夫に浮気された。
傷ついたのは自分のはずなのに、なぜか夫の顔色ばかり見てしまう。夫が不機嫌そうにしていると不安になる。ため息をつくと、何か悪いことを言ったのではないかと気になる。スマホを見ているだけで胸がざわつき、冷たい態度を取られると、「もう私のことを嫌いになったのかもしれない」と思ってしまう。
本当なら、「浮気したのはあなたでしょう」「私の方が傷ついているのに」と怒ってもいいはずです。それなのに、夫が離れていかないように言葉を選び、責めたい気持ちを飲み込み、やさしくしようとしてしまう。
そして、そんな自分にまた腹が立つ。
なぜ浮気された側なのに、夫の機嫌を気にしてしまうのでしょうか。
- 夫の反応が、自分の未来を決めるように感じてしまう
- 自立していた人ほど、浮気後の依存の感情に戸惑うことがある
- 自立していると、依存の気持ちを感じずに済むことがある
- 浮気前の夫婦関係を振り返ることも必要になる
- 妻が感じていることを、夫も感じていたとは限らない
- 夫に嫌われないように気を使いすぎると、さらに苦しくなる
- 「夫を中心にしている」という意味では、形が変わっただけのこともある
- 依存の気持ちをなくすのではなく、感じられるようになる
- 夫の顔色より、自分がどう関わっているかを見る
- 「夫は私を選ぶのか」だけを考えていると苦しくなる
- 自分も選ぶ側に戻っていく
- まとめ|「夫に選ばれるか」から「自分も選ぶ」へ
- こちらの記事もどうぞ
夫の反応が、自分の未来を決めるように感じてしまう
浮気が発覚したあと、妻の中には怒りや悲しみだけではなく、強い不安が出ることがあります。
夫は浮気相手をまだ好きなのか。家庭に戻る気はあるのか。離婚を考えているのか。本当に相手との関係は終わったのか。
その答えがわからないと、夫の言葉や態度の一つひとつが気になります。
夫がやさしければ、「まだやり直せるかもしれない」と思う。冷たければ、「もう私には気持ちがないのかもしれない」と感じる。スマホを触っていれば、「また連絡しているのでは」と不安になる。
夫の顔色が、その日の身の安全を決めるようになってしまうのです。
だから、夫の機嫌を見てしまうこと自体は、それほど不思議な反応ではありません。関係が不安定になり、「これから自分がどうなるのか」が相手の選択にかかっているように感じると、人は相手の反応に敏感になります。
ただ、その状態が続くと、自分の気持ちより夫の機嫌の方が重要になっていきます。
自立していた人ほど、浮気後の依存の感情に戸惑うことがある
夫婦関係の中では、どちらか一方が自立側に寄り、もう一方が依存側に寄ることがあります。
ここでいう自立は、「立派」「強い」という意味ではありません。相手に頼るより自分でやる、自分で決める、弱さを見せない、相手がいなくても何とかしようとする。そんな立場です。
反対に依存側では、相手の気持ちが気になる、わかってほしい、もっと近づいてほしい、愛されているか確かめたい、という思いが出やすくなります。
どちらがよくて、どちらが悪いという話ではありません。夫婦の中では、そのときどきで立場が入れ替わることもあります。
ただ、浮気前まで妻が自立側にいることが多かった場合、浮気によって突然、依存側の感情が強く出てくることがあります。
それまでなら「夫が不機嫌なら放っておけばいい」と思えたのに、今は気になって仕方がない。夫が離れていくことなど考えていなかったのに、「捨てられるかもしれない」と怖くなる。夫に愛されているかどうかを、何度も確かめたくなる。
この変化に、自分自身がいちばん驚きます。
「私はこんなに弱かったの?」
「どうしてこんなに夫に振り回されるの?」
「以前の私はどこへ行ったの?」
でも、突然別人になったわけではありません。
それまで感じずに済んでいた不安や寂しさ、相手を失う恐れが、浮気をきっかけに表に出てきたとも考えられます。
自立していると、依存の気持ちを感じずに済むことがある
自立側にいるときは、「私は一人でも大丈夫」「相手に頼らなくても平気」と思いやすくなります。
実際に、多くのことを自分でやってきた人もいるでしょう。家庭のことも仕事のことも、自分がしっかりしなければと思ってきた。夫に期待するより、自分でやった方が早いと思ってきた人もいます。
そうしていると、相手に対する寂しさや不満があっても、あまり感じないまま過ごせることがあります。
「もっと私を見てほしい」
「大切にしてほしい」
「私のこともわかってほしい」
本当はそんな気持ちがあっても、それを感じるより先に、自分で何とかしてしまう。
ところが浮気によって、「夫がいなくなるかもしれない」という現実が突きつけられると、それまで表に出ていなかった依存の気持ちが一気に出てくることがあります。
だから浮気後に夫の顔色を見るようになったからといって、「弱くなった」と考える必要はありません。
今まで感じないようにしていたものまで感じるようになった、と考える方が近い場合もあります。
浮気前の夫婦関係を振り返ることも必要になる
浮気された直後は、まず傷ついた気持ちを扱うことが大切です。
ただ、夫婦としてやり直すことを考えるなら、少しずつ浮気前の二人の関係も振り返る必要があります。
たとえば、妻が夫を頼りないと思っていた。夫に注文することが多かった。夫の不満を聞いても、「そんなことで?」と流していた。会話はしていても、互いに自分のことを話さなくなっていた。
そういうことがあったかもしれません。
反対に、妻の方も夫に話を聞いてもらえず、ずっと寂しかったかもしれません。夫婦のどちらかだけが我慢していたとは限りません。
ここで大切なのは、「だから夫が浮気した」と結論づけないことです。
夫婦の間に問題があったことと、夫が浮気を選んだことは別です。夫婦関係は二人で作ってきたものですが、浮気という行動を選んだ責任は夫にあります。
浮気前の関係を振り返るのは、妻を責めるためではありません。
「二人の間で、何が不足していたのか」
「どこですれ違っていたのか」
「これから同じ関係に戻るだけでいいのか」
そこを考えるためです。
妻が感じていることを、夫も感じていたとは限らない
浮気後に妻が感じる、
「愛されていないのかもしれない」
「大切にされていない気がする」
「相手の気持ちがわからなくて怖い」
という感情を見て、「夫も以前は同じ気持ちだったのかもしれない」と考えることもできます。
ただ、必ずそうだったとは限りません。
夫が寂しさを感じていた人もいるでしょうし、不満を抱えていた人もいるでしょう。でも、その内容まで妻の今の不安と同じだったとは言えません。
大切なのは、夫の気持ちを勝手に決めることではなく、夫婦の中で、互いに何を感じていたのかを改めて知ることです。
浮気が発覚するまで話せていなかったことがあるなら、そこを話せるようになることが再構築には必要になります。
夫に嫌われないように気を使いすぎると、さらに苦しくなる
夫を失いたくない気持ちが強くなると、妻は気を使うようになります。
責めたいけれど黙る。聞きたいことがあるけれど、夫が嫌がりそうだから聞かない。不機嫌にさせないように笑顔でいる。家ではなるべく明るくしようとする。
どれも、関係を壊したくないからこその行動です。
でも、不安から気を使い続けると、妻自身が疲れていきます。
夫が今日は機嫌がいいか。今この話をして大丈夫か。ここまで言ったら嫌われないか。離婚を言い出されないか。
一日中そんなことを考えていると、自分が何を感じているのかわからなくなります。
また、夫の方にも、「こちらの反応をずっと見られている」「何を言っても妻を不安にさせる」と感じられることがあります。
妻は嫌われたくなくて顔色を見る。夫は見られていることに疲れて距離を取る。すると妻はさらに不安になる。
こうして、顔色を見ることがかえって夫婦の距離を広げることもあります。
「夫を中心にしている」という意味では、形が変わっただけのこともある
浮気前は、妻が夫に注文することが多かった人もいるかもしれません。
「あれをして」
「もっとこうして」
「どうしてわかってくれないの」
そして浮気後は、まったく逆に、
「夫が嫌がるから言わない」
「夫が離れていくから我慢する」
「夫に好かれるように振る舞う」
となることがあります。
一見すると大きく変わったように見えます。
でも、どちらも「夫を中心にしている」という意味では似ています。
以前は、夫を自分の望む方向へ動かそうとしていた。今は、夫に嫌われないように自分を変えようとしている。
どちらも、夫の反応が基準になっています。
だから、再構築で本当に必要なのは、以前と逆の人になることではありません。
相手を動かそうとするのでもなく、相手に合わせすぎるのでもなく、自分が何を感じ、何を望んでいるかも持ちながら相手と関わることです。
依存の気持ちをなくすのではなく、感じられるようになる
自立してきた人ほど、「依存している自分」を嫌がることがあります。
夫が気になる。愛されているか確認したい。離れていくのが怖い。
そんな自分を見ると、「こんな私ではだめ」と思うかもしれません。
でも、依存の気持ち自体をなくす必要はありません。
人と関係を作れば、相手にわかってほしい、愛してほしい、そばにいてほしいという気持ちは出てきます。
むしろ、自立だけで関係を作ろうとすると、頼ることも甘えることも難しくなり、相手との距離が広がることがあります。
大切なのは、依存の気持ちに振り回されないことです。
「夫が冷たい。だから私は愛されていない」とすぐに決めるのではなく、「私は今、夫に離れていかれるのが怖いんだな」と自分の気持ちに気づく。
「夫に選んでもらわなければ私は終わり」と考えるのではなく、「私は夫との関係を失うことを怖がっている。でも、私にも選ぶ権利がある」と思えるようになる。
依存の感情を感じることと、相手にすべてを預けることは同じではありません。
夫の顔色より、自分がどう関わっているかを見る
夫の気持ちを知りたいと思うことは悪いことではありません。再構築するなら、夫がどう考えているかは重要です。
ただ、夫の顔色ばかり見ていると、自分の方が見えなくなります。
自分は夫に対して何を言えているのか。不安になると責めるような言い方になっていないか。反対に、嫌われたくなくて言いたいことを全部飲み込んでいないか。
そして、夫がどうするかだけでなく、
「私はどんな夫婦関係なら続けたいのか」
「何を大切にしたいのか」
「何なら受け入れられて、何は受け入れられないのか」
そこも考えていく必要があります。
これは、夫を無視して自分だけで決めるという意味ではありません。
相手の気持ちも聞く。でも、自分の気持ちも同じように扱う。
それが、自立か依存かのどちらか一方に片寄りすぎない関係につながっていきます。
「夫は私を選ぶのか」だけを考えていると苦しくなる
浮気が発覚した直後は、どうしても「夫は私を選ぶのか」が大きな問題になります。浮気相手と別れるのか。家庭に戻るのか。離婚を言い出すのか。もう一度自分を愛してくれるのか。その時期には、そればかり考えてしまうのも無理はありません。
でも、再構築について考える時間が進んでくると、別の疑問も出てきます。「私は、この夫をもう一度選びたいのか」という疑問です。
最初は、夫に捨てられないことだけを願っていたかもしれません。夫が戻ってくるなら、それでいいと思っていたかもしれません。
でも、夫の態度や、その後の向き合い方を見ていくうちに、
「本当にこの人とこれからも生きていきたいのか」
「この人となら、新しい関係を作りたいと思えるのか」
「また信じていけると思えるのか」
と考えるようになることがあります。
ここまで来ると、夫婦関係を見る立場が変わってきます。
「夫が私を選んでくれるか」だけではなく、「私も夫を選ぶ側なんだ」と思えるようになるからです。
自分も選ぶ側に戻っていく
夫の浮気後、夫の顔色ばかり見てしまうのは、夫に振り回されやすい性格だからとは限りません。夫を失うかもしれないという恐れによって、それまで感じずに済んでいた依存の気持ちが強く出ていることがあります。
だから、まずは「どうしてこんなに夫の機嫌が気になるのだろう」と、自分を責めるより、今どんな不安を感じているのかを知ることが必要です。
ただ、夫の機嫌ばかりを見続けていると、自分が何を望んでいるのかわからなくなります。再構築を考えるなら夫の気持ちを知ることも必要ですが、自分の気持ちも同じように大切にしていかなければなりません。
「私は何に傷ついたのか」「夫にどう向き合ってほしいのか」「どんな夫婦関係なら続けたいのか」。そして少しずつ、「夫は私を選ぶのか」だけではなく、「私はこの夫をもう一度選びたいのか」ということにも向き合っていきます。
自立して、誰も必要としない人になることが目標ではありません。反対に、夫の反応に自分の安心やこれからを全部預ける必要もありません。
相手を必要とする気持ちも持ちながら、自分の気持ちや選択も持つ。その両方がある関係へ変わっていくことが、浮気後の夫婦関係を作り直していくうえで大切なのだと思います。
まとめ|「夫に選ばれるか」から「自分も選ぶ」へ
夫の浮気がわかったあと、それまで自立側にいることが多かった人が、急に夫の機嫌や気持ちを気にするようになることがあります。夫を失うかもしれないという恐れによって、「愛されたい」「離れてほしくない」「私を選んでほしい」という依存側の感情が強く出てくるからです。
そのため、夫がやさしければ安心し、冷たければ「もう終わりかもしれない」と感じる。夫の表情や言葉が、自分のこれからを決めるもののように思えてしまいます。
浮気前の夫婦関係を振り返ることも必要になるでしょう。夫の気持ちを十分に聞けていなかったことや、互いに不満を言えなくなっていたことが見つかるかもしれません。ただし、それを「だから浮気された」と自分を責める材料にする必要はありません。夫婦の問題と、夫が浮気という行動を選んだ責任は分けて考えます。
そして再構築が進むにつれて、考えたいことも変わっていきます。
最初は「夫は私を選ぶのか」が何より大きな問題だったとしても、少しずつ「私はこの人と、これからどんな関係を作りたいのか」「私はこの夫をもう一度選びたいのか」と考えられるようになる。
夫に選ばれることだけを待つ立場から、自分もこれからの関係を選ぶ立場へ戻っていくのです。
カウンセリングでも、なぜ夫の反応がこれほど気になるのか、それまで夫婦の中でどんな関わり方をしてきたのか、自立している間に感じずにきた寂しさや不安はなかったのかを見ていきます。
夫に合わせ続けるのでも、以前のように一人で何でも抱えるのでもない。自分の気持ちも相手の気持ちも大切にできる関係を作っていくことが、これからの夫婦を考える土台になります。
夫婦関係そのものについて考えたい方は、こちらもご覧ください。
浮気・不倫に関する記事をまとめて読みたい方はこちらです。




