“自分に優しくする”って、どういうこと?

自分に優しくなろうとしている女性が、やわらかい光の中で一息ついている様子 オススメ記事
がんばりすぎた心に、そっとやさしさを。自分との関係をあたたかく見つめ直す1記事。

がんばる人ほど知らない、ほんとのやさしさの話


◆ 「もっと自分にやさしく」って、言うのは簡単だけど

「もっと、自分にやさしくしましょう」
カウンセリングでも、自己啓発本でも、SNSでもよく見るセリフです。

でも、正直こう思いませんか?

「……で、具体的には何をすれば?」

「自分に優しく」と言われても、
・ケーキを買えばいいのか?
・家事をさぼればいいのか?
・好きなことだけして生きればいいのか?
……と混乱して、「結局よくわからん」という結論に落ち着いたりします。

しかも、やさしくするどころか、
「そんなことしてたら甘えじゃない?」と責める声が自分の中から聞こえてくる。

それ、あなただけじゃありません。
むしろ、がんばることに慣れすぎた人ほど起こるあるあるです。


◆ 「やさしさ=甘やかし」じゃない

まず、よくある誤解から整理しましょう。

「自分にやさしくする」と聞くと、
「え、それって妥協じゃない?」「自分に甘くなってダメになるんじゃ…」と不安になる人、実は多いです。

でも心理学的にいう「自己へのやさしさ(self-compassion)」とは、
**“不完全な自分にダメ出しせずに、あたたかく見守る態度”**のこと。

たとえば:

  • 疲れてるときに「さぼってる」と責めるのではなく、「今日もよくがんばってるね」と声をかける
  • うまくいかないときに「また失敗か…」ではなく、「失敗するくらい挑戦してるじゃん」と労う
  • 落ち込んでるときに「切り替えて!」ではなく、「その気持ち、大事だよ」とただ一緒にいてあげる

これ、甘やかしてるんじゃなくて、“人としての扱い”をちゃんとしてるということなんです。


◆ 「ちゃんとしなきゃ」の呪いが強い人へ

自分にやさしくしようとしても、
心の中から聞こえてくる謎の上司の声、ありませんか?

「ちゃんとやれ」
「こんなことで甘えるな」
「もっと頑張れるでしょ?」
「人に迷惑かけるなよ?」

……はい、この人です。
心の中にいる鬼上司。給料ゼロなのに超働くタイプ。

でも、こういう“内なる鬼上司”の存在は、
子ども時代のしつけや社会的プレッシャーの中で、**「ちゃんとしていれば安心・愛される」**と刷り込まれてきた名残です。

だから、やさしさに対してこう思ってしまうんです。

  • 「やさしくしたら堕落するかも」
  • 「弱い自分を認めたら終わりそう」
  • 「休んだら戻ってこれなくなりそう」

でも、それって、やさしさを知らなかったからこその誤解

だからこそ、まずはこう言ってあげましょう。

「鬼上司さん、ちょっとお茶でもどうぞ」

心の中の圧を下げて、鬼上司にはソファで一休みしてもらいましょう。(ソファに座ってくれるかどうかは知りませんが)


◆ やさしさは“誰かから受け取るもの”?それとも…

よく言われます。

「人にやさしくされた経験が、自分にやさしくする土台になる」と。

確かにそれは真実です。
でも、それだけを信じてしまうと、こうも思えてしまうかもしれません。

「私はやさしくされたことが少ない」
「だからやさしくなれない」
「だからまず、誰かにやさしくされる必要がある」

——って、なると、ちょっとつらい。

でもね、私たちは**「やさしくされなかったからこそ、やさしさの大切さを知っている」**という強さを持っています。

「本当はこうしてほしかった」を、
今の自分が自分にやってあげる。
それは、とても立派な“やさしさのはじまり方”です。


◆ やさしさは、与えたぶんだけ、自分の中に育っていく

ここで、ちょっとだけ不思議な話を。

物質的な世界では、与えたら減ります。
時間もお金もエネルギーも、使えばなくなる。

でも、心の世界は逆なんです。

やさしさって、与えるほど、自分の中に増えていく。

  • 人にやさしくしたあと、少しだけ自分にもやさしくできるようになる
  • 誰かにかけた言葉が、あとで自分にも返ってくる
  • そして気づけば、「私、前よりずっとまるくなったかも」って思える

だからこそ、
やさしさをもらえなかった人が、最初にやさしさを“始める側”になることには、とてつもない価値があります。

それは「循環を生み出す人」になるということ。

ちょっとカッコいいと思いませんか?


◆ やさしさって、コンビニで買えるなら毎日買いたいよね

自分にやさしくするって、
もしかしたら“心の中のツッコミをちょっと減らす”くらいのことかもしれません。

「また寝坊した。終わってる」じゃなくて、
「いや、今日は地球の回転が速かったんだな」とか。

「だらしないな」じゃなくて、
「これが今日の私のベストかも」と言ってみる。

だいたいのことは、笑いとやさしさで回復が早くなります。

そして忘れないでほしいのは、
やさしさは減らないし、無駄にならないし、ちゃんとめぐって返ってくるってこと。

だからこそ——
やさしさを「誰かにされたことがないからこそ」、
それを自分に与えてみようと思えるあなたは、
もうすでに、すごくやさしい人なんです。


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頑張りすぎた心に、そろそろ優しさを
🗓 2025年6月21日(土)|対面開催

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