※一部内容をリライト・加筆しました(2025年4月)
執着って、そもそも何?
カウンセリングの現場ではよく、「執着を手放しましょうね」なんて話が出てきます。
が、クライアントさんの中には、「いや、それができたら苦労しないわけでして」と苦笑する方も多いのです。
では改めて、「執着ってなに?」をザックリ言うと——
- すでに失ってるのに、まだ握りしめている(心の中で)
- もう役に立たないのに、まだ使い続けている(なぜか)
たとえば、
恋愛であれば「昔の彼が忘れられない…」とか。
仕事であれば「過去の栄光を超えられない…」みたいな。
つまり、もう賞味期限が切れてるのに「まだイケる」と思って冷蔵庫の奥にしまいこんでるような状態、と言えるかもしれません。
執着がややこしくなる理由
執着がやっかいなのは、人生の「進行方向」と真逆を向いてしまうからです。
- 次の恋が始まらない
- 新しい挑戦ができない
- 今の自分を見ていない
つまり、未来に目を向けたいのに、心が「バックミラー」ばっかり見てる状態。
たまに振り返るのはOK。でも、ずっと後ろを見ながら前に進もうとすると…そりゃあ、つまずきますよね。
恋愛で見かける“執着三姉妹”
恋愛における執着には、大きく分けて3パターンあります。
勝手に“執着三姉妹”と名付けてみました。
長女:この人じゃなきゃダメ症候群
「彼じゃなきゃダメなの。あの人しかいないの!」と泣き叫ぶ系。
でもこれ、冷静に見てみると——
「その人の“何”がそんなに必要なのか?」が意外と曖昧だったりします。
- 優しくしてくれたから?
- 頼りになったから?
- 寂しさを埋めてくれたから?
つまり、“彼そのもの”じゃなくて、“彼が与えてくれた感覚”に執着してるパターンが多いのです。
次女:あの頃の私が一番キラキラしてた症候群
「彼といた時の自分が、人生で一番輝いてた気がする…」
このパターン、実は“彼”というより、“彼といたときの自分”に執着してるのです。
「戻りたい…」という気持ちは、
あの頃の自分に自信が持てていた、という記憶への執着だったりもします。
三女:報われなかった傷にしがみつく症候群
「私、あんなにがんばったのに…」と、失恋の苦さを引きずっているケース。
ここにあるのは、「この痛みが無駄だったなんて許せない!」という心の声。
でも、残念ながら——
傷を握っていても、報われるとは限らないのが現実です。
仕事にも執着、出没中
「恋愛だけじゃなく、仕事にも執着ってあるんですか?」
という質問、よくあります。答えは、もちろんイエス。
例えばこんな感じ:
- 「このやり方で昔うまくいったから、今も変えたくない」
- 「前はもっと評価されてたのに…今の自分じゃダメなの?」
- 「あのときミスさえしなければ…」
こういう“過去の自分”との比較が多いと、
新しい挑戦にも及び腰になり、自信を失いやすくなります。
仕事においても、「柔軟性」が大事なのは言うまでもなく、
古いやり方にしがみついてると、未来が狭くなってしまうのです。
執着って、どうやって手放すの?
「何のために手放すのか?」を考える
人は、大切だったものほど、なかなか手放せません。
それが人情ってやつです。
だからこそ、「手放したあとに何を得たいのか?」を明確にしましょう。
- 新しい出会いがほしい
- もっと自由になりたい
- 自分らしく生きたい
“未来のごほうび”がわかると、手放す力も出てきます。
無価値感を癒す
「手放したら、私は空っぽになるのでは…」という不安。
これ、根っこには「自分には価値がないかも」という気持ちが潜んでいたりします。
だからまずは、
- 小さな成功を積み重ねる
- 自分のよかったところを見つける
- 人に褒められたことをメモる
など、“内なる価値”を感じる習慣を取り入れてみましょう。
思い残しを減らしていく
モヤモヤしたまま終わった恋や過去は、どうしても尾を引きます。
- 言えなかったことを書き出してみる
- 自分に「もう終わったことだよ」と優しく言ってあげる
これだけでも、少しずつ気持ちに“区切り”がついていきます。
「今の自分」とちゃんと向き合う
執着って、つまるところ「過去を見続けている状態」なので、
「今の自分」が見えづらくなっていることが多いのです。
- 今、ほんとうにほしいものは何だろう?
- これから、どんな自分になっていきたい?
——そうやって、“今”と“未来”に目を向けていくことで、自然と手放しの準備が整っていきます。
おわりに:手放すって、忘れることじゃない
最後に、ひとつだけ。
「手放す=忘れること」ではありません。
執着を手放すというのは、
その過去を“なかったこと”にするのではなく、
“もう必要ないから、そっと置いていく”こと。
旅立つとき、荷物を整理するように。
もう着ないけど大好きだった服を、ありがとうと言って手放すように。
そのくらい、やさしいものでもいいのです。
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