変換される理由です。


◆ 無意識の「証明作業」が恋の地雷を引き寄せる

さらにややこしいのが、人は「自分が信じていること」を証明しようとする性質があるということ。
これを心理学では「確証バイアス」と呼びます。

たとえば、あなたの中に「私はいつも選ばれない側」という思い込みがあるとしたら——

  • 「あえて既読スルーする人」を好きになる
  • 「曖昧な関係」を好む
  • 「都合のいい時だけ優しい人」との関係に居続けてしまう

こうして、自分の思い込みに沿った現実を、自分の手で再現してしまうのです。

「まただよ、私っていつもこう」
「また裏切られた」
「またちゃんとした人を切り捨ててた」

——その“また”は、無意識があなたの予想通りに動いてくれてる証拠でもあります。
ちっとも嬉しくないけど。


◆ “ちゃんと愛される自分”を想定していない問題

誠実な人と向き合おうとしたとき、
なぜか居心地が悪くなったり、逃げたくなったことはありませんか?

それはもしかすると、「私はそんな扱いをされるような人間じゃない」という古い脚本が反応しているのかもしれません。

「バレるのが怖い」というのは、“本当の自分”の欠点がバレるのではなく、
「ちゃんと愛される資格がないと思ってる自分」がバレそうで怖いということ。

つまり、心の深い部分では、
「雑に扱われるくらいがちょうどいい」
「期待されない方がラク」
「傷ついても“やっぱりね”で済む」
という損なポジションを、なぜか“自分にふさわしい”と信じ込んでしまっているのです。


◆ 「選んでるつもり」が「選ばされてる」になるとき

あなたは今まで、“自分の意思で選んでる”と思ってたかもしれません。
でも、その選び方が“過去の慣れ”や“心のクセ”に操られていたとしたら?

本当は“平和な関係”を求めているのに、
気づけば“爆発確率80%の地雷”に向かって歩いてる。

ちゃんと愛してくれる人には、「なんか違う」と首をひねり、
いつ振り回してくるかわからない相手には、「でも気になる」と目がハート。

これはもう、感情のGPSがズレてるとしか言いようがありません。
でも、それはあなたがダメだからでも、見る目がないからでもありません。

ただただ、“安心の方向にアンテナを向けた経験が少ない”だけなんです。


◆ 「違和感」は、人生が変わろうとするサインかもしれない

誠実な人に対して「なんかムズムズする」
優しくされると「逃げたくなる」
ちゃんと愛されそうになると「信じられない」

そんなとき、私たちはつい「やっぱり違う」と関係を切ってしまいがちです。

でも、その違和感は、あなたの心が発している「新しい愛に慣れてないよ」というSOSかもしれません。

違和感=やめろ、ではなく、
違和感=成長中のサイン。

慣れてないからこそ、不安になる。
でもそれは、あなたの脚本が、書き換わろうとしている証でもあるのです。


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▼元になったnote記事はこちら:
▶︎ 『思い込みかも劇場』#06「どうせまた浮気されるし」で、先に“地雷”を踏みに行ってた件。」

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