判断とは何か?
私たちは日々、さまざまなことを「判断」しています。 「物事を見極める」という意味での判断もありますが、心理学やカウンセリングにおいて「判断」は、特に「決めつける」という意味で使われることが多いです。
例えば、
- 「男性はすぐに怒る」
- 「女性は意地悪だ」
- 「〇〇さんは頑固だ」
といったように、特定の個人やグループに対してステレオタイプを適用し、その人や物事を一面的に見てしまうことを指します。 また、「普通はこうするものだ」「常識的に考えて〜」といった、自分の価値観を基準に他者を評価することも判断の一種です。
判断の弊害—決めつけによる視野の狭まり
判断(決めつけ)を行うと、私たちの世界の見え方が大きく変わってきます。
視点が偏る
「男性はすぐに怒る」と決めつけてしまうと、男性の怒る場面ばかりが目につくようになります。人間の脳は、意識を向けたものをより強く認識する特性があるため、
- たまたま怒っている男性の姿
- ニュースで報道される男性の暴力事件 などが目に留まりやすくなり、「やっぱり男性は怒りっぽい」とますます信じてしまうのです。
一方で、優しく穏やかな男性がいても、その優しさには気づきにくくなります。 この結果、「自分の周りには怒りっぽい男性しかいない」と思い込んでしまうのです。
人間関係のトラブルを招く
判断は、他者とのコミュニケーションにも影響を与えます。 「普通はこう考えるべき」と決めつけてしまうと、
- 「そんな考え方、おかしいよ」
- 「普通、そんなことはしないでしょ?」 というように、相手の意見や価値観を否定しがちになります。
これでは、相手も「自分の考えを尊重してもらえない」と感じ、関係が悪化してしまいます。
判断はなぜ生まれるのか?—心の防衛機能
判断(決めつけ)は、実は私たちの心を守るための防衛手段でもあります。
例えば、「男性はすぐに怒る」と判断している人は、過去に男性から怒られた経験があり、それによって傷ついたのかもしれません。 そのため、先に「男性は怒りっぽいものだ」と決めつけておけば、
- もし怒られても「やっぱりそうか」と納得できるため、ショックを和らげられる
- 怒りっぽい男性を避けることで、傷つくリスクを減らせる
というメリットがあるのです。 しかし、この防衛が強すぎると、
- 偏った考えに縛られる
- 変化を受け入れられなくなる といったデメリットも生じてしまいます。
判断をゆるめると世界が広がる
判断をゆるめることで、私たちの世界はより豊かで柔軟になります。 例えば、「男性はすぐに怒る」と思っているなら、
- 「優しい男性もいるかもしれない」と意識的に考えてみる
- 怒らない男性に注目してみる
また、「普通はこう考えるべき」と思った時は、
- 「そんな考え方もあるのか」と受け入れてみる
これだけで、今まで見えていなかった側面が見えてくるようになります。
まとめ
判断(決めつけ)は、自分の世界を狭めるだけでなく、人間関係にも悪影響を与えることがあります。 とはいえ、判断を完全になくすことは難しく、心の防衛として必要な側面もあります。
大切なのは、「決めつけすぎていないか?」と自分に問いかけながら、時には視点を変えてみることです。 そうすることで、新しい気づきや、より広い世界が見えてくるかもしれません。
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