“ネガティブ予測”が止まらない心理と、その正体

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「○○さん、ちょっと時間ある?」
この一言で、心臓がフルマラソン。
会議室に向かう10歩が、人生で一番長く感じる瞬間。

「私、何かやらかした?」「もしかして降格?」「いや、クビ?」
……まだ何も起きていないのに、
頭の中では“クビ宣告シーン”がフルHDで上映されてる。

そして恋愛でも、告白されても「いやいや、これ絶対遊びでしょ」と
心のシャッターをバタン。

この“ネガティブ予測”が止まらないのには、
ちゃんと心理的な理由があります。


ネガティブ予測とは?

ネガティブ予測とは、
未来の出来事を、事実ではなく「最悪の想像」で決めつけてしまう心のクセ のことです。

  • 「上司に呼ばれる=怒られる」
  • 「褒められる=裏がある」
  • 「順調に進んでいる=そろそろ崩れる」

こうして頭の中に、
まるでバッドエンド台本専用のハリウッド映画スタジオがあるかのように、
未来を暗く描き続けてしまいます。


ネガティブ予測の典型シーン

  • 社内チャットで「会議室に来て」とだけ書かれている
  • 会議室に入る前に「遺書ってどこに書くんだっけ?」まで考えてしまう
  • 恋愛で告白されると「ドッキリ番組?カメラどこ?」と周囲を見渡す

「呼ばれたら怒られる」あるある

リアルな日常風景

朝、仕事をしていたら突然、
「○○さん、ちょっと来てもらえる?」と上司に呼ばれる。

  • 足が震え、心臓はドラムロール
  • 頭の中で「この前のプレゼン、あれがダメだったのかも」
  • 「いや、あのメールの言い方がきつかった?」
  • 「いやいや、そんなレベルじゃない、もうクビかもしれない!」

会議室に向かう10歩が、
もはや地雷原を歩く軍人レベルの緊張感。

結果、ドアを開けたら…
「この資料、コピーお願い」
「ケーキ余ったから食べない?」

心臓返して。


なぜこうなる?

脳が安全を守るために、
「一番危険なシナリオ」を先に想定するからです。

  • 怒られるかもしれない → 事前に心を固める
  • 最悪の結末を想像しておけば、ダメージが減る
  • 危険を予測できれば、逃げ道を作れる

こうして脳は、
“とにかく悪い方向に考えておけば安全”というプログラムで動きます。

でも実際は、
9割以上がただの業務連絡。
防衛本能のコスパ、めちゃくちゃ悪いんです。


恋愛でも起きるネガティブ予測

ありがちなケース

  • 告白されても「これ、友達が裏で笑ってるやつ?」
  • 褒められても「はいはい、リップサービスね」
  • ハートマークがついたLINEを見ても「スタンプ間違えただけだな」

過去に裏切られた経験があると、
「好かれる=どうせまた傷つく」と結びつけてしまいます。


脳の中ではこんなやり取りが

相手(現実):「本気で好きなんだ。」
脳内ナレーション:「こちら恋愛詐欺対策本部。ただいま緊急警報発令。」
不安センサー:「🚨詐欺率99.9%!接近禁止!」
理性の声:「いや、まだ何も怪しくないけど…?」

結果、
心のセキュリティが強すぎて、
せっかくの好意まで“罠”に見えてしまうんです。


脳内セキュリティの誤作動

このネガティブ予測、
実は脳内のセキュリティシステムが誤作動してる状態です。


セキュリティの特徴

  • 感度MAX、精度ガタガタ
  • ちょっとした風でも「侵入者発見!」
  • ドアがギィって鳴っただけで「爆発物接近!」
  • 告白されると「詐欺決定、恋愛禁止!」

まるで、築30年のアパートに
最新防犯センサーを取り付けてしまったような状態。
誤報が多すぎて、本当に必要なときに役立たないんです。


セキュリティが暴走する理由

  1. 過去の“事件ファイル”を全部保存している
    • 怒られた記憶
    • 裏切られた恋愛
    • 人前での失敗
      → これらを参照し、「また同じ目に遭うぞ!」と予測。
  2. 危険を見逃さないよう、常に全力監視
    • 脳は安全より危険を重視する仕組み
    • 「平和です」と報告するより、「危ない!」の方がサバイバルで有利。
  3. 安心に慣れてない
    • 平和な状況は逆に怖い
    • 「静かすぎる、嵐の前触れだ」と思ってしまう。

結果、

  • 呼ばれると「怒られる」
  • 好かれると「遊び」
  • 褒められると「裏がある」

この自動変換が止まらなくなるのです。


ネガティブ予測に振り回されないために

ネガティブ予測をゼロにするのは難しいですが、
振り回されないようにすることは可能です。


「決めつけてるだけ」と気づく

未来はまだ何も起きていない。
それなのに「怒られるに違いない」「絶対遊びだ」と
100%確信していること自体がおかしいと気づくだけで、
不安との距離が少し取れます。


実況アナウンサーになる

  • 「まだ呼ばれただけです」
  • 「まだ怒られてません」
  • 「ただ好意を伝えられただけです」

事実をそのまま実況すると、
頭の中で暴走している妄想映画を中断できます。


不安を“連れていく”

不安を消そうとすると逆に大きくなります。
そこで、
「不安さん、一緒に来る?」と声をかけるイメージで行動。
これは心理療法でも使われる手法で、
不安を敵視せずに扱えるようになります。


安心に慣れる練習をする

  • 信頼できる人とのやり取りを増やす
  • 「今回は怒られなかった」「遊びじゃなかった」と記録する
  • 小さな成功体験を積む

こうして、脳に“安心しても安全”という新データを増やすことで、
セキュリティの誤作動が減っていきます。


まとめ

ネガティブ予測は、あなたを守ろうとする
“脳内セキュリティ”の仕業。
でも、古いデータで過剰に反応し、
必要のない警報を鳴らしてしまっています。

未来を勝手に決めつけるのではなく、
「今はまだ何も起きてない」と現実に戻ることで、
セキュリティは少しずつアップデートされます。


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▼元になったnote記事はこちら:
▶︎ 『思い込みかも劇場』#07「“呼ばれた=怒られる、好かれた=遊び”って、どこの辞書?」

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