40〜50代女性の“仕事と親の板挟み”がしんどくなるとき

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実家からの電話が鳴ると構えてしまうのはなぜか

会議の前にスマホを見ると、親からの不在着信が3件。
「え、怪我でもした? 落とし物? リモコン行方不明事件?」
と、脳内で可能性が秒速で並びはじめる。

今までのことを思い出してみると…

「テレビの音が急に小さくなってね」
(※ほぼ100%、音量下げるボタンに肘を置いていて音量1になっている案件)

「病院で先生に聞こうと思ったことがあったんだけど、忘れちゃって」
(※なぜか“思い出す係”があなたに配属されている)

緊急ではない。
でも放っておけない。

仕事の集中が切れるだけでなく、心のどこかが“実家”に引き戻されるような感覚になる。

40〜50代になると、この“緊急ではない実家からの呼び出し”が増えていきます。
そんなとき、心に揺れが起きるのは自然なことなんです。
単なる忙しさだけが原因ではなく、心理的な構造が関係していたりするのです。


40〜50代は“役割が偏りやすい年代”

家庭の中で役割があなたに集中しやすい理由

職場では責任が増え、親は年齢による変化が出始める。
これは誰もが通る道である一方、この時期は負担が重くなりやすい時期でもあります。

さらに家族の中では、

  • あなたが動くのが一番早い
  • 他の家族が動けない
  • 若い頃から調整役だった

など、背景が重なりやすい。

その結果、家庭内の役割が一点集中しやすい時期に入ります。

誰も決めていないのに、
「家族サポートセンター・窓口」
あなた一人に集約されていくような状態です。


境界線が曖昧だと「全部自分が抱える前提」になる

なぜ“私がやるしかない”という感覚が生まれるのか

家族文化の中では、自分と親の境界線が曖昧になりやすい傾向があります。

  • 私が動いたほうが早い
  • 迷わせるくらいなら全部やってしまおう
  • 親の不安を見ていると放っておけない

こうした“優しさ”が、いつの間にか役割の固定につながる。

境界線(バウンダリー)が曖昧になっている状態です。

この状態だと、親の困りごとがあなた自身の問題のように感じやすい。

本来は親の困りごとは親自身の領域なのですが、
「親も歳をとったし、私が解決すべきもの」と
まるで確定事項のように感じやすくなる。

もしかしたら、他の家族は境界線がハッキリしているので、
あなたのように背負っていないかもしれない。

でも、境界線が曖昧になっていると、
「私の担当だ」と自動的に感じてしまいがちになり、
結果、あなたの負担が増えてしまう。

これは、境界線の“曖昧さ”がつくる心の構造なのです。


「整理すると見捨てるみたい」になるのは自然な反応

距離を取ることに罪悪感が出る心理的背景

負担が大きくなってきて、役割を整理しようとすると

  • 親を見捨てる感じがする
  • 冷たい人になる気がする
  • 距離を取るなんて考えたことがない

こうした感情が出ます。

これは、“犠牲的に生きるパターン”が長年続いた人に自然に起きる反応です。

幼い頃から、

  • 期待に応える役割
  • 調整役
  • 誰かの気持ちを背負うポジション

を担ってきた人ほど、距離を取る=裏切りのように感じやすいのです。

ですが、心理学的にいえば
「境界線がなかった状態に慣れきっているだけ」なんです。

境界線を引くこと=冷たさ
ではありません。

境界線がなさすぎた状態=“普通”になっていた
だけです。


仕事の責任と親への心配がぶつかり、心の負荷が上がる

仕事ではあなたにしかできない役割が増える時期。
親のことも気がかりな時期。

この2つが同時に動くと、
気持ちが常に二方向に引っ張られる。

「どちらも大事」だからこそ揺れるのです。


今の揺れが起きる“背景構造”はこう整理できる

  • 親へのサポートが必要になり始める
  • 仕事の責任が増える
  • 家族内の役割があなたに集中しやすい
  • 境界線が曖昧な文化
  • 犠牲パターンが長年続いてきた可能性
  • “距離=見捨てる”という内的ルール

これらが重なると、心は揺れてしまうのです。


では、どう向き合えばいいのか

40〜50代の女性は、ちょうど人生の前半と後半が重なる年代です。

「全部整理する」必要はありません。
それはかえって心が拒絶反応を起こします。

必要なのは、
役割・境界線・罪悪感の重なりを“ちょうどいい感じにほどくこと”です。

  • どこまでが自分の領域か
  • どこから先は誰かに任せてもいいものなのか
  • なぜ見捨てるように感じるのか
  • どの境界線が結びつきすぎているのか

これが見えるだけで負担は大きく下がります。

一人で整理すると、どうしても“罪悪感”が邪魔をします。

だからこそ、客観的な視点が入ることで、
あなたが抱えてきた構造がほどけやすくなります。

距離を整えることは、親を見捨てることではありません。
むしろ、これから長く関わるために必要な調整です。

いま心が揺れている理由には、きちんとした構造があります。

このテーマは、一人で抱えるほど苦しくなるタイプの問題です。
必要であれば、一度状況を整理するお手伝いができます。

関連記事|心の揺れを理解したい方へ

心が揺れやすい時期には、
状況の背景や心理構造を“別の角度”から知ることで理解が深まりやすくなります。
今回のテーマとつながる記事を2つご紹介します。


▼ 40〜50代になると“イライラや不安”が増えやすい理由

(感情が揺れやすくなる背景と、心が疲れやすくなる構造の解説)


▼ 人との距離感がわからなくなるときの心理

(境界線が曖昧になったときに起きる心の反応について)

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