選べるのに落ち着かないのはなぜ?──“多すぎる選択肢のワナ”と好みのはっきり度

カフェで窓際やトイレ近くなど複数の席を前にして迷っている人のイラスト。選択肢が多くて悩む心理を表現 オススメ記事

🎙 この内容は記事の最後に ラジオ風のAI音声版 もあります。
読み終わったあとに“耳で復習”していただけます。

カフェで席を選ぶとき、意外と悩んでしまうことはありませんか。
「窓際に座ろうか、トイレに近い席にしようか、それともコンセント付きで作業ができる席にしようか」
──ただ座るだけなのに、なぜか小さな葛藤が始まってしまう。

自由に選べるはずなのに、どうして落ち着かないのでしょう。
実はこれ、心理学的に説明できる「多すぎる選択肢のワナ」に関係しています。

そしてこの現象は、日常のちょっとした場面だけでなく、恋愛や人生の大きな選択にまで広がっているのです。


■ 選択肢が多いと人は幸せになれない?

「自由に選べること」が幸せだと考える人は多いでしょう。
確かに、何も選べない状態よりは「自分で決められること」が喜びにつながります。

しかし心理学の研究によると、選択肢が増えすぎると人はかえって不満や後悔を感じやすくなるのです。
これが「多すぎる選択肢のワナ」と呼ばれる現象です。

たとえば、スーパーでジャムの試食販売をした実験。
6種類のジャムを並べた場合と、24種類のジャムを並べた場合で比較したところ──
試食した人数は24種類のほうが多かったのに、実際に購入に至った人の割合は6種類のときのほうが圧倒的に高かったのです。

「選べる楽しさ」と「選んだ後の満足度」は必ずしも一致しません。
むしろ選択肢が増えれば増えるほど、

  • 「他のほうが良かったかも」という後悔
  • 「決めきれない」ことで生じる疲労
  • 「選んだものへの満足度の低下」
    といった心理的な負担が増してしまうのです。

■ カフェの席選びと同じ構造

カフェでの席選びは、その縮図です。

窓際席には「ちょっとオシャレに見える」「外を眺められる」という魅力があります。
でも同時に「人通りが気になる」「冬は冷えるかも」というデメリットもある。

トイレ近くの席なら「安心して座れる」「移動が楽」という安心感がある。
でも「ドアの開閉音が気になる」「人の出入りが多く落ち着かない」などの不安もある。

コンセント席は「長居できる」「作業に便利」という利点がありますが、
「他のお客さんに“仕事してますアピール”だと思われるかな」と気になる人もいるかもしれません。

どの選択肢も魅力的な面と不安な面があり、比較すればするほど「これが正解だ」と思えるものがなくなっていく。
まさに「多すぎる選択肢のワナ」にハマっている状態なのです。


■ 恋愛に置き換えてみると

実はこの心理は、恋愛の場面でもよく見られます。

「今の相手は優しいけれど、もっと情熱的な人がいるかもしれない」
「この人と結婚を考えてもいいけど、他の人と比べるとどうだろう」

選択肢が“多い”ように感じられると、なぜか安心できない。
「他にももっと良い人がいるかも」と考えてしまい、せっかくの今の関係に集中できなくなる。

一方で、選択肢が“一つしかない”と感じると、これもまた重くのしかかります。
「この人しかいないから…」と思うと、選んでいるはずなのに義務感や不自由さを感じてしまうのです。

カフェで「この席しか空いていない」と言われたときに生まれる不満と、どこか似ていますよね。


■ カギは「好みのはっきり度」

ではどうすれば、この迷いのスパイラルから抜け出せるのでしょうか。
そこで重要になるのが「好みのはっきり度」です。

これは心理学の用語を少し柔らかくした表現で、要するに「自分の価値観や優先順位がどれくらい明確か」ということ。

  • 「私は絶対に窓際派!」と決まっている人は、席選びで迷いません。
  • 「私は相手と一緒にいて安心できることが一番大事」と思えている人は、恋愛で迷いが減ります。

一方で「まあどこでもいいけど…」「相手の条件に特にこだわりはない」と曖昧な人は、
選んだ後に「もっと良い選択があったのでは?」と後悔しやすくなります。


■ “決断疲れ”という現代病

現代は、選択肢にあふれた社会です。

カフェの席どころか、

  • スマホの料金プラン
  • ネット通販の無数の商品
  • ドラマや映画の配信サービス
  • 恋愛アプリに並ぶプロフィール

どれも「自由に選べる」ようになった代わりに、選ぶたびにエネルギーを消耗しています。
この小さな積み重ねが「決断疲れ」と呼ばれる状態につながり、気づかないうちに心をすり減らしてしまうのです。


■ 自分の軸を持つことで楽になる

だからこそ大切なのは、「自分の軸」を持っておくことです。

カフェなら「私は人通りが気にならない場所が落ち着く」とあらかじめ決めておく。
恋愛なら「私は安心感を最優先する」「価値観が近い人を大切にする」といった基準をはっきりさせておく。

基準があるだけで、選択はシンプルになり、迷いは大きく減ります。
そして「これでよかった」と思える確率も高くなるのです。


■ まとめ

人の心は、「自由に選びたい」という気持ちと、「安心して決めたい」という気持ちの間で揺れ続けています。

  • 選択肢が多すぎると後悔や迷いが生まれる
  • 選択肢が少なすぎても不自由さを感じる
  • だからこそ「好みのはっきり度」を高めておくことが大切

カフェの席選びも、恋愛のパートナー選びも、構造は同じです。
「自分は何を大事にしたいのか」という基準を持つことで、日常の小さな迷いも、大きな人生の選択も、もっと軽やかにできるのかもしれません。

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男女二人の掛け合いで、ユーモアも交えて解説しています。
読み間違いもたまにありますが(笑)、それもご愛嬌としてお楽しみください。


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この記事は、note連載
『“私だけ?”って思ってたけど、みんなそうだった。』#18「窓際?トイレ横?カフェ席選びが大問題」
から着想を得ています。
note版は日常のユーモアを前面に出したストーリー仕立て。
ぜひこちらもあわせてご覧ください。

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