私が頑張るほど、彼や夫が頼りなくなっていくのはなぜ?

私が頑張るほど彼が頼りなくなる 恋愛・パートナーシップ

付き合い始めた頃の彼は、もっとしっかりしていた。

会う予定を考えてくれた。
行きたい場所を調べてくれた。
困ったときには話を聞き、頼れる言葉もかけてくれた。

仕事や生活のことも自分で考えられる人だと思っていたし、自分が支えてもらう場面もあった。

それなのに、付き合いが長くなるにつれて、少しずつ立場が変わってきた。

会う予定を決めるのも自分。
連絡が途切れたときに関係をつなぎ直すのも自分。
彼が落ち込めば話を聞き、仕事で問題が起きれば解決策まで一緒に考える。

結婚している場合は、家事やお金の管理、親族との連絡、家族の予定まで妻が把握していることもあります。

気づけば、恋人や妻というより、相談窓口と進行管理を兼任している。

そんな状態になってから、

「この人、こんなに頼りない人だったかな」

と思う女性は少なくありません。

最初から、頼りない男性だったとは限らない

自立した女性が、最初から依存的な男性を選んだケースもあります。

一方で、交際の初期には男性のほうが積極的で、関係が深まってから立場が入れ替わることもあります。

交際が始まったばかりの頃は、お互いに相手から選ばれたい気持ちがあります。

男性も、頼れる自分を見せようとするでしょう。

自分から連絡する。
デートの予定を考える。
相手が困っていたら助ける。
将来について自分の考えを話す。

女性も、その彼を頼り、任せ、支えてもらう側にいることができます。

ところが、付き合っているという確信が持てるようになった頃や、同棲や結婚によって日常を共有するようになった頃から、これまで見えていなかった部分が出てきます。

男性が仕事でつまずいたことをきっかけに、女性が支える側へ回ることもあります。

彼女が一度、大きな問題を解決してくれたことで、彼が「この人に任せれば何とかなる」と感じることもあるでしょう。

結婚後、妻のほうが生活の変化に早く気づき、家庭全体を回すようになる場合もあります。

人が急に別人になったというより、関係の中で担う立場が変わってきたのです。

自立と依存は、二人の間で作られる

ここでいう自立と依存は、人の性格を二種類に分けるための言葉ではありません。

仕事では自立的な男性が、恋愛では彼女に頼りきることもあります。

家族の前では何でも引き受けている女性が、別の相手には素直に頼れることもあります。

同じ人でも、相手や状況によって、どちらの立場へ入るかは変わります。

自立側へ入る人は、関係の中で多くのことを引き受けます。

相手の様子に気づく。
問題を見つける。
先のことを考える。
必要な行動を決める。
うまくいかなければ修正する。

依存側へ入る人は、その働きを受け取ります。

困ったら相談する。
相手が決めるのを待つ。
言われたことをする。
何かあれば助けてもらう。

人に頼ること自体は、親しい関係に必要なものです。

ただ、考えること、決めること、行動すること、その結果を引き受けることまで、一方に預ける状態が続くと、二人のバランスは偏っていきます。

私が頑張るほど、相手の出番が減っていく

たとえば、彼がなかなか旅行の予定を決めないとします。

最初は、

「今度の休みにどこか行きたいね」

と話していた。

けれども、彼が調べている様子がない。宿泊先も埋まり始めている。

待っているうちに間に合わなくなりそうなので、女性が調べて予約する。

すると、旅行は無事に実現します。

彼も喜び、

「やっぱり君に任せると間違いないね」

と言うかもしれません。

次の旅行でも、女性が調べる。

その次も、彼は「行きたい場所があれば決めて」と言う。

こうして、女性は決める人になり、男性は決めてもらう人になります。

恋人同士なら、連絡や話し合いでも同じことが起こります。

喧嘩をしたあと、彼からは何も言ってこない。
このまま関係が終わるのは嫌なので、女性から連絡する。
彼は謝り、関係は元に戻る。

それが続くと、彼は「何かあっても彼女が話を持ちかけてくれる」と思うようになります。

女性は、

「この人は、自分から関係を立て直そうとしない」

と腹を立てます。

それでも、関係を失いたくないので、また自分から動く。

女性が頑張るほど男性が頼るようになり、男性が頼るほど女性が頑張らなければならなくなる。

どちらが最初だったのかわからないほど、影響し合って同じ流れが続いていきます。

相手が頼りないから、しっかりせざるを得ないこともある

女性が何でも先にやってしまった結果、男性が動かなくなる場合はあります。

ただし、女性側の頑張りだけで、この関係が作られるとは限りません。

男性がもともと、

  • 面倒なことを引き受けたくない
  • 自分で決めた結果に責任を持ちたくない
  • 誰かが世話をしてくれる状態を好む
  • 問題が起きると相手へ渡す
  • 注意されるまで動かない

という人であれば、女性は生活や関係を守るために動かざるを得ません。

彼が何もしないので彼女が動く。
彼女が動いてくれるので彼はさらに何もしなくなる。

この循環もあります。

そのため、

「女性が頑張りすぎたから、彼が頼りなくなった」

と女性一人の責任にすることはできません。

自分が相手の役割まで引き受けている部分と、相手が自分の責任を引き受けようとしていない部分は、分けて見る必要があります。

苦しいのに、自立する側をやめられない

自立側にいる女性は、楽をしているわけではありません。

「私ばかり考えている」

「どうして何度も言わなければならないの」

「私がいなかったら、この人はどうするのだろう」

そんな不満を抱えています。

もう面倒を見たくないと思っているのに、彼が困っていると放っておけない。

彼のやり方では失敗しそうだと思うと、途中で口を出してしまう。

何もしないで待っていると、自分まで困ることになりそうで落ち着かない。

過去に誰かへ任せた結果、最後は自分が後始末をすることになった経験があれば、相手を待つことは簡単ではないでしょう。

頼んでも忘れられた。
助けてほしいときに助けてもらえなかった。
周囲の大人が動かず、自分がしっかりするしかなかった。

そのような経験を重ねてきた人にとって、自分で考えて動くことは、生活や人間関係を守る方法でした。

現在の彼へ任せようとしても、過去と同じことが起きるように感じ、強い抵抗が出ることがあります。

必要とされることで、関係の中の居場所を感じる

自立側を降りにくい理由は、失敗を避けたいからだけではありません。

相手を支えていると、自分が必要とされていると感じられます。

彼の相談に乗る。
仕事の愚痴を聞く。
困っていることを解決する。
彼が忘れないように連絡する。

その役割を担っている間は、

「私はこの人の役に立っている」

と思えます。

何かをしてあげることが、愛情を伝える方法になっている人もいるでしょう。

けれども、相手が自分で考え、自分で問題を解決し始めると、思いがけない戸惑いが出ることがあります。

「もう私を必要としていないのでは」

「私がいなくても平気なのでは」

という寂しさです。

意識の上では、しっかりしてほしいと思っている。

ところが、彼が本当に自分を頼らなくなると、自分の居場所までなくなるように感じることがあるのです。

これは、女性が男性を依存させたいと考えているという話ではありません。

必要とされることと愛されることが深く結びついていると、自分が何もしない関係を想像しにくくなるのです。

「本当は私も頼りたかった」という気持ち

相手の頼りなさに強く腹が立つとき、その奥に、自分も誰かに頼りたかった気持ちがある場合があります。

本当は、私も疲れたと言いたかった。
誰かに決めてもらいたかった。
困っていることに気づいてほしかった。
何も考えずに任せてみたかった。
役に立たなくても、大切にしてほしかった。

それでも、これまで頼れる人がいなかった。

頼って傷つくくらいなら、自分でやるほうを選んできた。

そのため、彼が自分に頼ってくる姿を見たとき、

「なぜ、あなたはそんなに簡単に人を頼れるの」

という悔しさが出ることがあります。

甘えている彼がうらやましい。

自分にも同じように甘えたい気持ちがあったことを認めるのは、腹立たしさを伴うかもしれません。

そこで、寂しさや悔しさを感じる代わりに、さらに彼を支える。

彼の世話をしながら、彼の頼りなさを責める。

もう限界だと思いながら、次の問題も引き受ける。

そうして感情を後回しにし続けると、ある日突然、彼の顔を見るのも嫌になることがあります。

依存する側の男性にも、向き合う課題がある

男性が依存側にとどまる理由にも、いくつかの可能性があります。

彼女のほうが何でもうまくできるので、自信をなくしている人もいます。

自分がやっても途中で直されるため、最初から任せるようになった人もいるでしょう。

関係が安定し、頑張って自分をよく見せなくても受け入れてもらえると感じたことで、これまで隠していた依存的な部分が出てきた可能性もあります。

一方で、単に責任を引き受けたくない人もいます。

大切なのは、女性が自分ばかり引き受けていたことをやめようとしたときに、男性がどのような反応をするかです。

「今まで任せきりだった」と気づき、自分で考えようとするのか。

女性の負担を聞き、できることを増やそうとするのか。

それとも、

「今までやってくれていたのに」

「君のほうが得意なのだから、やればいい」

と不満をぶつけ、再び引き受けさせようとするのか。

自立と依存のバランスは二人の間で作られますが、相手が自分の責任を引き受ける意思まで、女性が代わりに用意することはできません。

立場は、関係や状況によって入れ替わる

自立側と依存側は、一度決まったら変わらないものでもありません。

彼が仕事では部下をまとめ、難しい判断もしているのに、恋愛では彼女の判断を待つことがあります。

普段は彼女がしっかりしていても、病気や仕事上の問題が起きたときには彼が支える側へ回ることもあります。

付き合っている頃は男性が自立側にいて、結婚後は妻が自立側へ移る場合もあります。

このように立場が入れ替われる関係なら、一時的にどちらかが多く支えても、再びバランスを取り直せます。

問題になるのは、支える人と支えられる人が固定され、片方がその役割から降りられなくなったときです。

対等な関係は、いつも半分ずつという意味ではない

カップルの関係を、すべて50対50にすることは難しいものです。

仕事が忙しい時期には、片方が家のことを多く担当することもあるでしょう。

体調を崩したときには、元気なほうが支えます。

得意なことを多く担当するのも、自然な役割分担です。

対等さは、同じ量を担当することだけではありません。

どちらにも頼む権利がある。
どちらにも断る権利がある。
どちらも自分の希望を伝えられる。
自分が引き受けたことには、自分で責任を持つ。

そして、必要に応じて立場を入れ替えられる。

どちらか一方だけが、いつも考え、決め、支え、後始末をする関係では、担当する量以上に、心の負担が偏っていきます。

支える側と支えられる側に固定されないために

自立と依存のバランスを変えるとき、最初に見るのは、彼をどう動かすかだけではありません。

自分が今、何を引き受けているのかを具体的に見ていきます。

彼の予定を管理している。
彼が落ち込むたびに立て直している。
二人の問題なのに、自分だけが解決策を考えている。
彼が負うべき結果まで、自分が心配している。

その中には、自分が本当に担当したいこともあれば、相手が引き受けるべきこともあります。

仕事や役割を任せるだけでは、バランスが変わらないこともあります。

「これをやって」と指示し、進み具合を管理し、最後に確認するのであれば、考える責任はまだ自分が持ったままです。

相手に返す必要があるのは、作業だけでなく、考えること、決めること、その結果を引き受けることです。

そのとき、彼がすぐに動くとは限りません。

今までの関係の形が変わろうとすると、相手が戸惑ったり、不満を言ったりすることもあります。

そこで、またすべてを引き取るのか。

彼が自分の責任を引き受けるまで待てるのか。

待った結果、彼が引き受けない人だとわかったとき、その関係を自分がどうしたいのか。

ここまで考える必要があります。

同じような関係を何度も繰り返している場合は、現在起きている出来事と一緒に、なぜ自分がいつも自立側へ入るのかを整理してみると、見えてくるものがあります。

誰かに任せたとき、何が起きるように感じるのか。
何もしてあげない自分に、どのような気持ちが出るのか。
本当は彼に、何をしてほしかったのか。
これまで感じないようにしてきた怒りや悲しさはないか。

カウンセリングでも、女性だけが悪いと決めつけることはありません。彼や夫が実際にどのような態度を取っているのかも含め、二人の間で役割がどう作られてきたのかを見ていきます。

自分が相手の責任まで引き受けていたことに気づくと、彼を助ける前に、「これは誰が考えることだろう」と立ち止まりやすくなります。

相手が困っていることと、自分が解決しなければならないことを分けられるようになると、支える人と支えられる人だけに固定されない関係を考えられるようになります。

そして彼が、自分の役割を引き受ける人なのかどうかも、以前よりはっきり見えてくるのです。

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