“明日からやる”が口ぐせになる心理──先延ばしをしてしまう本当の理由

「明日からやる」が口ぐせになる心理をイメージ オススメ記事

やるべきことを「明日からやる」と先延ばししてしまうのは、誰にでもある行動です。
心理学的には「安心の先送り」や「現実逃避」と呼ばれる心のクセが働いています。
この記事では、その仕組みをわかりやすく解説し、今日からできる小さな対処法をご紹介します。

◆ 「明日からやる」がクセになっていませんか?

「ダイエットは明日から」「片付けは週末から」「資格の勉強は新しいノートを買ってから」——。

気づけば、そんな“明日から”の約束でいっぱい。
でも実際には、その明日は来ないことも多いですよね。

不思議なのは、この言葉を口にするだけで、ほんの少し安心できること。
「やらなきゃ」というプレッシャーが和らいで、心が軽くなる。

けれど現実は——
体重は減らないし、部屋は散らかったまま。
書店で買った参考書も新品同様。

ではなぜ、私たちは「明日からやる」と言ってしまうのでしょうか?


◆ 先延ばしは怠けではなく「安心の先送り」

まず知っておきたいのは、先延ばし=怠けではない、ということ。

  • 今すぐやろうとすると「失敗したらどうしよう」と不安がわく
  • かといって、やらないままでは「またダメだった」と罪悪感がつきまとう

この板挟みはとても不快です。
そこで心は、“とりあえずの安心策”を打ち出します。

それが「明日からやる」。

未来に問題を送ってしまえば、不安も罪悪感もいったん薄まる。
つまりこれは、心の防衛反応なんです。

だから先延ばしは“弱さ”ではなく、「自分を守るためのクセ」。
そう考えると、ちょっと見え方が変わってきませんか?


◆ 現実逃避の“才能”が開花する瞬間

「やらなきゃ」と思った途端、なぜか別のことを始めてしまう。
これも典型的な先延ばしのパターンです。

  • 片付けのつもりが、観葉植物の葉っぱを一枚ずつ磨く
  • 勉強のつもりが、机の上で付箋を折り鶴に変身させる
  • ダイエットのつもりが、レシピ動画を見て余計にお腹をすかせる
  • 大掃除のつもりが、アルバムを開いて“昔の私”に感傷旅行

これらはただのサボりではなく、立派な現実逃避
「不安やストレスから距離を置きたい」という心の働きのひとつです。

そして不思議なことに、この現実逃避の時間は“やたらクリエイティブ”。
気づけば葉っぱはピカピカ、折り鶴は大群、レシピフォルダは充実。

……でも、本命のタスクは進んでいない。
この矛盾こそが“先延ばしあるある”なんですよね。


◆ 心理学で説明できる「明日からやる」

心理学的には、いくつかのクセが絡み合って「明日からやる」が生まれます。

1. 現在バイアス

人は“今のラク”を優先する傾向があります。
未来の努力を過小評価して、「明日の自分ならできる」と錯覚する。

2. セルフ・ハンディキャッピング

「本気を出さなかったから失敗した」と言い訳できるように、わざと準備不足で挑むクセです。
“明日からやる”はその典型。今日やらなかったことで、未来の失敗に保険をかけているのです。

3. 自己効力感の低下

「どうせ続かない」「私には無理」と思い込むと、そもそも始めることが怖くなります。
そこで“明日から”という表現を使って、行動を先送りするのです。

こうした心理メカニズムが組み合わさると、誰でも簡単に「明日からやる星人」になってしまいます。


◆ 未来の私を信用してはいけない

「明日の私ならきっとできる」
——そう思いたい気持ちはわかります。

でも冷静に考えれば、明日の私も今日の私と同じ人間。
しかも、今日より疲れている可能性すらあります。

「明日こそ片付ける」と言いながら、
翌日の私は海外ドラマを「1話だけ…」と夜更かししているかもしれません。

未来の自分を過信することこそ、先延ばしの最大の罠なんです。


◆ 小さな“今日”で抜け出すコツ

では、どうすれば「明日からやる」を卒業できるのでしょうか?
大切なのは、未来ではなく今日にフォーカスすることです。

いきなり全部やろうとするから、心が反発する。
だから“今日の1分”から始めるのがコツです。

  • 床に落ちている服を1枚だけハンガーに戻す
  • ポテチを途中で袋ごとクリップで閉じる
  • テキストを開いて、タイトルだけ読む

これならハードルは低いし、「やった!」という達成感も得られる。
ゼロから1が動けば、その勢いで“2も3も”ついてくることが多いんです。


◆ まとめ

「明日からやる」という口ぐせは、怠けではなく心の防衛反応。
安心したい気持ちや、失敗を避けたい心理が生み出す自然なクセです。

でも未来の私に任せていては、永遠にスタートできない。
だからこそ、今日の自分にできる“小さな一歩”を選び取ることが大切です。

「明日からやる」と言うよりも、
「今からちょっとサボりつつやる」くらいがちょうどいいのかもしれません。

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