抑圧とは?
私たちは日々、さまざまな感情や欲求を抱えながら生きています。しかし、そのすべてを表に出すことはできません。ときには、自分自身でも気づかないうちに、感情を心の奥深くへ押し込めてしまうことがあります。このように、感じたくない感情や記憶、欲求を無意識のうちに閉じ込めることを「抑圧」といいます。
なぜ人は感情を抑圧するのか?
抑圧は、一種の「心の防衛機能」です。とてもショックな出来事があったとき、それをそのまま受け入れると心が壊れてしまいそうになることがあります。そんなとき、人はその出来事を忘れたふりをしたり、感じないようにしたりして心を守ろうとします。
例えば、幼い子供が欲しいおもちゃをねだったとしましょう。しかし、お母さんの機嫌が悪かったために、「わがまま言わないで!」と強く叱られてしまいました。このようなことが何度も繰り返されると、その子供は「欲しいと言うと怒られる」と学習し、「欲しい」という感情そのものを封じ込めてしまうのです。
抑圧すると何が起こるのか?
抑圧の影響は、一見すると「何も感じない」「平穏でいられる」ように見えます。しかし、実際には次のような弊害が生じます。
喜びも感じにくくなる
抑圧は、特定の感情だけを押し込めることができるわけではありません。悲しみや怒りだけでなく、楽しさや嬉しさも感じにくくなってしまいます。その結果、「何をしても楽しくない」「自分が何をしたいのかわからない」といった状態になりやすくなります。
突然キレる原因になる
抑圧した感情は、まるで風船の中に空気を入れ続けるようなものです。抑え込むほどに、感情は心の奥底で膨らみ続け、やがて限界を迎えたとき、一気に爆発してしまいます。この現象が「突然キレる」状態につながるのです。
身体の不調を引き起こすことも
感情は心だけでなく、体にも影響を与えます。長期間にわたって抑圧を続けると、ストレスが蓄積し、頭痛や胃痛、肩こりなどの身体症状として現れることもあります。
抑圧を解放するには?
感情を抑圧し続けると、自分でも何を感じているのか分からなくなってしまいます。そのため、以下のような方法で少しずつ解放していくことが大切です。
自分の感情に気づく
まずは、「今、自分はどんな感情を抱えているのか?」を意識することが大切です。日記を書いたり、信頼できる人に話を聞いてもらったりすると、自分の気持ちを整理しやすくなります。
小さな欲求を満たしてあげる
例えば、「今日はちょっと高級なスイーツを食べよう」「お気に入りのカフェでゆっくりしよう」といった小さな欲求を叶えてみることも効果的です。これを繰り返すことで、自分の本当の気持ちに気づきやすくなります。
安全な環境で感情を表現する
抑圧した感情を一気に解放しようとすると、逆に苦しくなることがあります。安心できる環境で、少しずつ感情を表に出していくことが重要です。カウンセリングを活用するのも良い方法の一つです。
まとめ
抑圧は、心を守るための一時的な手段ですが、長期間続けると心身に悪影響を及ぼします。自分の感情に気づき、少しずつ解放していくことで、本来の自分らしさを取り戻すことができます。もし、「何をしても楽しくない」「自分の感情がよくわからない」と感じることがあれば、ぜひ自分の心と向き合う時間をつくってみてください。
この記事は、旧ブログに掲載していた内容を元に加筆修正したものです。内容を整理し新しいブログへ移行しました。