最近、夜に観ている海外ドラマのなかで、ふと気づいたことがありました。
登場人物たちの中に、いわゆる「結婚した男女の夫婦」がほとんど出てこない。
それでも彼らはちゃんと恋をして、支え合って、生きている。
未婚のカップル、同性同士のパートナー、あるいは自立した個人同士が「一緒にいたい」から一緒にいる関係。
そして誰も、「結婚しなきゃ」と焦ったりしていない。
そんな姿を見ていて、思ったのです。
ああ、こういう関係の形も、もっと自由にあっていいはず!って。
結婚を望む気持ちも、誰かと深くつながりたいという願いも、どれも大切な感情。
ただ一方で、「結婚しなければ幸せじゃない」と思い込んで、
今の自分を否定してしまうとしたら──ちょっとだけ、もったいないかもしれません。
この記事では、「結婚しないかもしれない私」を受け止めるという視点から、
“選ばない人生”を否定しないでいい理由を、書いてみたいと思います。
どんな立場の人にも、「私らしくていいんだ」と思ってもらえるヒントになればうれしいです。
「結婚=幸せ」という空気に、ずっと違和感があった
「結婚していないと“ちゃんとしてない”と思われる」
「大人になったら、いつか誰かと結婚するのが当たり前」
そんな“目に見えない前提”のようなものが、ずっと社会に流れていた気がします。
とはいえ、私自身は周囲から結婚をせかされた経験はありません。
結婚したのは若い頃。自分の意思で、自然な流れの中でそう選びました。
そしてそれを後悔しているわけでもありません。
その時々の暮らしやパートナーシップに、ちゃんと幸せもありました。
でも、年月が流れ、今の私は長年シングルでいます。
年齢的にもシングル歴的にも、もはや誰からも「結婚しないの?」なんて聞かれない。
ある意味、とても自由です。
そしてその“今”に、私はたしかな幸福感を感じています。
誰かと暮らしていないからこそ感じる静けさや、自由さ。
朝の気分で予定を決められること、好きなことに時間をかけられる日々。
それは決して、誰かと一緒にいる幸せの“代わり”ではなく、別の形の心地よさなのだと思います。
結婚しているかどうかよりも、
「今の自分の在り方に納得しているかどうか」が、人生の満足度に影響している。
そう考えるようになりました。
「本当に結婚したいの?」と自分に聞いてみる
「結婚したほうがいいのかな」
「そろそろ真剣に考えたほうがいいかも」
そんなふうに思うとき、頭のどこかに“将来への不安”がちらついていることもあります。
たとえば——
「老後がひとりだったらどうしよう」
「病気になったら誰がそばにいてくれるの?」
「このまま孤独になっていくのは嫌だな…」
こういった不安が顔を出すと、つい“結婚=その不安を解決してくれる手段”のように感じてしまいます。
でも、ちょっとだけ考えてみてほしいのです。
それは本当に「結婚したい」という願いなのか?
それとも「結婚していないことで感じる不安から逃れたい」だけなのか?
そしてもうひとつ。
「結婚はしたいけど、誰とでもいいわけじゃない」と思っているとしたら、
それはあなたが、自分の人生を大切に扱っている証拠でもあります。
結婚に限らず、「私はどうしたいんだろう」と考える時間は、どんな選択肢を取るにも必要なもの。
焦って答えを出すより、
“いまの自分の感覚”を丁寧に受け止めることが、何より大事なのかもしれません。
誰かと暮らさなくても、人生はちゃんと豊かにできる
結婚という選択肢を前提にしないで生きていくことは、
一見「なにかを諦めたように見える」ことがあるかもしれません。
でも、実際にはそうじゃない。
大切にしたいものが、人それぞれ違うだけなんです。
誰かと一緒に住んでいなくても、
心が通う友人がいて、安心できる空間があって、
日々にちょっとした笑いや、やすらぎがあって。
そんな毎日は、ちゃんと“満たされている”と感じるものです。
たとえば、長年の友人と気ままに旅行に出かける週末。
自分のペースで趣味に没頭できる静かな朝。
疲れた日は誰とも会わずに、何も話さずに過ごせる安心感。
それって、誰かと暮らすことで得られる“にぎやかさ”とはまた違う、
「ひとりだからこそ味わえる、心地よさ」かもしれません。
そして、家族や恋人といった関係だけでなく、
人とのつながりって、自分の在り方次第で、もっと自由に育てていけるものでもあります。
ひとりで暮らしているからといって、ひとりぼっちではない。
関係性の形は、いま、どんどん多様になってきているのだから。
“選ばない”ことは、逃げじゃない。ひとつの選択肢
「結婚しないかもしれない」という選択肢を思い浮かべたとき、
どこかで「それって、逃げてることになるのかな?」と不安になる人もいるかもしれません。
でも、“選ばない”というのは、消極的な態度ではなく、
自分の気持ちを大切にした結果の、立派な“選択”です。
結婚=正解、
未婚=未完成。
そんな図式は、もうとっくに古くなっているはずなのに、
まだまだどこかに「結婚していない自分=足りてない」と感じさせる空気が残っています。
でも、結婚していても孤独な人もいれば、
ひとりでも満ち足りている人はたくさんいます。
だから、「結婚していない=選ばれていない」と考えるのは、とてももったいない。
それよりも——
「私は、いまのこの私を、どう生きたいと思っているか?」
という視点で、人生を見つめ直してみることのほうが、ずっと自由で、本質的です。
ただし、そうは言っても。
やっぱり時々、不安になることもあると思います。
「このままで本当にいいのかな…?」
「老後がさみしくなるんじゃないかな…?」と、ふっとよぎる瞬間。
でもこの“不安感”、実は多くが
過去に植えつけられてきたイメージや、他人との比較から生まれていることが多いんです。
たとえば——
・「大人になったら結婚するのが普通」という刷り込み
・「結婚していないと孤独でさみしい」というステレオタイプ
・SNSなどで見える“幸せそうな誰か”との無意識な比較
心理学では、こうした不安を“外からの価値観を自分のものとしてしまう状態”=内在化された価値観(introjected values)と呼ぶことがあります。
つまり、本当は自分の本音じゃなくても、
「それが正しい」と思い込んできたから、不安になる。
そして、その不安が自分の本心のように感じてしまうのです。
だからこそ、もし今、心の中にモヤモヤがあるなら、
それは「本当に私はそれを望んでいるのか?」と見つめ直すきっかけにもなります。
不安に飲み込まれる必要はありません。
むしろ、不安が出てきたときこそ、
「私は私のままで、どうありたい?」と問い直すチャンスなんです。
最後に、自分にかけたい言葉
「このままでいいのかな」
「ひとりの人生って、ちょっと不安かも」
そう思う瞬間があるとしても、それは決して弱さではありません。
むしろ、ちゃんと自分の人生を見つめている証拠。
誰かと一緒に生きていく幸せもあるけれど、
自分らしく、ひとりで大切に過ごす幸せも、同じくらい尊いものです。
「どんな形でも、私の人生は、ちゃんと豊かにできる」
どちらかが正解で、どちらかが間違いということではなく、
今の自分が納得できているか、心がほっとできているか——
それがすべてなのだと思います。
「この人生で、私は何を大切にしたい?」
「本当は、どういう時間が好き?」
「誰と、どんなふうに関わっていたい?」
そんなふうに、結婚という枠を超えて、
“自分らしい人生”を見つけていく視点を持てたなら、
選ばないことも、立派な“選択”になるのです。
そして、豊かさって、何かを持っていることや、誰かと一緒にいることだけではなくて——
たとえば、
・好きな人たちと心地よい距離感でつながること
・心から夢中になれることに時間を使えること
・ひとりの時間を自分のペースで過ごせること
・誰かの役に立てたと感じる瞬間があること
そんな小さな“うれしい”や“心地よい”を、自分で選び取っていけることが、
人生をじんわりと豊かにしてくれるのだと思います。
結婚してもしなくても、私の人生は、私らしく育てていける。
そう思えたら、ちょっと肩の力が抜けてくるかもしれません。