「離婚するから、待ってほしい」
そう言われたのに、何も動かない。
期限が伸びる。理由が増える。状況は変わらない。
なのに、切れない。待ってしまう。
この関係がつらいのは、単に「信じたのに裏切られた」からではありません。
もっとややこしいのは、信じる理由と疑う理由が、同時に頭の中にあることです。
「本当に離婚する人は、何かしら動き始めるはず」
「でも、事情があるのかもしれない」
「口だけかもしれない」
「でも、あのときは本気の顔だった」
こうして、気持ちが前に進まない。
今日はここを、心の仕組みと、現実の仕組みとして整理します。
まず分けて見たいのは「約束の言葉」と「現実の動き」
「離婚する」という言葉は強いです。
それは、未来を“約束されたもの”のように感じさせるから。
言葉が強いと、心はこう考えやすくなります。
- いまは“途中”なだけ
- 完成形は別にある
- だから今のつらさは一時的かもしれない
ここで判断が難しくなります。
言葉は未来の話。行動は今の話。
この2つがかみ合っていない状態が続くと、人は決められなくなります。
そして決められない状態が長引くほど、心は「もう少し待つ」方に傾きやすくなります。
理由は単純で、終わりを決める方が心が痛いからです。
“約束っぽいものはあるのに、
現実の動きがずっと伴わない”ズレが続くと、判断ができないことが多いのです。
「離婚する」と言いながら離婚しない人に起きやすいパターン
もちろん事情はさまざまです。
ただ、「離婚する」と言いながら離婚しない人には、こんなパターンがあります。
大きく分けると次の2つになりやすい。
A:離婚する気持ちはある。でも、怖くて強くて動けない
離婚は気持ちだけでは進まず、現実の整理が必要になります。
- お金
- 子ども
- 住まい
- 親族
- 仕事や世間体
- 罪悪感(家族を傷つける感覚)
この全部に向き合う怖さが強いと、気持ちはあっても行動が止まります。
言葉は前向きでも、現実の整理が進みにくいタイプです。
B:離婚するつもりが薄い(または優先順位が低い)
残念ながら、「離婚する」という言葉が、あやふやな関係を続けるために使われることもあります。
- その場の衝突を避ける
- あなたをつなぎ止める
- 自分が悪者にならない
- 家庭もあなたも失わずに済ませる
このタイプは、「未来の言葉」が出ても、現実の動きが増えにくい。
「そのうち」「落ち着いたら」が続き、結局ずっと先になります。
では、なぜ「分かっているのに待ってしまう」のか
待ってしまうのは、あなたが弱いからではありません。
心が“痛みを避ける”方向に、自然に動くことがあるからです。
1)終わらせると、痛みが一気に来る
関係が終わると、喪失だけでなく、いろんな痛みがまとめて来ます。
- 喪失:「もう会えない」
- 意味:「この時間は何だったんだろう」
- 自己像:「私は何を信じて、何を選んできたんだろう」
一方で「待つ」方には、
「まだ終わってないと思える」余地が残ります。
つまり待つことは、終わりをはっきりさせる痛みを先送りできてしまう状態でもある。
だから苦しいのに、待ててしまう。
2)「選ばれる未来」が、自分を支えてしまう
心の深いところで、こんな気持ちが出てくることがあります。
- 最終的に選ばれたい
- 特別な存在でいたい
- その未来で、自分の価値を確かめたい
この気持ちが強いと、「待つ」は恋愛というより
自分の心を保つための選択になりやすい。
だから簡単に手放せません。
3)相手が動かないほど、「私が支える」が増える
相手が弱さや事情を語ると、こちらに役割ができやすくなります。
- 私が分かってあげなきゃ
- 私が責めたら壊れる気がする
- 私が大人でいなきゃ
この役割は優しさの形ですが、これが続くほど、あなたの自由を奪っていくことがあります。
「離れる」が別れではなく「見捨てる」に感じられて、動けなくなる。
4)「もし本当だったら」が、別れる選択をさせない
頭では分かっている。「本気なら動くはず」。
それでも希望が残ると、心はこう言います。
- もし本当だったら、ここで切ったら後悔する
- もし今が“直前”だったらどうする
- ここまで来たのに、いまやめたら悔しい
希望は、未来の可能性だけでなく、後悔を避けるためにも働きます。
だから別れる選択ができなくなる。
「離婚する/しない」を予想することより、判断の材料を持つ
ここで大事なのは、「彼は離婚する/しない」を予想することではありません。
あなたが自分を守るために、判断の材料を持つことです。
見るポイントは3つです。
1)“状況待ち”なのか、“本人が進める話”になっているか
- 「落ち着いたら」「タイミングが来たら」ばかり → 状況任せが強い
- 「何を、いつ頃までに、どうする」→ 本人が進める話になっている
ここで見たいのは、話が現実の段取りに近づいているかです。
2)小さくても「動き」が増えているか
一度だけそれっぽい話が出るのではなく、
その後も現実の動きが増えるかが重要です。
離婚は、宣言したら終わりではなく、生活の整理の積み重ねで進むから。
3)「得られる未来」だけでなく「失うもの」も語られるか
本気で向き合う人は、都合のいい未来だけでなく、
自分が失うもの(痛み、責任、変化)にも触れます。
そこがずっと出てこない場合は、言葉だけでつないでいる可能性が上がります。
待つほど増えていく「見えにくい損失」
待つ恋が長引くほど、あなたが払うものが増えます。
これは、自分を守るために知っておくといい話です。
- 時間の損失:待つほど、取り戻せない投資が増える
- 関係の固定化:曖昧な形が“このまま”で定着しやすい
- 自己評価の低下:希望と失望を繰り返すと、自分の価値が揺れやすい
- 選択肢が減る:出会い、生活設計、心の余白が削られていく
- 人生の主導権が相手側に偏る:「相手が決めたら進む」形になりやすい
ここがポイントです。
離婚は相手の人生の中で起きる決断です。
あなたが待てば待つほど、あなたの人生が「相手の決断待ち」になりやすい。
だからこそ、リスクは“恐怖”としてではなく、
主導権を取り戻すための材料として扱った方がいいのです。
「待つ/待たない」を決める前に、自分の中を整理する質問
いきなり「別れるべきか」で考えると、心が固まってしまいます。
先に、ここを整理すると進みやすくなります。
- 私は「離婚する」という言葉に、何を期待している?
(例:安心したい/選ばれたい/報われたい/特別でいたい) - もしこの関係が終わったら、いちばん怖いのは何?
(例:孤独/空白/“間違いだった”と確定する感じ) - 私はこの関係で、何が満たされている?
(例:一人じゃない感覚/価値が保てる/刺激がある) - 逆に、この関係があると「向き合わなくて済むこと」は何?
(例:本気の関係に進む/自分の人生を決める/傷つく可能性に向き合う)
ここが言葉になると、「彼が離婚するかどうか」だけに振り回されにくくなります。
判断の軸が、相手の言葉から、自分の人生側に戻ってくるからです。
ここまでの整理は、一人だと難しくなることもあります。
必要なら助けを借りてもいい領域です。
最後に
「離婚する」と言うのに離婚しない。
それでも待ってしまうのは、あなたが弱いからではありません。
約束の言葉が未来を見せる一方で、現実の動きが伴わない。
関係の終わりを確定させる痛みが怖い。
選ばれる未来が自分を支えている。
役割が増えて、離れることが見捨てるように感じる。
「もし本当だったら」が、別れる選択をさせない。
この仕組みが見えてくると、
「私はダメだ」ではなく、「何が私を止めているのか」が分かってきます。
そこが分かると、次の一手は、少しずつ変えられます。



